私たちの取り組む課題
① 開拓の歴史を広める
令和元年8月15日から北海道開拓の歴史を発信するウェブサイト「北海道開拓倶楽部」を運営していています。世界的にも希な極寒豪雪の地をわずか100年あまりでヨーロッパにも匹敵する豊かな実りの大地に変えた北海道開拓は〝世界史の奇跡〟とも呼ばれました。このサイトではそうした北海道開拓の歴史をさまざまな角度から発信しています。ここだけのオリジナルコンテンツが満載です。
https://www.hokkaidokaitaku.club
② 開拓の歴史を結ぶ
北海道の美しい景観、豊かな暮らし、産業の基盤———その源流をたどると必ずそこには開拓者の血と汗の努力があります。開拓の歴史を知ることは今の私たちを知ることであり、未来を見通すことです。道内各地に残る開拓の史跡、遺跡を訪ねて、今の私たちの暮らしとの繋がりを確認する見学会など、開拓の歴史と今の私たちを結ぶ活動を行っています。
③ 開拓の歴史を守る
歴史を失うものは未来を失うといいます。残念ながら今の北海道では開拓の歴史がないがしろにされています。歴史の記憶や記録、遺産も失われようとしています。父祖の努力の成果として私たちがここにいるならば、父祖が遺した歴史資産を次代に繋いでいくことが子孫である私たちの責務です。北海道開拓の歴史を守る活動に取り組んでいきます。
なぜこの課題に取り組むか
北海道は流氷が押し寄せる最も南です。世界には北海道並みに雪の降るところ、寒冷なところはありますが、北海道ほど降雪があって寒冷な地域はわずかです。まして北海道ほどの面積に500万人の人口を擁する地域は存在しません。
このような苛酷な地域であればこそ、19世紀の後半までその大部分は豊かに太古の自然の残る地域となっていました。しかし、西洋列強の進出が極東地域に及ぶとここにも支配の魔手が及びます。このとき私たちの父祖が選んだのは、長年の因習を乗り越え、開発と近代化によってこの脅威を撥ね除ける道でした。
国際法がまだ十分に確立されていない時代、世界の地図は列強の力業で塗られていきました。そうした時代に独立を護るためには、支配困難な人々の根を張った暮らし、後進の誹りを受けない高い文化が必要です。もちろん、それを築くためには永続的な生活の環境と持続的な産業がなければなりません。
私たちの父祖は、教わる手本もなく、指導を受ける師もなく、あっても苛酷な自然に跳ね返されながら、百の失敗から一の成功を掴み、協和と協同の精神で、ここに生活の基盤をつくり、産業の土台を築きました。そして、その成功は「世界史の奇跡」と呼ばれたものです。
わが国において、北門の鎖鑰《さやく》として北から迫る脅威を防いだのも、豊富な資源で近代化に貢献したのも、災害や戦争という国難において受け皿となってきたのも、この北海道です。もし、幕末から明治にかけての時代に、ここ北海道で本格的な開拓の業を興さなければ、今、わが国はどうなっていたでしょうか? 私たちはこの豊かさを享受できていたでしょうか?
令和の現在、西方では19世紀のような力業による地図の塗り替えが起こりました。一方、北海道の人口は減少の一途を辿り、減少数で何年も全国一を続けています。このような危機の時代だからこそ、不屈の開拓者精神で困難に立ち向かい、フロンティアを拓いてきた父祖の歴史から学び、その精神を受け継ぐべきだと考えます。