「音楽の力で、何かできることはないかな」
昨年、当時1歳だった息子が救急搬送され、10日間ほど入院しました。付き添った病室で、私はずっとそんなことを考えていました。
はじめまして。wanooto(わのおと)代表の柴香織、演奏家名・柴香山(しばこうざん)と申します。
私は尺八の演奏家をしております。
私は箏奏者の吉葉景子さんと共に昨年から埼玉県を拠点に、0歳から楽しめる和楽器コンサートを届けています。
この1年で10公演。定員20人ほどの小さな会場で、これまで途中退出した親子は一組もいませんでした。子どもの集中力は「20分が壁」と言われるのに、です。
この驚きと喜びを、一過性で終わらせたくありません。地域の子どもたちへ、そしていつかは病院や福祉施設へ。「心安らげる音」を届け続けるために、最初の一歩を一緒に踏み出してくれる仲間を募集します。
少し長くなりますが、私自身の体験と、活動の中で気づいたことを読んでいただけたら嬉しいです。
ストーリー
始まりは、機械音だけが響く子ども病棟でした
2年前の初夏、1歳の息子の10日間の入院に付き添う中で、私の心は少しずつ削られていきました。
病院のスタッフの方々の献身的な支えには、感謝しかありません。けれど、その空間を満たしていたのは、生命を守るための、どこか冷たい機械の音でした。安心のための音であるはずなのに、聴き続けるうちに、子どもたちの、そして付き添う親たちの心をこわばらせていくように感じたのです。
「この子たちが笑顔になれる、何かがあったなら」
そのとき思い浮かべたのは、自分自身を支えてきた音楽でした。
私は3歳からピアノを、大学では声楽を学びました。19歳で尺八と出会い、その奥深さに惹かれてプロの道を選びました。悲しくて立ち直れないとき、心の内を音にして奏でることで、私はずっとバランスを保ってきたように思います。
音楽は、生きるために不可欠な身体の栄養ではありません。けれど、心を満たし、人生を豊かにする「心の栄養」にはなりうる。あの病室の体験が、そう確信させてくれました。
「必要としている人がいる場所に、自分から音楽を届けに行きたい」
これが、wanootoを立ち上げた原点です。
母になって気づいた、日本の音との「距離」

母になって、初めて直面したことがあります。それは「子連れでは、生の音楽に触れる機会が驚くほど少ない」ということでした。
特に和楽器のコンサートは、静寂を重んじるホールで開かれることが多く、小さな子を連れて行くのはためらわれます。「泣き出したらどうしよう」「迷惑をかけたら」。その不安から、多くの親御さんが会場に足を運べずにいます。
でも、スマホやテレビのスピーカー越しではない、空気の振動を伴う「本物の音」を浴びたとき、子どもたちの表情が変わる瞬間を、私は何度も見てきました。
0歳児の瞳が、一点を見つめる瞬間

私たちのコンサートは、「参加できる音楽会」がテーマです。ステージと客席の境目はありません。静かに聴くのではなく、全身で音楽を感じてもらえるよう工夫しています。
最初は緊張している子も、音にびっくりして泣き出す子もいます。「泣いても大丈夫、出入りは自由です」とお伝えしているのに、不思議と、みんな最後まで笑顔で過ごしてくれるのです。
「どんな音がするかな?」
そんな言葉がけひとつで、子どもたちは目を輝かせて耳を傾けます。騒がしかった会場が、箏の一音、尺八のひと息で、ほんの一瞬シン……と静まり返る。小さな子が、不思議そうに楽器を見つめ、自然と体を揺らしている。
その「人と人を繋ぐ音」を分かち合えたとき、私はこの活動の意味を確かに感じました。
以前、小田原の保育園で演奏したとき、和楽器の音をとても熱心に聴いてくれた子がいました。後日、その子はご家族と一緒に、わざわざ埼玉の私たちのコンサートまで足を運んでくれたのです。「どうしてもお箏を弾いてみたいと言って」と。
和楽器の音は、子どもたちにとって「古いもの」ではなく、本能的に惹かれる「心に響く音」なのだと、改めて感じられた出来事でした。
「リーズナブル」であり続けることのジレンマ

けれど、活動を続ける中で、大きな壁にぶつかりました。運営をどう続けていくか、という現実です。
子育て世代の方に、日常の延長として気軽に足を運んでほしい。だからチケット代は、あえて低く設定しています。親子で参加しても家計の負担にならない金額。これは譲れないこだわりです。
その結果、チケット収入は会場費、チラシ代、体験用楽器のメンテナンス費でほとんど消えてしまいます。共に舞台に立つ仲間は、私の想いに共感し、今はほぼボランティアに近い形で出演してくれています。リハーサルや編曲、当日の運営など目に見えない膨大な作業も、善意に支えられているのが実情です。
「素晴らしい活動だね」と言っていただける機会は増えました。けれど、このままでは、次の世代の奏者に「一緒にやろう」と胸を張って声をかけられません。
日本の伝統音楽の世界は今、深刻な奏者不足に直面しています。若手や女性の奏者がプロとして自立していくのは、決して容易ではありません。奏者がその技術で社会に貢献し、正当な対価を得られる場を広げていかなければ、この美しい音色はいつか途絶えてしまうかもしれない。それが、私の切実な危機感です。
30万円で実現したい、「音の種まき」

今回のクラウドファンディングでお願いしたいのは、今後1年間で10公演を継続するための、最低限の運営費30万円です。
資金の使い道
- 演奏家への謝礼(2名 × 10公演分):15万円
- 演奏会場費(10公演分):5万円
- 宣伝広告費(チラシ作成等):2.5万円
- 楽器体験用の材料費・メンテナンス費:2.5万円
- スタッフ謝礼・交通費等:5万円
謝礼が大きく見えるかもしれません。けれど、これでも一般的な演奏報酬を大きく下回る水準です。奏者が誇りを持って続けられる、その第一歩としての金額だとご理解いただけたら嬉しいです。
この30万円があれば、私たちはさらに活動を広げ、子どもたちのもとへ音楽を届けに行けます。将来的には、あの病室で考えていた「心のケアとしての邦楽」を養護施設の子どもたちや、療養中の方々のもとへ届けたい。音楽を必要としながら自ら会場へ来られない人たちのもとへ、こちらから出向いていきたいのです。
新しい選択肢を、邦楽の未来を、共につくりませんか

私たちがやろうとしているのは、伝統を大切にしながら、現代社会の課題に寄り添い、新しい需要を生むことです。
いま邦楽を志す若い世代は、「これで食べていけるのだろうか」という不安の中にいます。乳幼児向けのコンサートや福祉現場での演奏という新しい需要を形にすることで、
奏者が誇りを持って続けられる選択肢を、邦楽の世界に一つ増やしたい。
地道な一歩かもしれません。けれど、挑戦することにこそ意味があると信じています。
音には、人の心を繋ぐ力がある。日本の自然の中で育まれた和楽器の音色は、自然を忘れがちな私たちにとって、何よりの「心の栄養」になると、私は信じています。
最後に

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
wanooto(わのおと)という名前には、世代を超えて音の「輪」を紡ぎ、繋げていくという願いを込めました。
このプロジェクトは、私たちだけでは成し遂げられません。一緒に活動を支えてくれる仲間、そして何より、この趣旨に共感し見守ってくださる皆様。お一人おひとりが、wanootoの音を遠くまで響かせる、大切なパートナーです。
3,000円、5,000円のお力添えが、子どもたちが初めて出会う「生の音」になります。
どうか、私たちの背中を押してください。皆さまとともに、未来へ音の種を届けていきたいと願っています。
wanooto-わのおと- 柴 香織(柴 香山)・吉葉景子
コンサート開催を一回開催できます
30,000円
プロの和楽器奏者によるこども向けミニコンサートの開催が可能になります。保育施設、医療機関など様々な場所でこどもたちに演奏をお届けすることができます。


