「ここには、本物の日本がある」
海外から訪れた方が、私の工房の周りを見渡してそう呟いたとき、私は自らの足元にある価値に初めて気づかされました。
京都市内の喧騒から、車でわずか40分。そこには、1500年前から続く石の文化と、静かな時間が流れる亀岡市曽我部町(そがべちょう)があります。私たち「齋田(さいだ)石材店」は、明治35年(1902年)の創業から122年、この地で石を刻み続けてきました。
でも今、この村からは少しずつ灯が消えようとしています。かつて数軒あった石材店も、今では私たち一軒きりになりました。
「自分たちの代で、この音を絶やしていいのか」
そんな葛藤の中、アメリカ留学を経て「やっぱりここで石をやりたい」と戻ってきた息子と共に、古くなった事務所を改装し、地域の作家さんや農家さん、そして世界中の人々がふらっと立ち寄り、石に腰掛けて語り合える「村の縁側」のような場所を作ります。
石を通じて、村の魅力を発信し、次世代へバトンを繋ぐための私たちの挑戦です。
ストーリー
こんにちは、齋田石材店(さいだせきざいてん)5代目の齋田 隆朗(さいだ たかあき)です。
まずは、このページを開いてくださり、ありがとうございます。
京都駅から40分。そこにある「別世界の静けさ」

皆さんは、最近の京都をどのように感じておられるでしょうか。
世界中から観光客が訪れ、活気に満ちる一方で、どこへ行っても人、人、人……。そんな喧騒に少し疲れを感じている方もいらっしゃるかもしれません。
私の住む亀岡市曽我部町は、そんな京都市内から車でわずか40分ほどの場所にあります。
ここは、いわゆる「観光地」ではありません。
でも、ここには「本物の静けさ」があります。
朝、工房に立つと、鳥のさえずりと川のせせらぎ、そして石を打つ「カチ、カチ」という音だけが響きます。
美味しいお米と野菜が育ち、100年以上前から変わらない時間が流れている。
かつて海外から来られたお客様が、この風景をじっと見つめ、「失われていない日本がここにある」と深く感動してくださったことがありました。
私たち地元人間にとっては、あまりに当たり前すぎて気づかなかった価値。
それが、実は外からの方々にとっても、そして私たち自身にとっても、守るべき「宝物」なのだと気づかされました。
122年、石を刻み続けて。最後の一軒としての責任

齋田石材店は明治35年、1902年に創業しました。今年で122年目を迎えます。
この地域は、古くから「法貴石(ほうきいし)」という良質な石が採れ、1500年前から石工(いしく)の歴史が息づく場所でした。かつてはおじいちゃんの代くらいまで、村に数軒の石材店があったと聞いています。
しかし、時代の流れと共に石の需要は減り、一軒、また一軒と店は畳まれました。
気づけば、この村で伝統的な石の仕事を続けているのは、私たちだけになってしまいました。
「自分を育ててくれたこの村に、恩返しがしたい」
「122年続いてきたこの技術を、ここで終わらせてはいけない」
それは、伝統工芸に携わる者としての意地であり、この地で生きる「責任世代」としての使命感のようなものでした。
アメリカから戻った息子「6代目」との歩み

そんな私の背中を、さらに強く押してくれた出来事があります。
息子のことです。
息子は長くアメリカに留学していました。親としては、そのまま海外で自分の道を切り拓くのも良いだろうと思っていました。正直、「石屋の仕事はきつい。わざわざ継がなくてもいい」とさえ思っていました。
しかし昨年、彼は「この村に戻って、石の仕事を継ぎたい」と言って帰国したのです。
彼が不器用ながらも重い石に向き合い、泥臭くSNSで日常を発信し続ける姿を見て、私の凝り固まった考えも少しずつ解けていきました。
「石って、こんなに面白いんですね」
ワークショップに参加した若い方が、息子と一緒に石を削りながらそう言ってくれる。その光景に、私は石の持つ新しい可能性を感じています。
なぜ今、「村の縁側」が必要なのか

今、私たちは大きなプロジェクトに挑戦しています。
それは、古くなった事務所を改装し、「村全体の魅力を分かち合う、開かれた場所」へと再生させることです。
なぜ、石材店がそんな場所を作るのか。
それは、過疎化が進むこの村で、誰とも話さずに一日が終わってしまうような寂しさを、少しでも減らしたいからです。
この地域近辺には、素晴らしい作家さんがいます。美味しいお米を作る農家さんがいます。
でも、それぞれがバラバラに存在しているため、なかなかその魅力が外に伝わりません。
私が作りたいのは、大層な「拠点」というよりは、散歩のついでにふらっと立ち寄って、石に腰掛けながら「最近どうや?」と世間話ができるような、そんな「村の縁側」のような場所です。
- 石のワークショップで、土や石の感触を思い出す。
- 地域の作家さんの作品を眺め、その手仕事に触れる。
- 村の人と語らう。
そこは、訪れる人にとっては「心が整う場」であり、地域の人にとっては「自分の村を少し好きになれる場」になります。
「自分の村に、遠くからも人が会いに来てくれる」
その実感が、村の若者たちがここで生きていく「誇り」に繋がると信じています。
公的な補助金だけでは届かない、「手触り感」のある場所づくり
今回の改装費用は、全体で約500万円を見込んでいます。
商工会議所のサポートや融資も活用しますが、それでも100万円が不足しています。
もちろん、自分たちの資金だけで細々と進めることもできるかもしれません。
でも、あえて今回クラウドファンディングという形を選んだのは、「一緒になってこの村の未来を面白がってくれる仲間」が欲しかったからです。
改装に使う木材や人手も、できる限り地域の方々の力を借りたい。
地域の人の手と、応援してくださる皆さんの想いがこもった、体温の感じられる場所にしたいと考えています。
「石材店」という、一見すると敷居の高い場所が、誰にでも開かれた場所に変わる。
そのプロセスを、皆さんと共有させてください。
支援を通じて、あなたも「遠くの親戚」に
支援してくださった方には、この場所の完成を共に見守り、いつでも遊びに来ていただける「遠くの親戚」のような存在になっていただきたいと思っています。
ご支援をいただいた方には、
- 心を込めたお礼のメッセージをお送りします。
- 改装の進捗を、定期的にお伝えします。
- 完成後、ぜひ遊びにお越しください。石に腰掛け、ゆっくりとお話ししましょう。村の案内もさせていただきます。
「最近、ちょっと忙しすぎて自分を見失いそうだな」
そんな風に感じたとき、ふと思い出して帰ってこられる場所。
そんな場所を、皆さんと一緒に作りたいのです。
おわりに:100年後の風景を、今、作る

石の仕事は、時間がかかります。
一つの燈籠を作るのに数週間、数ヶ月。そして、その石は100年、200年とそこに残り続けます。
私たちの仕事は、常に「未来」を見つめる仕事でもあります。
今、私たちが作るこの場所は、100年後のこの村を支える礎(いしずえ)になると信じています。
息子が、そしてその次の世代が、「この村に生まれてよかった」と思える風景を残したい。
この小さな村の、石材店の挑戦に、どうかお力を貸してください。
あなたの支援が、石を刻む音と共に、村の未来を形作っていきます。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。
京都・亀岡の工房でお会いできる日を、心より楽しみにしています。

