「日本の子どもたちは、どうして2歳や3歳でも、こんなに静かに先生のお話を聞けるのですか?」
カンボジアのトロク小学校で幼稚園クラスを受け持つセイマ先生は、以前日本の幼稚園を視察した際、驚きを隠せない様子でそう問いかけてきました。
カンボジアの教室は、いつも騒がしさに包まれています。子どもたちが机の上を歩き回ったり、授業中にお菓子を食べ始めたりすることも珍しくありません。先生たちは、どうすれば子どもたちを落ち着かせ、興味を惹きつけられるのか、その答えを教えてくれる「先輩先生」がポルポト政権下教育システムが崩壊したカンボジアには存在していません。
先生たち自身、受けてきた教育は国語と算数ぐらいだけ。それでも彼らは「子どもたちのために、もっと良い教え方を知りたい」と、真っ直ぐなまなざしで訴えてきます。かつてこの国から教育のバトンが一度途絶えてしまった歴史の重みを、そんな先生たちの真剣眼差しを見るたびに痛感します。様々な経験や活動を通して子どもたちが、学校(幼稚園)が楽しい!先生好き!が増えることで子どもたちの集中力も増していく そんな当たり前のことを伝えてあげたいのです。
私たち「アジアの子どもたちの就学を支援する会(ASAP)」は、、20年にわたり校舎を建て、学びを支えてきました。しかし、今のカンボジアはやっと箱(校舎)数が増えてきた段階。今、本当に必要になってきているのは、先生たちが自信を持って教壇に立ち、子どもたちが「学校は楽しい!」と思えるような、心の通った支援です。
私たちは、現地の先生たちを対象とした「指導法講習会」を継続して開催しています。粘土、絵の具、ボール、縄跳び。これらを届け、その使い方を一緒に学ぶことで、何百人もの子どもたちの毎日に「楽しい」を増やしていきたい。
2026年8月に向けて18棟目の校舎寄贈が進んでいます。しかし、物価高騰が重なり、私たちの歩みは今、少しだけ険しい道の中にあります。でも、先生たちの「やりがい」を、子どもたちの「笑顔」に変えるための挑戦を止めたくはありません。どうか、私たちの仲間になっていただけないでしょうか。
ストーリー
砂遊びが教えてくれた、先生たちの「自発性」という希望
始まりは、ある小さな「砂場」でした。
2018年、私たちはカンボジアの先生を日本に招待し、研修を行いました。その中の一人、トロピアンプレイ小学校のヴィラ先生が帰国後に取った行動に、私は胸を熱くしました。彼は、学校の更衣室を修理した際に出た余りの砂を使って、自分の学校に「砂場」を作ったのです。日本で見た、子どもたちが夢中で砂遊びをする光景が、よほど心に残っていたのでしょう。
日本を視察した先生が帰国後に作った砂場ではしゃぐ子ども達
さらに驚いたことがあります。その砂場の噂を聞いた他の学校の先生は、なんと翌日には自分の学校にも砂場を作っていました。
「日本で見たことが、こんな風に形になるなんて……」
彼らには、決して意欲がないわけではありません。きっかけさえあれば、自分たちの手で動き出す力を持っています。ただ、その「きっかけ」となる情報や教材、そして「これでいいんだ」という確信が、まだ少しだけ足りないだけのです。
昨年の夏には、現地の先生たちの手による「ミニ運動会」も実現しました。玉入れやデカパンリレーに、子どもたちだけでなく先生たちも大興奮でした。「自分達で計画して行ったのは初めてだったけれど、少しやり方が分かった。またやりたい」。そう言って満面の笑みを浮かべた先生たちの姿は、今も私の目に焼き付いています。
先生達手作りのかごと新聞紙を丸めて作った「玉」を使った玉入れ
「運動が大好き」はどの国の子どもたちも同じです
継続は力なり です
私たちは、過去3年間、学校の小さなひとつの教室で数人の先生対象にした指導法講習会を継続してきました。
2025年8月実施の、日本の先生たちによる 子どもたちの活動についての講習会の様子。 「目的」や「注意事項」などまで一緒に勉強しました
コロナ前から現地の先生たちと取り組んできた運動講習会実施の様子
その経験を踏まえて今年は街の大きなホールで実施を計画し参加者を募ったところ、60名もの先生たちが参加希望となりました。この自発性の芽を、次につながる充実した内容にしたい。それが今回のプロジェクトに込めた私の願いです。
「先輩先生」がいない国で、教壇に立つということ
私は日本で、長年幼児教育に携わってきております。
日本の幼稚園や小学校には、ピアノがあり、絵本があり、色とりどりの折り紙や粘土、絵具があります。私たちは、先輩の先生が子どもたちを惹きつける様子を見て、その技術を学び、少しずつ「教えるプロ」になっていきます。
しかし、カンボジアの現実は全く異なります。
ポル・ポト政権による悲しい歴史の中で、教育システムは一度完全に崩壊しました。現在、教員の数こそ増えてきましたが、教室の中には、日本では普通にある教材がないどころか、彼らを指導し、導いてくれる「ベテランの先生」さえもがほとんど存在していないのが「今のカンボジア」です。
想像してみてください。自分が一度も経験したことがない「図工」や「音楽」を、教材も何もない教室で、40人の子どもたちに教える困難さを。
私が視察に訪れると、どの学校の先生も「教え方を知りたい」と真剣なまなざしで訴えてきます。彼らは、暗記中心の勉強だけでなく、子どもたちがもっと目を輝かせるような活動を求めています。でも、どうすればいいのか分からない。
「指導方法の勉強をしたい」と、真剣な眼差しの先生達
先生自身が楽しさを知らなければ、子どもたちに伝えることはできない。
これが、20年間カンボジアに通い続け、自身も教員である私が行き着いた答えです。教材をただ渡すだけでは、半年後には埃をかぶって教室の隅に置かれてしまいます。「楽しさ」「目的」「準備の大切さ」をセットでお裾分けしてこそ、その先生を通じて何百人、何千人もの子どもたちに受け継がれていくのです。
ピアニカのホース一本に込める、私たちのこだわり
こうした「ソフト面の支援」は、校舎を建てるようなハード面の支援に比べて、成果が見えにくく、非常に地道な活動です。
例えば、過去にピアニカを寄贈したときのことです。楽器だけを届けても、演奏できる先生がいなければ宝の持ち腐れになってしまいます。そこで私たちは、一人の先生を日本に呼び、1年間かけて音楽教育の研修を行いました。
1年後、その先生が帰国した学校を訪れると、子どもたちがピアニカの演奏で私たちを歓迎してくれました。学校に響いたその音色を聞いた瞬間、これまでの苦労がすべて報われた思いで、涙が止まりませんでした。
一年間日本で音楽を勉強した先生が、帰国後、学校で音楽に取り組んでいます
私たちの支援は、単に物を送って終わりではありません。寄贈したピアニカも、数年すると本体が壊れていなくても、吹き口のホースが壊れて使えなくなりますが、そのホースはカンボジアの市場では売っていません。私たちは、そうした細かなスペアパーツまでサポートし、長く大切に使い続けられる体制を整えています。
物を渡して終わりではないのが、この活動の難しさであり、醍醐味でもあります。
今回の講習会でも、粘土や絵の具、ボールや縄跳びを届けるだけでなく、その「使い方や目的」「保管方法」「壊れた時の対処法」まで含めて伝えます。それは、日本の教育現場で当たり前に行われている「教材を大切にする文化」を伝えることでもあります。
なぜ今、皆さまの力が必要なのか
正直にお伝えすると、今の私たちには、この活動を単独で走り切るだけの余裕が十分にあるわけではありません。
2025年には17棟目となる新しい校舎(アンコールセンチェイ小学校)の寄贈を実現させることができました。そして今2026年8月に新たな校舎寄贈に向けて工事が始まっています。近年の円安と物価高騰が大きくのしかかっています。
さらに、私たちは「Mother to Mother」活動という、カンボジアのお母さんたちが作った製品を日本で販売するフェアトレードも行っていますが、コロナ禍での影響からようやく立ち直り始めた段階で、こちらも手を抜くことはできません。
それでも、現場の先生たちの「知りたい」という熱量に応えることを、諦めたくはありません。継続してきたからこそ実現可能となった、8月2日の、6つの学校の先生たちを対象とした60名講習会プロジェクトです。粘土や絵の具、ボールを届け、指導法を伝えるための費用として、30万円という壁を皆さまと一緒に乗り越えたいのです。
勉強だけの学校ではなく、楽しいことがいっぱいある学校にしたい。
このシンプルな目標を、私たちは支援校の先生たちに届けたいのです。
子ども達と遊ぶプロジェクトはよく耳にしますが、一回限りで終わってしまうプロジェクトではなく、 私たちが取り組むのは「先生達への講習会」です。
もし、一学校一クラス分でも教材が揃えば、先生たちを通すことで、経験できる子どもたちの数は劇的に広がります。粘土をこねる感触、絵の具が混ざり合う不思議、ボールを追いかける高揚感。これらは、教科書を読んでいるだけでは決して得られない、育ちの中で体感してもらいたい根源的な喜びです。
先生の「やりがい」が、子どもたちの未来を創る
去年、日本に研修に来たセイマ先生は、帰国後、自分のクラスに「遊び」を取り入れ始めました。子どもたちの目を見て話を聞き、一緒に楽しむ。すると、あれほど騒がしかった子どもたちが落ち着き、先生の話を熱心に聞くようになったそうです。
彼女は満面の笑みでこう言いました。
「幼稚園の先生の仕事が、とても楽しくなってきました」
「先生の仕事が好きになってきました」と語ってくれたセイマ先生
なんて素敵な言葉なのでしょうか。この言葉こそ、私が最も聞きたかった言葉です。先生が仕事にやりがいを感じ、楽しんでいるとき、その熱量は必ず子どもたちに伝わっていきます。
かつてASAPが支援し始めた頃、小学生だった子どもが、今では学校の先生として母校に戻ってきています。私たちの20年の歩みは、確実にカンボジアの地に根を張り、新しい世代を育てています。
今回の支援は、単なる教材の寄付ではありません。カンボジアの先生たちの「知りたい」を、一緒に支えてもらうためのものです。
支援してくださった皆さまには、活動報告を通じて、先生たちが実際に教材を使って教えている様子や、子どもたちの変化を丁寧にお伝えしていきます。あなたの支援が、遠くカンボジアの地でどのように花開いたか、ぜひ一緒に見届けてください。
机以外何もないカンボジアの教室。先生の想いと共に教具を届けるプロジェクトに力を貸して下さい!
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
カンボジアの先生たちは、今、変わろうとしています。先生達と一緒に挑戦しませんか!
「もっと良い教育を届けたい」「子どもたちを笑顔にしたい」という彼らの純粋な願いに、私たちは応えたい。
円安や物価高という逆風の中ではありますが、ここで歩みを止めるわけにはいきません。粘土一箱、ボール一つから、カンボジアの教育の「当たり前」に少しずつ変化をもたらす喜びを一緒に体感してみません
2025年に実施した「現地の先生達企画の運動会」に向けた事前検討会の様子
2025年8月実施の幼稚園教員対象の研修会の様子
これは、20年カンボジアに通い続け、現地の先生たちと手を取り合ってきた私たちASAPだからこそできる、地に足のついた支援です。
その教材をどう使うのか、どんな目的で何に注意をして子どもたちに提供するのか、どんな準備が必要なのか、保管はどうするのか、などのノウハウも一緒に提供します。
そして、継続して訪問し、それらがどのように現場で生かされていくのかも見守り相談に乗っていきます。
勉強だけではない、先生が様々な知識をもち、楽しいことがいっぱいある学校を。
その第一歩となる講習会を成功させるために、どうか温かいご支援をお願いいたします
皆さまと共に、カンボジアの子どもたちの未来を、そして先生たちの笑顔を支えられることを、心から願っています。
NPO法人 アジアの子どもたちの就学を支援する会(ASAP)
理事長 大沼陽子
小さい学校の約ひとクラス分の「教具セット」
30,000円
小さい小学校の、ひとクラス全員分の教具セットを届けることができます(縄とび・粘土・粘土板)。
★ご支援によって実現した講習会の成果や、現地の先生方からの報告書を送付いたします。
10人分の教具セット
10,000円
子ども約10人分の教具セットを届けることができます(縄とび・粘土・粘土板)。
★ご支援によって実現した講習会の成果や、現地の先生方からの報告書を送付いたします。
3人分の「教具セット」(気軽に応援プラン)
3,000円
子ども約3人分の教具セットを届けることができます(縄とび・粘土・粘土板)。
★ご支援によって実現した講習会の成果や、現地の先生方からの報告書を送付いたします。


