事業の目的
社会的処方って何だろう?
たとえばこころやからだの調子が悪くて病院に行くとしましょう。
診察を終えた患者さんは「この薬飲んでね」と、かかりつけのお医者さんから処方箋を受け取りますね。
このとき薬だけではなく、体操や音楽、ボランティアなど、参加すべきサークル活動を医者が紹介したらどうでしょう?
薬と同じように「社会とのつながり」を処方するから社会的処方。
イギリスでは釣りや編み物の集まりに参加した高齢者がうつ病から脱したなどの例もあるそうです。
私たちは、日本でもこの社会的処方が広がるといいと考えて、まちのなかで情報を集め、それを市民の方々にとっての「おくすり」にしていくことを研究しています。
これまでの活動
社会的処方研究所の3つの機能
・Research
・Factory
・Store
について簡単にご紹介します。
Researchは、まちなかに出て情報を集める(フィールドワーク)。インターネットなどで調べてみる。有識者の先生の話を聞いて勉強する。つまり、ここは例えるなら町中に眠っている「お宝」を探しに行く活動です。
Factoryでは、Researchなどで集めた情報を元に、みんなで集まってワークショップを行います。例えば「認知症」や「ダブルケア」などの事例について、具体的な解決方法を話し合っていきます。つまり、ここでは「工場」のように参加者それぞれが持ちよった材料から、処方せんを自分たちで作っていくのです。
Storeは「暮らしの保健室」。Factoryで作った処方せんをためておいて、困りごとがある方へそれをお渡ししていきます。つまり、ここは実際に医療機関などからの紹介や口コミで訪ねてきた方へ「社会的処方」をお渡しする場です。
2018年に社会的処方研究所を立ち上げてからこれまで、Factoryを約20回開催し、事例検討を行いました。コロナ禍になってからは皆で集まるイベントは自粛していますが、代わりに「社会的処方研究所オンラインコミュニティ」を立ち上げ、オンライン上での事例検討や情報共有を続けています。
これまでの事業成果
国内におけるResearchおよび、イギリスに訪れての取材をもとに『社会的処方(学芸出版社)』を刊行しました。この本をもとに活動を広げていった結果、政府にも社会的処方の有用性が認められ、「骨太の方針2021」において社会的処方は国の孤立・孤独対策の一手法として明文化されました。厚生労働省主導により、社会的処方モデル事業が2021年に開始され、今後、社会的処方を用いた政策が組み立てられていくこととなっています。当法人は求めに応じて政府に対し情報提供を行っていくことと同時に、市民や活動団体に対する啓発および実践支援を引き続き行っていきます。また、川崎においても実際に医療機関と連携した社会的処方システムを構築していく予定です。
事業の必要経費
イベントの開催費およびスタッフの人件費、また取材や研究そのものにかかる経費について使用いたします。