
事業の目的
社会的孤立による死亡リスクは「1日15本の喫煙に匹敵する」と言われ、心疾患や脳卒中、認知症のリスクを高める深刻な健康・社会課題です。特に都市部では地縁が希薄化し、男性の約34%が「助け合う相手がいない」状態にあります。
その大きな要因の一つが、会社ひと筋で生きてきた人が定年退職と同時に所属コミュニティと役割を一度に失ってしまう「定年退職の崖」です。
本事業の目的は、孤立して深刻化してから支援する対症療法ではなく、「退職前の現役期(未病段階)から地域コミュニティとの橋渡しをつくる」ことです。
さらに本取り組みは、参加者の孤立予防にとどまりません。定年を控えた豊富な知見や経験を持つ人材が地域に参画することは、深刻化する地域の担い手不足の解消や、リソースが不足しがちなNPO・市民活動団体の運営支援にも直結します。
企業(職域)から地域へ人材が循環し、支える側と支えられる側双方が豊かになる「多世代共創社会」の実現を目指します。
これまでの活動
本事業では、退職を控えるプレシニア層や現役社員を対象に、対面(リアル)およびオンラインの双方で、都内や神奈川県近郊の企業に勤務する多くのビジネスパーソンへ実践型プログラムを提供してきました。
プログラムは「意識変容ワークショップ」「ボランティア実践体験」「振り返り・未来設計」の3ステップで構成されています。
- リアルでの地域実践モデル(神奈川県藤沢市等)
- 在住・在勤の企業人等を対象に対面ワークショップと地域活動体験を実施。環境美化や森林保全など、無理なく参加できる地域接点を創出しました。
- 全国展開を見据えたオンライン型モデル
- 首都圏をはじめ全国の企業勤務者等を対象にオンラインで展開。専用マッチングポータルを活用し、多忙な現役世代でも自分の関心や生活圏に合わせて地域活動へ一歩踏み出せる仕組みを実証しました。
大手求人・ボランティアプラットフォームやキャリア関連団体等とも連携しながら、職域から地域コミュニティへの「ソフトランディング」を伴走支援しています。
これまでの事業成果


少数ながら科学的根拠に基づく確かな効果が実証され、地域での実践が進んでいます。
科学的エビデンスによる効果の実証
- 藤沢市での実証実験(40歳以上対象)において、独自指標である「展望的自己有用感(将来、自分は必要とされる/感謝されるという確信)」が統計学的に有意に向上
- 「この先、周囲から感謝されると思う」、「将来、自分は必要とされると思う」と、孤立を防ぐ心のセーフティーネットが形成されることを確認しました。
- オンライン実証では参加者の7割がプログラム終了後も何らかの地域活動に参加する意向を示しています。
地域の担い手不足解消とNPO・地域活動の活性化
- 参加者(現役社員・プレシニア層)が活動に加わることで、人手不足に悩む地域NPO、環境保全団体、福祉施設などへ新たな担い手を供給。
- 企業で培った経験や丁寧な作業姿勢が受け入れ先団体からも高く評価され、**「地域を支えるNPO側の活動基盤の強化」と「参加者の生きがい創出」**という、双方にとっての好循環が生まれています。
参加者からの声
- 「『ありがとう』と言ってもらえた。仕事上の評価とは違う、素直な嬉しさがあった」
- 「森林保全活動に参加した。誰かと直接話さなくても、自然や社会の役に立っている実感が次の活力になった」
事業の必要経費
本モデルを県内自治体や企業へ横展開し、継続的な孤立予防のインフラとして定着させるため、以下の活動経費として大切に活用させていただきます。
1.地域活動・ボランティア受入先の開拓およびマッチング伴走費
コミュニケーションに不安がある方でも参加しやすい活動(森林保全や環境美化など)の開拓・安全管理
2.エビデンス構築のための効果測定・調査分析費
参加者の心理的変化(自己有用感・孤立リスク等)を科学的に可視化・検証するためのアンケート調査およびデータ分析費用
3.経済的余力のない地域団体や中小企業向けへのプログラム無償提供枠の運用費

