私たちの取り組む課題
野良猫の保護
当団体ではTNRも行ってはいますが、継続して餌やりをしつつ現場の衛生管理も請け負ってくれる地域住民が確保できない場合には、繁殖現場にいる猫を根こそぎ保護することで新たな繁殖を防いでいます。
また、繁殖現場が公共交通機関の敷地内や個人の私有地でTNRの許可が降りない場合もありますし、人馴れしてしまっていて虐待のリスクが高い場合もあります。リターンしたくてもリターンできない現場がほとんどなのが現状です。
寒さ暑さを凌ぐこと、新鮮な食べ物や水を確保すること、安全な寝床を見つけること…野良猫にとっては何もかもが過酷です。感染症・交通事故・虐待・野生動物・農薬や毒性のある植物による中毒など様々なリスクに常に晒されているため、せいぜい5年生きられれば長いほうでしょう。
過酷な環境で何とか運よく生きながらえている猫たちなので、健康であることの方が珍しく、レスキュー後に命を落とすことも少なくありません。
レスキューして終わりではなく、レスキューしてからがスタートです。
白血病やエイズに感染しているかも知れない、成猫だから懐かないかも知れない、障がいがあって里親が見つからないかも知れない。それでも私たちは出来る限り保護し、必要な医療ケアをして里親を探します。里親希望者に対する審査は厳しく行いますが、命に対して審査はしません。どの子も同じく尊い命です。どんな状態でもレスキューします。
その分、医療費も嵩みますし預かりボランティアやシェルターのお世話ボランティアにかかる負担も増しますが、ご支援してくださる方々や命優先で素早く動いてくれるメンバーに恵まれているおかげで活動を継続できています。
保護した猫たちは2段~3段のケージに1頭ずつ入れています。爪とぎやペットヒーターも完備です。個体の状態によってトイレ砂を変えたり、食器の位置を変えたり、ケージをリフォームしたりと日々工夫とカスタマイズをしながら、少しでも猫たちが快適に過ごせるよう出来る限りQOLに配慮したお世話を心がけています。
※人馴れした子はケージアウトしてフリーにしています。
ブリーダー放棄犬猫の引き取り
ブリーダーの縮小・廃業を専門に活動していらっしゃるボランティアさんがいて、その方が引き出した犬猫を当団体含むいくつかの団体が引き受けています。
中耳炎、角膜潰瘍、重度のパテラ(関節が歪んでいて地面に脚が付けない)、全身の皮膚炎、腹部の巨大腫瘍、伸びきった爪、大量の歯石…どの子も状態は悪いです。茶色の犬を洗ったら実は真っ白だったという事例もありましたし、すぐに手術を受けなければ命にかかわる状態の子もいました。人が管理していた犬猫なので人馴れしている子が多めですが、中には異様に怯える子もいます。おそらく暴力による虐待があったものと思われます。
そんな犬猫のレスキュー時の様子は写真や動画でなるべく公開するようにしています。ペットショップに並んでいるかわいい子犬や子猫の裏側で、どれだけ非人道的に扱われている命があるかを一人でも多くの人に知ってほしいからです。そして、ペットショップで犬猫を飼う人が減り、ゆくゆくは日本で生体販売が禁止されることを切に願っています。
定期的な譲渡会の開催
保護した犬猫たちは適切な医療ケアが終わったあと、人馴れ訓練、散歩訓練・トイレ訓練(犬)など里親募集の準備が整った子から譲渡会に参加させています。
譲渡会ではチャリティーバザーも同時開催しています。
出店者を募り(ハンドメイド作家や製菓店・キッチンカーなど)売り上げの一部を寄付金としていただくことで支援金だけに頼らない運営を目指しています。
チャリティーバザーは犬猫たちの医療費を捻出することが目的ですが、「犬猫にさほど興味はないが、なんだかお祭りみたいで楽しそう」と感じていただき、より多くの方に来場してもらう工夫でもあります。
動物愛護意識をお持ちの方もそうでない方にも保護犬猫という命の存在を目の当たりにすることで、自ら考え、選択し、行動できるようになってもらうのが狙いです。
預かりボランティアさんの質の向上
誰でも預かりボランティアになれるわけではありません。幹事メンバーが直接会って面談し、飼育歴や知識・経験を伺って厳正な審査を行います。
審査を通った方の家族構成や先住ペットの頭数・性格を把握し、一頭ずつに合った預かり宅を幹事メンバーで協議してから犬猫を預けます。
預かりさんとは密に連絡を取り合い、受診の指示、躾や訓練の方法を迅速に伝える他、質問や悩みにもその都度お答えし、なるべく負担なく楽しくボランティアを続けていただけるように配慮しています。
しかし中には犬猫初心者の方もいらっしゃいますので、ミーティング等を開催し、【絶対に守ってほしいこと】【注意してほしいこと】などを伝える機会も設けています。
飼育本には書かれていない危険な植物、預かりさんが良かれと思ってやりがちなNGな接し方など、知識や体験を全員で共有し話し合うことで預かりさん全体のレベルアップを図っています。
なぜこの課題に取り組むか
人間の都合で遺棄されたり物のように消費される命をひとつでも減らしたい!救いたい!それだけです。
まずは目の前の命を救うことが最優先。
その命にまつわるエピソードや情報を発信することで日本中の動物愛護意識が高まっていけば、生き物に対して優しい気持ちを持てる人、アニマルウェルフェアに最大限配慮した適切な飼養ができる飼い主さんを増やしていけると考えています。
寄付金の使い道
犬猫の医療費(検査・ワクチン・去勢手術費用含む)、その他活動に必要な備品や消耗品(特別療法食や仔猫用哺乳瓶等)の購入費に充てます。