私たちの取り組む課題
西神戸朝鮮初級学校には、朝鮮半島にルーツを持つ在日コリアンの児童たちが通っています。初級学校とは、日本の小学校にあたる学校です。幼稚部も併設されており、満4歳から満6歳までの園児も通っています。子どもたちの国籍は、韓国籍・朝鮮籍・日本籍と様々です。
朝鮮学校で学ぶ子どもたちは、日本に住みながらも朝鮮の言葉や文化を身に付けることによって、コリアンとしてのルーツを知り、その特殊なアイデンティティを確立していきます。もちろん、朝鮮学校でも日本の教育内容に沿ったカリキュラムが組まれており、その教科内容には、ネイティブによる英語教育なども1年生から組み込まれています。2021年度からは附属幼稚班での英語体験保育も始まりました。
そして、学校創立70周年を迎えた2015年度からは、"『教える教育』から『みずから学ぶ教育』への転換"を目標に掲げ、卒業生や地域にお住まいの有志の方々のご協力のもと、初級部の教室に無線LANを整備し、20台のノートパソコンも揃え、ICT教育にもいち早く取り組んでいます。
又、2021年度からは初級部4年生以上の全児童に「1人1台のタブレット」を無償で提供し、電子教科書の活用やWEB会議アプリを利用したオンライン学習、プログラミングの特別授業などを推進しています。
近い将来訪れる、AI時代の人材に必要な力は「自ら意思決定する力」だと言われます。西神戸朝鮮初級学校は、そんな時代で生きていく子どもたちが、「〜〜をやりたい!」というモチベーションを持ち、自らの意思で決定していく経験を重視して、日々の教育を行っています。
長年に渡り、教職員のみならず、園児・児童たちの「地域交流・地域貢献」も積極的に行っています。
地域イベントへの参加、近隣の小学校や幼稚園との相互訪問や文化交流・交流学習も年間を通じて行っています。
又、地域防災においても阪神淡路大震災当時に学校を避難所として開放した経験から、今後予期せぬ災害に見舞われた際には、学校施設を積極的に開放する旨を、日頃より発信しており「地域の学校」としての地域住民の皆様からの認知度も年々高まっています。
今日まで約4000名を数える卒業生たちは、日本社会の各分野で幅広く活躍しています。
地域産業であるケミカルシューズ業や鉄鋼業などの生産分野で、各地の朝鮮学校で教員として教育現場で、医師や看護師として医療の現場で、弁護士や司法書士として法律の専門分野で、その活躍の場は多岐に渡り、それぞれ地域社会の活性化や社会機能維持のため、日々貢献しています。
朝鮮学校の運営に対する国からの助成はこれまで一切無い中、学校運営の大半は、卒業生や地域在住の有志の方々、そして心温かい日本の方々からの寄付金でどうにか賄われているのが現状です。
しかし、支援者の多くの方々が携わっておられるケミカルシューズ業界は、新型コロナウイルス感染拡大により大きなダメージを受けており、その影響は学校への継続支援者の減少、寄付金の減額に直結しています。
現在、新型コロナウイルス流行による景気悪化が続く状況で、学校運営や日常的な教育環境維持についての支援を保護者や地域の有志だけに頼るのにも限界があり、学校財政は常に逼迫している状態なのです。
なぜこの課題に取り組むか
西神戸朝鮮初級学校における「特色ある教育」の経験は、同校に通う在日コリアンの子どもたちを国際社会の担い手として育てていくだけではなく、 私たちの身近なところから「多文化共生」社会を実現していくことにつながると信じています。
近年注目されているイエナプラン教育などでも取り入れられている「異年齢の子どもたちによるグループ学習」も、課外活動を通じて日常的に行っており、幼い頃から実社会に近い体験を多く積んでいる子どもたちは、在日コリアン社会に限らず、あらゆるコミュニティにおいて活躍できると確信しています。
又、これまで「朝鮮学校」を知らなかった人たちに、朝鮮学校のことを、そしてこの国で民族教育が行われていることの意義を伝えていきたいと思います。
寄付金の使い道
学校の運営費や施設設備の維持に使わせていただきます。
*本校への御寄付は、寄付金控除の対象になりませんので、予めご了承ください。