私たちの取り組む課題
音楽が耳で聴くだけでなく、目でもみえたなら
聞こえない子どもたちも一緒に、世界中の人たちが歌えたなら
どんな世界が広がると思いますか?
みなさん、はじめまして。ホワイトハンドコーラスNIPPON芸術監督のコロンえりかと写真家の田頭真理子です。
私たちの新たな挑戦である「第九のきせき」は、ベートーヴェンの交響曲第九番「歓喜の歌」(以下「第九」)を合唱と共に手話で 歌うライブパフォーマンスと、音楽を可視化する写真によって生み出された、今までにない体験型のインクルーシブ(包摂的)アートです。
耳の聴こえない人も音楽を楽しめる方法はないのかと長年疑問を持ち続けた声楽家のコロンえりかは、日本ろう者劇団の井崎哲也と共にホワイトハンドコーラスNIPPONを立ち上げました。ホワイトハンドコーラスNIPPONは、耳の聞こえない子、目の見えない子、自閉症、車椅子ユーザーなど6歳から40代の多様なメンバーが参加するインクルーシブな合唱団です。
ろう者のメンバーが手話で対話を重ねながら「第九」の歌詞を「手」で歌う「手歌」に訳し、2021年12月に東京芸術劇場にてバッハ・コレギウム・ジャパンとの共演で、手歌による第九を世界で初めて演奏しました。
写真家田頭真理子は、指先にLEDを付けた特殊な手袋で、彼らの手からほと走るエネルギーを「軌跡」に残す独自の手法で、音楽を可視化しました。
田頭もまた、この活動を通して、写真は見るだけなのだろうか、見えない人も写真を楽しむことができないだろうか、という疑問を抱くようになり、触れる写真や、参加者も喜びを一緒に体験できる撮影体験などを展覧会に盛り込み、2022年、ダイアログダイバーシティミュージアムでこれまでの写真の概念を壊した新しい表現で体験型写真展「第九のきせき」を開催しました。
このプロジェクトでは、音楽や写真の枠を超えた新しい可能性を広げ、
「聞こえないから音楽はわからないだろう」
「写真は目が見えないと楽しめないだろう」
こんな思い込みも壊せる創造に挑戦しています。
なぜこの課題に取り組むか
その革新的でインクルーシブな取組みが評価され、「第九のきせき」はバリアフリーのアカデミー賞と言われるZERO PROJECTの国際会議「ZeroCon24」に招聘されました。「第九」の初演から200周年にあたる2024年にウィーンへ日本から約80名が渡航し、世界約70カ国から集まる代表団約600名と共に「第九」を演奏し、体験型写真展を開催するという一大プロジェクトです。
ただし「ZeroCon24」に出席するOECD加盟国は、ウィーンへの遠征費用の支援を受けられません。その上、ウィーンに渡るホワイトハンドコーラスNIPPONのメンバーの多くが、経済的に脆弱な環境に置かれています。重度の障害がある子どももいます。
このような素晴らしい経験ができた子たちは、子ども自身はもちろん、日本社会の将来にも大きな影響をもたらすと考えています。この子どもたちは、日本社会のゲームチェンジャーです。ウィーンでの体験が、彼らの帰国後の人生で30年も40年も行動を変えていくとすれば、将来彼らと出会うであろう数百、数千の人びとの心も動いていくことでしょう。
だからこそ、世界の舞台に立つんだ!と勇気を出して手を挙げた全ての子どもたちを、どうしてもウィーンに連れていきたいのです。
そして「歓喜の歌」を世界中の人たちと、国境や障害、五感も超えて一緒に歌いたい! それが私たちの夢です。
寄付金の使い道
- ホワイトハンドコーラスNIPPONメンバーとサポートスタッフのウィーン遠征に関わる交通費、食費、宿泊費等の資金
- 体験型写真展の開催費用