思いやる支援
2020/9/4 21:55
私の息子は自閉症です。人と言葉でコミュニケーションをとることが苦手で、自分の要求を言葉で伝えることができません。
小学校は地域小学校の特別支援学級に通いました。
入学式の日、並んでいる児童に混じって息子は、椅子にずっと後ろ向きに座っていました。交流クラスに入って先生のお話を聞く時は、椅子ではなく机の上に正座していました。同級生たちはみんなビックリしていただろうと思います。
「ねぇ、前向いたほうがいいよ。」
「ねぇ、机に座るのはダメなんだよ。」
「ねぇ、聞いてるの?ねぇってば!」
と最初はみんな戸惑っている様子でしたが、だんだんと自分たちで関わり方を自然と学び、息子に馴染んでくれたようです。
運動会でリレーがあった時、私は息子を外してもらうようにお願いしました。本番でちゃんと走るかどうかわからなかったし、毎日毎日懸命に練習する子ども達を見て、申し訳なく思ったからです。でも子ども達は息子を責めることはせず、少しでもタイムを縮められるように、放課後はずっとバトンの受け渡しの練習をしていました。結果、本番で息子のチームは一位になりました。入学した時は戸惑っていた子ども達が数年間を一緒にすごしたことで、息子を外すことよりも息子がいるからこそどうすればいいかを考えられる子ども達に成長していました。今でも、あの時の子ども達の笑顔を忘れることはありません。
街で障害のある人に出会った時、どうしたらいいのかわからない人は多いんじゃないでしょうか?
何かお手伝いしたい気持ちがあっても、何をどうしたらいいのかわからない。もしかしたら困っているのかもしれないし、今は助けなんていらないのかもしれない。
息子と一緒にすごした子ども達は、きっと大人よりも支援が上手だと思います。それは何よりも大切な、「相手の気持ちをまず想像してみる」ということを息子から学んでくれたように思うからです。
「支援」というと難しくなりますが、まずは知ること、想像して思いに寄り添うことが支援の第一歩だと思います。
これからも、障害があってもなくてもみんなが共に思いやりながらすごしていける社会であってほしいなと願っています。
NPO法人あっとオーティズム 森真由
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