私たちの取り組む課題
ルワンダにはさまざまな原因で障害を負った人たちがいます。彼らは自立し、社会に参加することを望んでいますが、障害のために阻まれていることも多いです。
ワンラブはそんな彼らの自立を促すために、以下のことを行っています。
- 義肢・装具・杖・車いすなどの無償製作と配布。⇒ワンラブのメイン事業。義足作りなくしてワンラブはありません。
- 義肢装具配布のための巡回診療。⇒地方に住む障害者は首都にある義肢製作所まで出てくることも難儀するため(交通費を持ち合わせていないなどの理由から)、行政とコンビを組みながら地方の村や町を訪ね、障害者のデータを取りながら、義足の型取り、杖の配布などを行います。
- 障害者の雇用促進。⇒障害のために就職の面接を受けても断られたり、仕事に就けないことが多いです。彼らの雇用を少しでも増やすため、障害のあるスタッフを雇うことを心がけています。
- 社会に復帰するための職業訓練。⇒手に技術があれば、それだけ就職や仕事を見つける機会が増えます。障害者が自立するためには、技術を身に付けることは欠かせません。そしてワンラブを未来につなげていくために、義肢装具士の育成には力を注いでいます。今までに10人が日本で義肢製作の研修を受け、現在ワンラブで働いているスタッフ、独立して自分の義肢製作所を構えた人、結婚して家庭を守っている女性などがいます。
- パラスポーツの促進。⇒障害を負い、自分の身の回りのことが出来なくなったと精神的にコンプレックスを持つ人も少なからずいます。でも出来ることはたくさんあります。その可能性を見つけ出すためのスポーツをいろいろやっています。2000年には当団体が国際パラリンピック委員会に働きかけ、ルワンダ発のパラリンピック出場を成し遂げました。
- アビリンピック大会への参加。⇒アビリンピックはおよそ4年に一度開かれる障害者の技能を競い合う大会で、2007年の静岡大会を皮切りに、4度のアビリンピック大会に参加しました。義足製作、洋裁、絵画、刺繍、マッサージの競技に選手を参加させることが出来ました。
ワンラブは首都キガリ市に義肢製作所を設け、そこを拠点に義肢装具士の育成や義足製作を中心に障害者支援を行っています。
なぜこの課題に取り組むか
【ルワンダの歴史。】
もともとルワンダには民族の違いはありませんでした。王様のもと、牛を飼う人、畑を耕す人、焼き物を作る人たちが平和に暮らしていました。
でも1900年代に西洋に植民地にされたことにより、国民を分断、対立させる構図が作られました。国民を3つの民族に分け、優劣をつける政策が取られたのです。その結果が59年から始まったルワンダ大虐殺です。94年に起こった大虐殺では100万人以上の人が殺され、またたくさんの人が鉈や斧で手足を切り落とされるなどの障害を負いました。
虐殺後のルワンダは、対立・虐殺の原因となった民族名が書かれている身分証明書を廃止し、民族をなくしました。「ルワンダ人」として国を作っていくことを決めたのです。
【出会い。】
団体の代表と副代表は1989年ケニアで出会いました。副代表はルワンダの大虐殺から逃れてケニアで生活をしていた、足に障害のあるルワンダ国籍の男性です。お互いに惹かれ合い、ルワンダの大虐殺が終わったら、被害に遭った人たちを支えたいと願い、団体を設立しました。そして代表自ら義肢装具が作れるよう、横浜にある義肢製作所に弟子入りし、義肢装具士の資格を取りました。副代表は大虐殺終了後すぐにルワンダに戻り、団体の設立に動き回りました。
【国造り。】
幸い94年7月に大虐殺は終了し、政府と国民が一丸となって、国の復興に力を注いできました。またワンラブも96年にルワンダ政府からNGOと認定され、国造りに参加してきました。
最初は街の中心から少し離れた所の、レストランだった所を借り受け、小さな義肢製作所を開きました。しかし場所も小さく、未舗装の急な坂道に位置していたため、足に障害のある人たちはアクセスしづらく、政府に他の場所を提供してもらえないかと1年かけて交渉し、1ヘクタール以上ある土地を譲り受けました。
何もない荒れ地だったので、そこを開拓し、建物を建てるためのレンガも自分たちで手作りし、ワンラブランドと呼ばれる施設を築き上げました。
そこには義肢製作所の他に、活動資金を生み出すためのレストランとゲストハウスを併設しました。
後にこの場所は、気候変動による大雨のため、土地の中を流れる川が氾濫し、5度の洪水の被害を受けてしまいました。その状況が危険であると判断した政府により、建物を強制撤去され、移転を強いられます。
現在は新しい場所に建物を建て、義肢製作所とゲストハウスの運営を進めています。(レストランも運営を検討中。)
虐殺後、目覚ましい復興を遂げるルワンダにおいて障害者の立場や生活は少しずつ改善されてきています。しかしまだ不十分なことも多く、声を上げていく必要があります。
彼らの声が行政に届かないことも多かったため、当団体が政府に働きかけ、国会議員の中に障害者枠を一席作るよう提案したところ、可決されました。
また公共の施設などでは、障害者のための設備が整っていなかったので、例えば車いすのスロープを設置したり、バリアフリーを提案してきました。
しかし障害そのものがなくなるわけではなく、障害者が仕事に就き、社会に参加することがまだ難しい状態です。
手足を失った人たちは行動範囲も狭くなり、人との出会いも減ってしまうこともあります。
彼らがもっと社会に出て、活躍するためには、義足の存在が必要です。
義足を履いて、外に出て、行動範囲を広げ、人との交流を深めることによって、彼らの生活を大きく変えることが出来ます。そしてさまざまなチャンスを得ることが出来ます。
ワンラブはそんな彼らの支えになるために、これからもいろいろな支援をしながら活動を続けていきます。
寄付金の使い道
いただいたご寄付はすべてルワンダの障害者の義足を作るための費用に使います。
例えば;
- 義足・装具・杖などを作るための材料費
- ルワンダで雇うスタッフの人件費(義肢装具士・受付け・在庫管理係・セキュリティ・清掃員など)
- 活動を進めるにあたってかかる運営費(光熱費・通信費・移動のための燃料費・雑費など)
- 定期的に行う義足製作の巡回診療に係る費用(燃料費・準備費・材料費など)
*例えば一番シンプルな義足1本を作る費用に35,000円ほどかかります。