私たちの取り組む課題
経済的及び社会的に困窮している方々は、福祉的サービスを受けたくても受けられないことが少なくありません。中でも、介護や障害の制度を利用することが出来ない、病気だが成年後見制度の対象外となってしまうなどの「制度の狭間」にある方々は、無償で手伝ってくれる家族や仲間がいれば避けられるはずの困窮状態に陥り、ますます孤立し、孤独死への道をたどる確率が高くなります。
現代社会は「経済的貧困」だけではなく、「社会的貧困」、すなわち、他者との関係性の貧困が大きな課題です。関係性が乏しいと、いざという時に「助けて」と言える相手がいないのです。だから、孤立した心には安らぎが失われ、生きる意欲が低下します。私たちは、そんな孤立を防ぐ伴走型支援と支え合う居場所づくりに取り組んでいます。
「ひとりじゃないよ」を合言葉に活動を初めて今年で11年。訪問・相談支援事業や相互交流の機会づくりなどの様々な形で、20000人を超えるひとり暮らしの方を支援してきました。
そして2020年5月以降、新型コロナウイルスの感染拡大により相談件数が急増。年間の相談件数は5000件と、前年の倍以上になりました。
「行く当てを無くした方の緊急避難場所をさがしている」「万が一亡くなられた場合の身元引受をお願いできないか」そんな問い合わせが、毎日私たちのもとに届きます。私たちでんでん虫の会の活動の重要性は日に日に増していると感じています。
11年間、でんでん虫の会は色々な助成金団体の支援を主な活動資金として活動を続けてきました。
しかし、活動の必要性が増したことによる事業拡大に、資金面で対応しきれていないのが現状です。
なぜこの課題に取り組むか
・でんでん虫の会が取り組むこと
わたしたちでんでん虫の会は、主に3つの事業に取り組んでいます。
経済的な生活困窮に加え社会的なつながりが弱くなっている方に必要な支援を、医療機関・フードバンク・地域包括支援センター・行政など様々な機関と連携しながら取り組んでいます。
「わたしたちができることはこれです」とメニューを提示するのではなく、とにかく目の前の人の困りごとに向き合い、できることをなんでもします。だからこそ制度の狭間にいる人の支援ができるのです。
①困りごとを受け止めるために
「発達障害のボーダーにいる」「事情があって親族から支援を受けられない」など、現状の支援制度の狭間で取り残されてしまっている人たちを救う受け皿の役割を担っています。こちらから生活に困っている方の自宅に訪問することもあれば、電話やLINEの相談窓口からご連絡を頂くことなどがあります。例えば、以下のような支援事例があります。
② 「顔が見える関係づくり」のために
危機的な生活を脱したとしても、人とのつながりを持てず日常的に孤独を感じている状態では心身共に安定した生活を送ることはできません。そのため、一人暮らしの方同士で「顔が見える関係」を構築するサポートをしています。
活動開始直後から、毎週水曜日の午後の開催してきた「おしゃべり会」には毎回30名程度の方が訪れています。困りごとをお互いに支え合おうとの趣旨から始まった「ささえ愛サービス」では、でんでん虫の会の繋がりのある方たち同士で草取りや買い物など簡単な作業を依頼し合う仕組みをつくりました。
また、でんでん虫の会の会員さんや終末のお見送りをさせて頂いた方が亡くなられた際には「お別れ会」を開き、出棺前にみんなで歌を歌ったり、棺に思い出の品を入れながら関わりのある方たちで言葉を交わします。出棺の際は手を振ってお別れします。
人と人と「顔が見える関係」をつくり・維持することが、誰もが安心して暮らすために不可欠だと考えています。
③より良い生活のために
1人暮らしの方が、自分の居場所を見つけ、社会に参加する喜びを得る機会をもてるように、就労支援事業を行っています。就職先の紹介、就労相談所への同行だけでなく、病気などの事情でフルタイムの仕事が難しい方向けに一日数時間からの簡単な仕事の紹介もしています。
また、1人暮らしの寂しさからアルコールやギャンブルに依存してしまう方を対象に「生活費支払い支援」を行っています。ご本人の希望に応じて通帳をお預かりし、週に1~数回に分けて生活費のお渡しを行います。ご本人の大切なお金を管理させて頂くことになるため、信頼関係を大切に「生活を安定させるための仕組みの実現」を一緒に考えます。
私たちの活動は、いわゆる制度の狭間に陥った方々の身内がわりになることです。職や家、また、DVなどで安全な居場所を失って頼るところがないという方々からご相談を受けます。民間シェルターを運営する団体などと連携しながら居場所の確保をはかり、医療を受ける必要がある時には無料低額医療につなげたり、生活保護の申請をお手伝いしたりして危機的状態を回避し、アパート入居などの新たな居場所を確保するお手伝いをします。
伴走型支援を基本としておりますので、その後のつながりと見守りを継続しますが、支援する側される側ではなく、ともに支え合う仲間として交流したり、得意分野を生かして役割を担ったりできる、「社会とつながる居場所づくり」を並行して行うことを大切にしています。その上で、体調を崩したら病院に連れて行ったり、買い物をしたり、フードバンクなどの助けを借りながら食糧を提供したりと、日常の困りごとを気軽に相談し合い、互いに支え合う関係づくりに努めていくのです。
そうすることで、日頃から付き合っているからこそ気づく異変が起きた時に早く対処出来ますし、隠れた障害などのスクリーニング機能を果たし、介護や障害の制度につなぐことができます。また、判断できない状態に陥った時にはあの人だったらこう思うだろうと伝えることが出来ます。おしゃべり会など会員同士の交流を通して培われた信頼関係のもとに緊急連絡先となり、死を迎えた後のことを引き受け、交流してきた仲間と見送るのです。
事業の社会的な重要性がます今こそ、安定した経済基盤や新たな収入源を持つことで、既存の事業を継続し、より安定したものにしたい。そんな想いで、マンスリーサポーター募集の実施に至りました。
寄付金の使い道
ささえ愛の活動内容
「でんでん虫の会」では、おひとり暮らしの方が住みなれた熊本で安心して暮らすことができるよう、お互いに支えあう仕組みづくりを目指しています。
ただ、生活困窮に陥っている方々はサービスのための費用を負担できないことが多いためボランティアが主になりがちです。
また、熊本地震・コロナ禍・豪雨災害なども相まって専門機関からの相談が増加しており、2名以上の専門知識や経験豊富なスタッフの確保と維持が必要です。
会員約200名/総登録約500名
年間;相談件数2000~3000件/相談項目件数5000~6000件
・おしゃべり会(毎週水曜日午後2時~あいぽーと)
・ささえ愛サービス(30分・500円)
・病気の方の見舞いや通院同行
・入院や手術手続きの代行
・清掃・草取り
・生活費・物資調達のお手伝い
・ 生活保護申請同行
・アパート入居の際の不動産紹介
・身元引受人/預託金積立
・生活費支払支援
・入居者同士の交流
・逝去後の諸整理とお見送り
・行政・医療機関・他の支援団体との連絡・連携
・セーフティネットサービス
・被災者救援活動
・いろいろな生活相談