私たちの取り組む課題
ひとり親家庭の世帯数の増加
21世期の私たちの暮らしは、一人ひとりの自分らしさが尊重され、多様な生き方、多様な家族のあり方が認知され、差別や偏見のない社会へと変容しようとしています。私たちが暮らす日本においても、離婚率の増加にともない、母子家庭や父子家庭といったひとり親家庭が増えています。物理的な制約を抱えながら、子育ての責任を一手に担う重責は、ひとり親の肩に重くのしかかり、体力的にも精神的にも疲弊しやすい状況にあります。また、社会的にマイノリティである彼/彼女らは、偏見にさらされ、心ない言葉をかけられることも少なくありません。こうしたひとり親への支援や理解は、まだまだ足りているとは言えません。
シングルマザーの窮状
ひとり親の大きな割合を占めるのは女性、シングルマザーです。*(1) 女性であることによって社会的な立場が弱くなりやすく、貧困のリスクも高まります。2016年に行われた全国ひとり親世帯等調査では、母子世帯の平均年収は243万円、父子世帯の平均年収420万円よりも177万円少ないという結果が出ました。正社員として働いている人が母子世帯では44,2%、父子世帯では68.2%、パート・アルバイトの非正規雇用として働いている人は母子世帯では43.8%、父子世帯では6.8%と大きな差があります。母子世帯で離婚した相手と養育費の取り決めをしているのは全体の42.9%、取り決めをしたが、離婚した相手から現在も養育費を受け取っているという世帯はたったの24.3%です。*(2)
シングルマザーの心身の健康の大切さ
ひとり親への支援は、公から民間まで、さまざまなものがありますが、「精神的・身体的ケア」は本人の自己責任となっています。ひとり親が自分の時間をもつことは贅沢だと罪悪感を抱き、自身を追い詰めてしまっているケースも多く見受けられます。 子育て中の大人が前向きさを保つには、適切な休息や心身のセルフケアが必要ですが、その必要性を理解しても、この困窮した状態において、自身でその機会を作る余裕はありません。日頃、自分の時間をもつ余裕のないシングルマザーが少しでも自分の身体をケアする時間を持ち、シングルマザー同士が地域を超えてオンラインで交流できることは、身体的な健康と、精神的な安定をもたらします。そのインパクトは子どもに直接影響が及びます。
多様な家族のあり方、多様な生き方が尊重される時代へ
どのような境遇にあっても、自分の選択に誇りを持ち、自分らしく生きるためには、心身の健康と、人とのつながりが土台となります。こうした機会をシングルマザーが持てるような支援をおこない、一人でも多くのシングルマザーが健康に暮らし、自分の力を発揮し、その子どもも健やかに育つように、という願いを込めて、ここに、シングルマザーの精神的・身体的ケアを支援する特定非営利活動法人シングルマザーズシスターフッドを設立します。一人ひとりの自分らしさが尊重され、多様な生き方、多様な家族のあり方が認知され、差別や偏見のない社会を作ることに寄与するべく、この団体は、営利を追及せず、市民自らが参画できる市民運動としての民主的な運営をおこない、情報公開による信頼性や透明性を維持し、継続性と責任性のある法人として活動していきます。
*(1)2018年の厚労省全国ひとり親世帯等調査によるとの母子世帯数は約123万2000世帯です。父子世帯数は18万7000世帯。つまりひとり親世帯の87%は母子世帯です。*(2)養育費の金額については平均月額が43,707円でというデータもあります。
なぜこの課題に取り組むか
家族の多様性や生き方の多様性を尊重することの大切さを啓発するとともに、ひとり親の女性(戸籍上の性別にかかわらず性自認が女性であるひとり親を含む)に向けた心身のセルフケアの講座や女性のエンパワメントのプログラム、支援者向けの研修プログラムを開発・研究・普及し、家族のあり方や生き方がますます多様化する現代において、困難な状況に陥りやすいひとり親の女性が、本来持つ力を発揮して、活きいきと暮らしていけること、その結果として、ひとり親家庭の子どもも社会から暖かく見守られながら健やかに育つこと、多様性が尊重され一人ひとりが自分らしく活きいきと暮らしていける社会づくりに寄与することを目的としています。
寄付金の使い道
・セルフケア講座の開催
・シングルマザーの就労につながる支援プログラムの開発
・シングルマザーの就労につながる支援プログラムの実施