湯淺隆さんより応援メッセージをいただきました
2020/6/15 10:17
石見銀山資料館に寄せて
ポルトガルギター 湯淺隆(マリオネット)
私は日本人のポルトガルギター奏者ですが、日本とポルトガルとの関係を歴史
的文化的脈絡で問う時、最も重要なキーワードが「南蛮」です。
直木賞作家で石見銀山を主眼にすえた小説「銀の島」を書かれた故・山本兼一
さんは、かつて私信の中で【「南蛮」は、日本人にとって、遠きものへのあこ
がれの源泉だと思います。通信による情報などまったくない時代。日本人は、
はるかな海のかなたからやってくるポルトガル人に強烈な衝撃を受けたはずで
す。その衝撃は、やがて、日本人の内部で昇華され、ひとつの美意識にまで高
まりました。】と述べられ、その箴言は、今でも私の活動に限りないインスピ
レーションを与えてくれます。
ところで周知の通り、南蛮文化は、石見の銀をめざした南蛮貿易による文物交
流の上に花咲きますが、その原資たる「銀」を、様々な角度から紹介している
石見銀山資料館も、無論、私にとってイマジネーションの宝庫たる場所です。
また、世界遺産でもある「石見銀山遺跡とその文化的景観」は、人的努力によ
り、その豊かな生態系との共存を営々奇跡的に保ってきており、今まさに、そ
の営為を、この厄介なご時世に照らし合わせてみれば、それらの対比は人類の
新しい未来の姿を考える機会に満ちあふれています。
言わずもがな、世界遺産は地球に遺すべき人類の貴重な財産です。そして、そ
の歴史的文化的脈絡を、訪れる人々に教え伝えてくれる石見銀山資料館は、同
様に後世に存続させなくてはならない私たちの大切な財産だと思います。
スタッフより
本日6月15日は、ポルトガル船寄港を平戸で大歓迎した日(1562年)です。この日に合わせ、湯淺さんにメッセージをお願いしました。
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