ストーリー
「ただいま」
この一言を、当たり前のように言える人もいれば、言えない人もいます。
私は、その違いを、この8年間ずっと見てきました。
今年も誕生日を迎えました。
毎年この日には、プレゼントの代わりに「生き直し」へのご寄付をお願いする、バースデードネーションを実施しています。
今年もこうして誕生日を迎えられたことに、まずは心から感謝申し上げます。
この一年も、多くの方との出会いがありました。
先日、新たな方を受け入れ、これまでに受け入れてきた方は累計117名となりました。
一人ひとり事情は違います。
仕事を失った人。
家族との関係が途絶えてしまった人。
住む場所がないまま刑務所を出てきた人。
何度も失敗を繰り返し、それでも「もう一度やり直したい」と願っている人。
犯罪をしたという事実は消えることはありません。
被害者の方がおられること、そして苦しみがあることも決して忘れてはいけません。
しかし同時に、自分のしたことと向き合い、人生を立て直そうとする人まで社会から孤立してしまえば、その先に待っているのは再犯や再びの孤立です。
この8年間、117人と向き合う中で、私は一つ確信したことがあります。
それは、人は「やり直したい」という気持ちだけでは生き直すことはできないということです。
安心して眠れる場所。
話を聞いてくれる人。
働く機会。
失敗しても見捨てられない環境。
そうした当たり前のようで当たり前ではない環境があって初めて、人は少しずつ前を向いて歩き始めることができます。
最近では、保護観察所や弁護士の方などから、「他では受け入れが難しいのですが相談できますか」とご連絡をいただくことも増えました。
また、保護司としての活動や、日本自立準備ホーム協議会副代表としての活動を通じて、一人の支援だけではなく、「刑務所を出た後を社会全体で支える仕組み」について考える機会も増えています。
私は、社会を明るくするとは、特別な誰かだけが行う活動ではないと思っています。
立ち直ろうとする人を地域で受け入れること。
困っている人に声を掛けること。
「もう一度頑張ってみよう」と思えるきっかけをつくること。
そんな一つひとつの積み重ねが、社会を少しずつ明るくしていくのではないでしょうか。
そして、ここまで活動を続けてこられたのは、決して私一人の力ではありません。
これまでご寄付や応援、情報の拡散、温かい言葉を届けてくださった皆さまのおかげです。
皆さまの支えがあったからこそ、117人の方を受け入れることができました。
本当にありがとうございます。
今年も誕生日のお祝いの代わりに、「生き直し」へのご寄付という形で応援していただけましたら幸いです。
皆さまからいただいたご寄付は、住まいの維持や生活支援だけでなく、立ち直ろうとする人たちを支える環境づくりや、社会への理解を広げる活動に大切に活用させていただきます。
一人では変えられないことも、支えてくださる皆さまとなら変えていけると信じています。
これからも、一人でも多くの方が安心して「生き直せる」社会を目指して歩み続けます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


