私たちの取り組む課題
能楽シテ方喜多流の本拠地である喜多能楽堂がまもなく築50年を迎え、老朽化への対策とともに、お客さまの安全安心のための耐震補強などが必要となりました。
なぜこの課題に取り組むか
老朽化が進む中、能楽堂を運営する公益財団法人十四世六平太記念財団ではここ数年に亘って改修、改築、譲渡、移転等の道を探りながらも財団の財政がコロナ禍によりさらに逼迫を加えたことから、現実的な選択として土地を売却し能楽堂を解体、能舞台は地上5階建てのマンションの地下に規模を縮小して納まるというプランが検討されました。
老朽化は全国の能楽堂が等しく抱える課題ですが、能楽堂本来の形状をもつ独立した建物である喜多能楽堂の存在は、今後ますます価値を高めていくことと思われます。また能舞台のみならず故榛沢敏郎氏による建築物としての評価も高く、能楽堂の位置する地元品川区教育委員会からは文化庁に対し有形文化財への登録申請を勧められております。
この価値ある能楽堂を解体することへの反対の声は数多く寄せられたうえ、改築にむけた調査にあたった建築士からも現状を温存すべきと強く意見されたこともあり、いったん具体化した改築計画を白紙とし、この度、創建以来となる大規模改修に着手し、喜多能楽堂を存続させることとなりました。
寄付金の使い道
懸案であった耐震補強や防水等の安全対策を施すとともに外観内装を美化、新たな機能も追加して「安全で快適な開かれた劇場」の実現に向けて、本年5月より工事に着手しました。
一方で総工費4億円のプロジェクトとなるため、創建時にお力添えいただいた日本財団様から50%の助成をいただくことができましたが、残り2億円の自己資金を調達しなければなりません。
竣工後はさらに能楽に親しんでいただく機会を増やすほか、能舞台や稽古場も広くみなさまにご活用いただきます。日本が世界に誇る能楽という伝統文化を品川の地に育んでいきたいと考えております。
何卒引き続きご支援賜りますようお願い申し上げます。