2020年の活動報告
2021/1/22 09:28
2020年は、「常態化」する最悪の人道・人権危機であるシリア危機に加え、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大の脅威により、私たちの活動は大きく制限、変更を強いられました。特に、SSJへのご寄付金が総合的に減少していることは、私たちの活動継続をも危ぶめました。しかしながら、設立当時より申し上げている通り、私たちSSJが抑圧されるシリアの人々のための支援を諦めることは、どのような状況でもございません。
SSJの活動は、人道支援ではなく、人間として生きることが許されていないシリアの人々に少しでも尊厳を回復する、人権保護活動です。そのために、昨年はアサド政権とIS(イスラム国)に強制的に大黒柱である家族を失踪させられた(強制失踪)国内避難民家庭を対象にシリア北部で支援を開始いたしました。さらに、より一層アドボカシー活動に力を注ぎ、5回のオンラインイベント・講座を開催いたしました。特に12月に3回連続で開催した、講座「シリアにおける秘密刑務所と拘束、拷問、失踪、そして処刑」では、シリアで発生するアサド政権による重大な人権侵害「強制失踪」と「拷問」に焦点を当て、この恐ろしい実態をこの問題の研究者であるSSJ理事長の山田一竹が解説、さらに実際の強制収容所サバイバーが経験を語りました。圧倒的な殺戮の現状に、会場からは「あまりに残酷で気分が悪くなる。シリアの現状がここまで酷いとは思わなかった」という声を多くいただきました。このようにSSJのアドボカシー活動は、日本では決して報道されない、そして支援団体も取り上げないシリアの人権現状について日本の皆様に深く知ってもらう上で大変重要です。これまで私たちが築いてきたシリアの人々と強く深い絆と信頼があるからこそ、SSJにしかできない活動であると自負しております。そして日本の皆様が現状を知り、抑圧される側と連帯することは、「世界から見捨てられた」と感じるシリアの人々に勇気と確かな生きる希望を与えます。これらSSJの活動は、全て皆様のご寄付があるからこそ実施することができるものです。
本年も、シリアの人々が尊厳を持った人間として生きるために、そして彼らが愛する故郷に自由と平和が実現されるように、そして亡くなった方々とその家族に正義がもたらせられるように、引き続きSSJの一連の活動をどうぞよろしくお願い申し上げます。
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