私たちの取り組む課題
北アルプスは日本を代表する山岳景観として大部分は中部山岳国立公園に指定されており、日本百名山にも指定される名峰や多様かつ原生的な自然環境が多く残っている地域です。
広大な山域を繋ぐ登山道が県境を跨ぐ形であり、貴重な自然体験をする上で登山道は目的地への必要不可欠なアクセス手段として山小屋事業者や山岳会等の関係者を中心に維持されてきました。
富山県域においても、登山道として公園の計画に指定されている総距離は約230kmと非常に長く、地形や標高等の条件によって維持作業の内容も大きく異なります。
そうした中で登山道維持は従来から労力が必要でしたが、近年の山小屋の経営体制の変化や自然災害の増加といった様々な要因により登山道の維持が困難であるという課題が明らかになってきました。
地域関係者を中心に登山道の持続的な利用に向けて意見交換を進める中で、主に課題として以下のようなことが挙げられます。
•過去に整備した登山道施設の老朽化、周辺環境における荒廃の進行
•登山道維持に関わる詳細な情報収集、整理の実施
•登山道維持・保全対策等を行う人材の確保
•行政側の予算措置(維持管理のための予算が十分ではない)
•公園計画(管理計画)における整備方針、管理水準が不明確
こうした状況の中で、令和6年度より地域の関係者で構成される協議会を形成し、課題の詳細な情報収集・整理・発信を行うとともに、不足する技術を持った人材や予算の確保に向けて北アルプストレイルプログラムという利用者が登山道維持に協力できる仕組みの検討を進めています。
なぜこの課題に取り組むか
大きく分けると以下の2点のために取組みます。
・北アルプスの登山利用を持続可能な状態に維持するため
・利用による自然環境のへの影響の軽減と保全を推進するため
雄大なアルプスの山岳景観、可憐な高山植物、多様な地形や標高が構成する原生的自然等、登山体験の中でも距離も長く、標高の高低も大きい中で名峰からの景色や希少な動植物といった様々な経験や新たな知識を得ることができる登山利用について持続可能な仕組みを検討することが求められています。
また、登山利用において、施設の老朽化や草刈り等だけではなく、年間に多くの利用者が通行することが起因となる土壌浸食の進行、周辺の植生環境の変化といった人為的な自然環境への影響は個人単位では小さな影響ですが、数万人となると厳しい自然環境下であることもあり長い年月をかけて少しずつ登山道が本来の道ではなくなることも少なくありません。利用面で歩きやすさを重視するだけではなく、周辺の自然環境への影響が軽減されているかも登山道維持においては非常に重要です。
登山道維持は地道かつ労力を伴う作業が多いですが、持続的に維持を行い、自然環境も保全するのは人であるからこそ人材の確保や各種対策を行う必要があると考えています。
寄付金の使い道
皆様から頂いた寄付金は、持続可能な登山道維持、登山道周辺の環境保全を目的とした活動に使用させて頂きます。
具体的な使途については、実施主体である北アルプス富山県側登山道等維持連絡協議会にて関係者の合意のもと決定し使用させて頂く予定です。
【寄付金の使途(候補)】
・ヒアリングや現地調査により登山道維持の作業が困難である区間への一部補助
・山岳ガイドや外部関係者による作業人材の確保、育成
・登山道周辺の土壌浸食の修復、周辺の植生復元活動、現状把握のための調査
・登山道維持や生態系保全を行える人材育成活動(現地作業講習会の実施、実施団体への支援等)