私たちの取り組む課題
日本各地で問題視される「放置竹林」。
勢いよく茂る竹は、都会で生活している人にとっては単に自然の営みの一部として思われるかもしれません。
もともと里山では、春の味覚の筍はもちろん、日々の生活道具や建材としての竹材がコンスタントに消費されていました。
人の手が竹林に入ることで、人の生活の場と森林の間で「裏の竹やぶ」と共存していたのです。
しかし戦後のプラスチック製品の普及や、高齢化によって体力が必要な筍収穫の習慣が無くなったことによって竹と人とのつながりが絶たれ、徐々に放置竹林が猛威を振るうようになりました。
竹は地下茎の面積を広げつつ、日光を求めて凄まじいスピードで背を伸ばします。
なんと1日に1m近く成長する場合もあり、春先に勢いよく伸びた上に葉を茂らせて周囲を日陰にすることで、他の植物の芽吹きや成長を阻害します。
その結果、そこは竹だけが生える多様性のない土地となり「竹林砂漠」と呼ばれる状態になります。
特に山林において重要な保水能力や野生動物の餌を担う広葉樹を駆逐してしまうのです。
里山では住宅の床下や田畑に地下茎が広がり、生活が難しくなります。
根が浅い地下茎は、大雨による地滑り原因となります。
崩れて川に流れ込んだ根は下流域に漂着して、そこで新たな竹林を増やし始めます。
流木となった竹は河原に積みあがったり、海にまで流れ込んで漁場を荒らしたりします。
深刻なのは竹本体による害だけではありません。
竹によって多様性を失った森林は豊かさを失い、栄養に乏しい水が流れ込んで水の中の生態系にも影響を及ぼします。
人の生活のエリアで茂り過ぎた竹林は道路を暗くして、人が通らなくなったり不法投棄の場となることも多々あります。
なぜこの課題に取り組むか
時は2012年までさかのぼります。
南信州の飯田市にある渓谷、県立公園「鵞流峡(がりゅうきょう)」。
ここには昔ながらの和舟文化による舟下り観光があります。
かつては風光明媚な紅葉の名所でしたが、放置竹林によって景観が損なわれていました。
さらに悪いことに、暗い竹林の中へゴミや廃棄物を捨てられる問題が起こっていたのです。
これに心を痛めた舟下り船頭の有志がノコギリを手に渓谷の斜面で整備を始めました。
切りがない大自然との格闘に気持ちが折れかけた頃、渓谷の上の地域住人との縁が生まれました。
ここで「天竜川鵞流峡復活プロジェクト」が誕生し、整備活動はもちろん、子どもたちとの環境教育や「国産メンマ」の商品化などのコンテンツが発展していったのです。
鵞流峡の整備活動が成功していくにつれ、他の地域から「整備のやり方を教えてほしい」という声が相次ぎました。
そこで周辺地域を見回してみると、予想以上の放置竹林問題があちこちにあることに気づいたのです。
もはや鵞流峡のみの活動で収まっている場合ではない、活動で得たノウハウを他の地域でも生かしていくべきではないか。
この問題に真正面から取り組み、行政や地域の枠を超えた団体が必要ではないか、という結論に達しました。
寄付金の使い道
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