石見銀山資料館が目指す「学び」とは
2020/5/31 15:10
館長の仲野義文です。
いよいよ明日からリスタートです。4月11日から数えて50日間。振り返れば長いようで短かった、というのが正直な感想です。
四半世紀に及ぶ石見銀山資料館での勤務。一部の例外を除き、年末年始以外は休みなく開館して来ただけに今回の休館はとてもショックでした。非常灯だけが灯る真っ暗な展示室。代官井戸平左衛門の木像がなんだか寂しそうに見えました。
ゴールデンウイークには終日満車になる代官所前広場の駐車場も、今年は閑散とした状態。町並みには人影もない。自粛期間中に閉じてしまったお店もあります。まるで閉山した鉱山町のようだと比喩する人もいました。
ところが、この町の人は実に逞しい。愚痴を言うわけでもなく、むしろ自粛は高齢者の多いこの町の現状においてはむしろ当たり前という感じもします。
先日、群言堂の松場大吉・登美さんご夫妻と久しぶりにお話ししました。同社は町の中にある店舗を誰に要請されるわけでもなく、緊急事態宣言を待つこともなくいち早く休店されました。また、この間、全国の主要都市にある百貨店などの店舗30店近くを休店されています。当館と比較できないほど大変なことは容易に想像されるところです。
しかし、お二人曰く、「大森の時代が来た!」と。決してカラ元気ではなく、むしろ確信をもった言葉だったのが印象的でした。その真意は何か?
残念ながら私にはお二人の言葉を正しく理解することはできません。ただ、お二人が示唆されるアフターコロナ世界のあり方が、この町の歴史や暮らしに何かがあるとするなら、それを学ぶことの意味は大きいはずです。
石見銀山資料館が目指す「学び」とは、このような真理の探求なのです。
← 活動報告一覧へ戻る