ストーリー
2025年、私たちはケニア・ムワラ県で、学校の長期休暇中に子どもたちが安心して過ごせる居場所事業「Nafasi(スワヒリ語で『場所・余暇』)」を始めました。
初日は少し緊張した表情だった子どもたちも、友達と遊び、おいしい昼食を食べ、安心して過ごせる場所だと分かると、毎朝Nafasi始まる時間よりも早くやって来るようになりました。
帰る時間になっても、「まだ遊びたい!」となかなか帰ろうとしない子どもたち。
10日間のプロジェクトの最後には、「また同じみんなで参加したい」という声が何度も聞かれました。
その姿を見て、私たちは改めて「子どもたちには、こんな居場所が必要だったんだ」と実感しました。
Nafasiでは、ライフスキル教育や個別・グループカウンセリングの機会を設け、子どもたちが自分の悩みを話せる場が用意されています。それに加え、スポーツやダンス、ゲームなど、子どもたちが元気に思いっきり遊べる時間を大切にしています。しかし、ただ遊ぶだけではありません。遊びの中で、友達を思いやること、自分の気持ちを伝えること、困ったときに信頼できる大人へ相談することなど、生きていくうえで大切なスキルも育んでいます。
実際に、遊び道具の貸し出しでは、順番を守ることや、使ったものを責任をもって返すことを子どもたち同士で声を掛け合う姿が見られるようになりました。
最初は協力することが難しかった子どもたちが、自ら考え、周りを思いやって行動する姿へと変わっていったのです。
Nafasiは、子どもたちが安心して笑い、自分らしく過ごしながら、少しずつ自分の力を育てていける場所になりました。
私たちは、この活動を、これからも一人でも多くの子どもたちへ届けていきたいと考えています。

なぜNafasiが必要なの?


ケニアの学校には、年間約4か月(4月、8月、11〜12月)の長期休暇があります。
本来、子どもたちにとって楽しみな時間であるはずの休暇ですが、活動地であるムワラ県では、学校がない期間何もすることがなく、家庭や地域でさまざまなリスクに直面する子どもたちがいます。特に、長期休暇中は、虐待や性暴力、薬物使用、望まない妊娠などにつながる危険が高まります。
私たちはこれまで、地域で大人たちに研修を行い、研修を受けた大人たちが他の住民に知識を伝えるという形で、子どもを守るための啓発活動を続けてきました。その中で気づいたのは、子どもたちを守るためには、予防だけでなく、今潜在的に被害を受けている子どもたちのケアをすること、子ども自身が自分の身を守る術を学ぶことも重要だということです。
子どもたち自身が、自分の気持ちや考えを大切にし、困難な場面に直面したときに「NO」と言える力。そして、困ったときに助けを求めることができる力を育むことが必要です。
信頼できる大人や友達がいて、自分の意見が尊重され、「ここなら安心して自分でいられる」と感じられる場所があること。その経験の積み重ねが、子どもたちの自己肯定感を育み、暴力や虐待、非行につながるような場面において、自分の気持ちや意思を適切に表現し、自分や相手を尊重した行動を選択できる力につながっていくと私たちは信じています。
子どもたちが暴力や虐待の存在から離れ、安心して過ごしながらライフスキルを獲得できる場所が、Nafasiです。

Nafasiの目標
- 子どもたちの早期妊娠のリスクを減らす
- 子どもたちの非行のリスクを減らす
- 子どもたちのライフスキルを向上させることでNafasiを実施しない期間も早期妊娠と非行のリスクを減らす
- 農村部の子どもたちにカウンセリングの機会を提供する
- 虐待や性暴力とそのトラウマに適切に対応する
プログラムの内容
Nafasiの活動場所には、子どもたちが普段から通い慣れている地域の小学校を活用します。初めて参加する子どもたちも、見慣れた場所で活動できるため、安心して参加することができます。また、広いグラウンドを活用し、スポーツや体を使った遊びを思いきり楽しむ時間も大切にしています。
Nafasiでは、「遊び・学び・相談できる環境」 を組み合わせたプログラムを実施しています。

主な活動内容
- ライフスキル教育 (自分を知る、自身や他者を尊重したコミュニケーション、目標設定などのスキルを学ぶ)
- グループカウンセリング (思春期の心や体の変化を学ぶ)
- 個別カウンセリング
- 遊びの時間 (ボードゲームやスポーツなど)
- 遊びのコーチ (サッカーやストレッチ、瞑想など)
- 昼食・軽食の提供
- 地域住民が調理や警備、子どもの選出に参加 (地域で信頼できる大人を知る)

ケニアでは、学校で健康診断を受ける機会がなく、子どもは自分の身長や体重を知りません。Nafasiでは身長や体重の測定を行い、自分の身体や成長について考え、「自分自身を知り、大切にする」第一歩となる時間となりました。

また、昼食や軽食は毎日地域住民の協力によって準備されます。子どもたちが自然と地域の大人と会話を交わし、安心して頼れる関係を築いていきました。
Nafasi開催期間以外には、保護者や地域住民を対象とした啓発活動も実施し、体罰をはじめとする暴力が子どもの心身や成長に与える影響について理解を深めています。これにより、地域全体で子どもの権利を尊重し、子どもを守る環境づくりを進めています。

支援対象者
- ムワラ県の子ども 約30人(1年ごとに入れ替え)
- 対象年齢:11~15歳
Nafasiでは、子ども一人ひとりにしっかり寄り添えるよう、30人の少人数でプログラムを実施しています。
参加する子どもたちは、地域の状況をよく知る地域ボランティアや学校の先生が、特に支援を必要とする子どもたちに声をかけて迎えます。
30人が1年間継続してプログラムに参加することで子どもたちの成長に沿って柔軟なプログラムを提供しています。
寄付の使い道
いただいたご寄付は、子どもたちの居場所事業「Nafasi」の運営に活用させていただきます。
具体的には、ライフスキルやカウンセリング、遊びの講師などの人件費、子どもたちやスタッフの移動に必要な交通費、スポーツ・アート活動やライフスキル教育、カウンセリングで使用する教材・文房具、昼食費などの消耗品費に充てられます。
*10,000円以上のご寄付で、今年度使用するライフスキル教育で配る教材にお名前を入れさせていただきます。

Nafasiで使用する教材です。子どもたち一人一人に配布されるので、Nafasiが終わった後も子どもたちの手元に残ります。この教材にお名前を入れさせていただきます。
【子どもたちの「また来たい!」に応え続けたい】
最初の居場所事業Nafasiを始めてから1年以上が経過しました。
これまでの活動を通して、私たちはNafasiが子どもたちにとって安心して過ごせる居場所であること、そして地域を変える力を持っていることを実感してきました。
Nafasiに参加した子どもたちへのアンケートでは、参加した全員が「また参加したい」と回答しました。活動中に聞く「次も来てくれる?」「またみんなで参加したい」という子どもたちの言葉は、私たちにとって何よりの励みです。
また、啓発活動に参加した児童専門官(ケニアの児童相談所)から、啓発活動を実施した地域からの通報件数が増えたとの報告を受けました。これは、地域の人々が子どもの権利や安全について理解を深め、「見過ごさない」「一人で抱え込まない」という行動につながり始めた証拠でもあります。
ムワラ県には、まだまだNafasiを必要としている子どもたちがたくさんいます。ライフスキルや自分を守る力は、一度のプログラムだけで身につくものではありません。一人でも多くの子どもが、自分らしく笑い、安心して未来を描けるように。どうか、学校の長期休暇が、不安な時間ではなく、笑顔あふれる時間になるように。どうか、ケニアの子どもたちの未来を一緒に応援してくれませんか?



