私たちの取り組む課題
平成27年に実施された満15歳から満39歳までの者を対象とした調査で、人口の1.57%にあたる54.1万人が引きこもり状態であるということが明らかになりました。また満40歳から満64歳までの者を対象とした平成30年に実施された調査結果と合わせると、日本には100万人近い人たちが引きこもりの状態だということです。平成27年に実施された調査で引きこもりのきっかけが、『職場に馴染めなかった(18.4%)』、『不登校(18.4%)』『就職活動がうまくいかなかった(16.3%)』『病気(14.3%)』であると示されました。
また、少子化の中でも、毎年増え続ける不登校児童生徒。そのことを含めると益々引きこもりとなる子ども・若者が増えてくるのではないでしょうか。私たちは、そのことを課題とし、次の3つの活動を始めています。
- フリースクール事業
- カフェ事業
- 相談支援事業
1)フリースクール事業
何らかの理由で小中学校に通えなくなった子ども達が、他との違いを認め合い、失敗を許し合い、自分らしく学び成長していく場所として、フリースクール事業を始めました。また、全日制の高校に進学した後に不登校になることも少なくありません。そこで、高校を中途退学しなくても良くなるように通信制高校サポート校も併設しています。小中学生は在籍している学校の出席扱いをしていただいます。(※出席扱いは在籍校の学校長判断によります)また、子ども達が『フリースクールに通いたい』と思ったら、『通える』よう全力で様々な障害を取り除くサポートを行っています。
2)カフェ事業
小中学生にとっては職場体験の場として、また高校生にとっては就労体験の場として、そして社会のどこにも繋がっていない若者の社会との接点の場、就労体験・訓練の場として、高齢者施設内で地域に開かれたカフェを運営しています。このカフェでは多世代の交流が盛んに行われ、いつも支え・支える関係が相互に入れ替わりながら、皆が誰かの笑顔の支えとなっています。
3)相談支援事業
不登校や引きこもり状態にある子ども・若者に対する取り組みは当然なのですが、その子ども・若者に一番接する機会にいるのが彼らの家族です。家族も大きな不安を抱えています。そのこともあり家族全体へ相談支援を行っています。
なぜこの課題に取り組むか
世界1位は『笑顔』ではなく、『孤独』だった日本
先進24カ国の15歳の子ども達に対して2007年ユニセフが行った『子どもの幸福度調査』で、日本は世界ワースト1位の29.8%、およそ日本の子どもの3人に1人が『孤独を感じている』という結果となりました。日本以外の全ての国々が10%前後であった中なので、実に他の国々の子ども達よりも3倍もの日本の子ども達が『孤独を感じている』ということになります。
2020年『精神的幸福度』世界ワースト2位
そして、2020年にユニセフが行った同調査において、『精神的幸福度』のランクが38カ国37位というワースト2位と低いものでした。この調査で指標として用いられたものは、『生活満足度が高い15歳の子どもの割合』と『15〜19歳の若者の10万人当たりの自殺率』の2つです。つまり、日本はこの指標において、他国と比較して良くなかったということです。また同調査の『スキル』で使われた指標は『数学・読解力で基礎的習熟度に達している15歳の割合』と『すぐに友達ができると答えた15歳の割合』で、前者の学力面は5位と上位だったのですが、後者の社会的スキルは39位(40カ国中)となっています。
不登校・引きこもりが増える理由
この調査から世界と比較したときに日本の子ども・若者の『心の幸福度(精神的幸福度)の低さ』や『社会的スキルの低さ』が明白です。未来を生き、未来の日本を支える子ども・若者がこのような状態である事実が、増え続ける不登校や引きこもりとなって現れているとは言えないでしょうか。だから、私たちは不登校や引きこもりの子ども・若者に、他との違いを認め合い、失敗を許し合える環境として、自分らしく安心して過ごせる場や自分らしく成長できる場の提供が必要だと考えています。
寄付金の使い道
寄付金は、生きづらさを抱えている子ども・若者が過ごせる場の整備や維持のために利用させていただきます。