私たちの取り組む課題
日本の母子保健は「妊娠」から「出産」までは手厚いケアが充実していますが「産後」のケアは自己責任とされています。出産は女性の心身に大きな負担がかかり、そのダメージからの回復に十分な休養とリハビリが必要です。しかし、教育・啓発の不足から、産む本人も、そのパートナーも、産後の心身にどんなことが起きるか知らずに、備えをせずに産後を迎えてしまいます。その結果、母体の危機、赤ちゃんの危機、産後が起点となる3大危機が社会問題になっています。また、女性が子どもを持って社会復帰するための制度が整っても、本人の産後ケア不足で心身の状態が整わないため社会復帰が叶わず、というのも大きな社会的損失です。
なぜこの課題に取り組むか
妊娠出産は病気ではありませんが、人間の心身にとって大きな負担であることには変わりなく、適切なケア(休養とリハビリ)が必要です。そのことを産む本人も自覚し、パートナーや家族、同僚、上司など、周囲の人々も理解し、サポートすることが大事です。そうすることで、産後うつや夫婦の不和、乳児虐待などの「産後の危機」を予防できるだけでなく、「赤ちゃんを迎える」という人生のトランジションを、さらにポジティブな契機にして行くことができるのです。より夫婦の絆が強まる、より心身に丁寧に向き合う、社会復帰して自分の力を発揮できる、働き方を見直して自分らしい生き方を追究する、といったことは、産前・産後に夫婦で意図的に取り組むことで実現できます。
寄付金の使い道
日本だけでなく、世界においても「産後ケア」の認知度は非常に低いです。「産後ケア」がその後の人生のレバレッジポイントであることはまだ知られていません。女性だけでなく、男性への啓発が必要であると同時に、産後ケアに携わる人材の育成も必要です。また、とりわけ支援が必要ながらその支援にアクセスできない属性を持った人々がいます。例えば、ひとり親、障がいをもつ児の親、双子など多胎児の親、低体重出生児の親、10代の親などです。こうした人々を社会全体で支えることが必要です。お預かりした寄付金は、啓発、人材育成、要支援の親へのサポートにあてられます。