ストーリー
インド北部のラダックは標高3,000m以上、マイナス20℃以下の極寒により、子どもたちの学びが3ヶ月止まり、教育格差と、貧困の連鎖が生まれています。
また女性たちも安定した収入を得る機会が限られています。

昨年、皆さまからのご支援により、10集落 126名の子どもたちへの冬季授業と、女性たちの手しごと支援を実施することができました。

2026年は教育支援を継続するとともに、ウール加工の機械化や都市部での視察・技術研修を通じて、女性たちがより安定した収入を得られる仕組みづくりに挑戦します。
ラダックの人々が自らの力で未来を切り拓いていけるよう、今年も応援をお願いいたします。

◆ はじめに:
慎泰俊と申します。2022年、誰もが自分の未来を決めることができる世界の実現を目指し、五常財団を設立しました。
昨年2025年、私たちはインド北部のヒマラヤ山中に位置するラダック地方での「教育支援」と「女性のエンパワーメント」を目的としたクラウドファンディングを実施しました。その結果、162名の方々から目標を大きく上回る約447万円の温かいご支援をいただきました。私たちの使命にこれほど多くの方が共感し、行動してくださったことに、改めて深く感謝申し上げます。
皆さまからのご支援のおかげで、雪に閉ざされる厳冬期に10の集落へ教師を派遣し、子どもたちに学びの機会を届けることができました。また、冬の間も女性たちが自らの手で収入を得られるよう、手工芸スキルの習得支援をスタートさせ、現地には小さな、しかし確かな変化が生まれつつあります。

私にとってラダックは、自分の前世はここにいたのではないかと錯覚してしまうほど、特別な場所です。
しかし近年、この地には急速な近代化と貨幣経済の波が押し寄せています。これまで限られた資源を分かち合い、助け合って生きてきた農村部の人々が、貨幣経済に組み込まれる中で窮乏化していく厳しい現実があります。特に、冬に教育の機会を奪われてしまう子どもたちや、現金を稼ぐ手段が限られている女性たちは、その影響を強く受けています。
私たちは、長年現地で信頼を集め活動を続けてきたNPO法人「ジュレー・ラダック」と共に、この課題に真正面から向き合っています。昨年の活動で蒔いた種をしっかりと育て、彼ら・彼女らが自らの力で持続可能な未来を切り拓ける仕組みを根付かせるためには、活動を継続することが何よりも重要です。
現地の人々が自分たちの暮らしをよりよくしていくための歩みを、今年も皆さまと一緒に支えていけたらと願っています。どうか、温かいご支援とご協力をよろしくお願いいたします。
◆ なぜ、本プロジェクトをやるのか:
私たちが活動の舞台としているのは、インド北部、標高3,000m〜5,000mのヒマラヤ山中に広がる「ラダック」地方です。冬になれば気温はマイナス20℃を下回り、数ヶ月間も雪に閉ざされる過酷な自然環境にあります。
これまでラダックの人々は、限られた資源を分かち合い、強い共同体の絆によって持続可能な暮らしを営んできました。しかし近年、道路などのインフラ整備とともに近代化の波が押し寄せ、貨幣経済が急速に浸透しています。
かつては現金がなくても幸せに暮らせていた人々が、「自分たちは貧しいのではないか」と感じ始め、相互扶助の精神が薄れつつあります。お金を得るために、本来は暮らしの命綱である大切な家畜を手放したり、都市部での不安定な日雇い労働に依存せざるを得ない家庭も増えています。

【ラダックが抱える「教育」と「女性の自立」の課題】
こうした劇的な変化の中で、最も深刻な影響を受けているのが「子どもたち」と「女性たち」です。

■子どもたちから奪われる冬の学びと、広がる教育格差
厳冬期(11月〜2月)には大雪で道路が封鎖され、農村部の学校は閉鎖を余儀なくされます。子どもたちは約3ヶ月間も学ぶ機会を奪われてしまうのです。
この影響は顕著で、進学や就職に直結するインドの全国統一試験(Board Exam)の合格率は、都市部デリーの96%に対し、ラダックではわずか53%にとどまっており、大きな教育格差が生まれています。
■ 女性たちの「手しごと」 が評価されず、自立が困難に
ラダックの女性たちは古くから、羊毛やヤクの毛を使った高度な手工芸技術を持ち、家庭や地域を支える尊敬される存在でした。
しかし、「外で稼ぐ男性」と「家にとどまる女性」という価値観が持ち込まれたことで、現金収入に直結しにくい手しごとが「評価されない労働」と見なされるようになっています。
冬の間、農作業や日雇い労働ができず収入を絶たれる女性たちは、自立の難しさに直面しています。

◆皆さまの支援で実現した、昨年の「確かな変化」
この状況を変えるため、私たちは現地のNPO法人「ジュレー・ラダック」と協働のうえ2つのプロジェクトを実行し、現地に確かな変化を生み出すことができました。

① 子どもたちへの「冬季授業」 で、学力改善
雪に閉ざされ教育機会が不足するシンゲラ峠周辺の10集落に、14名の教員を派遣し、126名の子どもたちに英語と算数の授業を届けました。
その結果、実施前と中間テストの比較において、全学年でテストの平均点が向上しました。低学年で9点、中学年で13点、高学年で6点ものスコアアップを達成し、子どもたちの確かな学力改善につながっています。

<現地のリアルな声>
保護者(女性グループ代表)より:
「先生方は隔日で小テストを実施しながら、丁寧に教えてくださいました。子どもたちは一度も授業を休まなかったのですが、以前は『授業についていけない』と言っていた子たちも、今では楽しそうに通っています。先生方は家族のように接して教えてくださいました。本当にありがとうございました」
参加した生徒より:
「冬休みの間、最後まで教えてくださり、ありがとうございました。たくさん学ぶことができました。特に英文法や他の教科について学べました」
② 女性たちへの「手しごと支援(職業訓練)」
いくつかの集落に外部専門家を招き、デザイン・制作講座を開催しました。20代から70代までの幅広い世代の女性たちが集まり、和気あいあいとした雰囲気の中で技術を磨きました。
受講前は編み目の緩さやデザインの不揃いが課題でしたが、受講後は品質が劇的に改善し、バイヤーからも高い評価を獲得しています。制作された靴下やトートバッグは、日本国内でのポップアップ出店でも販売されました。
参加者の学習意欲は非常に高く、アンケートでは「全体満足度9.1点(10点満点)」「次年度参加希望9.9点」という極めて高い評価をいただいています。
▼2025年11月13日に開催されたクロージングセレモニー

▼講座受講前後における制作製品を比較すると、製品の品質が改善し、参加者のスキルとデザイン性に向上が見られました。

昨年の成果については、ぜひプロジェクト最終報告書をご覧ください。
◆なぜ今年も支援が必要なのか? 2026年の新たな挑戦
昨年のプロジェクトは大きな一歩でしたが、私たちが目指す「誰もが自分の未来を決めることができる世界」を実現するためには、継続的なアプローチが不可欠です。
・子どもたちへの「冬季授業」について
インフラが未整備な遠隔地では、今年の冬も雪によって交通が遮断されるため、子どもたちの学びを止めないための毎年の教員派遣が必要です。
▼冬季授業について、財団内でもロジックモデルを構築し、財団の掲げるビジョンと整合しているか/できるかを検証しながら、中長期的な活動として発展させていきます。

(※合格率の上昇率など、定義も含めて検討中)
2026年は、教員派遣を継続するだけでなく、学習成果の可視化や全国統一試験(Board Exam)を見据えた授業改善を進めます。
また、子どもたちが『学ぶ楽しさ』を感じ、自ら未来を切り拓く力を育むことを目指します。
・女性たちへの「手しごと支援」について
また、手しごと支援においても、製品の品質は向上したものの、「安定した収入を得る」というゴールに到達するためには、さらなる支援が求められています。
そこで2026年は、これまでの成果をさらに前進させるため、以下の「新たな取り組み」にも挑戦し、活動を拡大します。
1. 高齢女性へ現金収入機会を(ウール下処理の機械化)
これまで、製品の原毛となるウールの洗浄や不純物の除去は、主に村の高齢の女性たちが冷たい水と手作業で行ってきました。しかし、この作業は彼女たちにとって非常に過酷な重労働です。
また、手洗いではウールに含まれる油分やホコリを完全に取り除くことが難しく、これがチクチクとした肌荒れの原因や品質低下につながっていました。

そこで今年は、都市部にある機械を利用して、ウールの洗浄と梳きほぐし(カーディング)の工程を機械化します。
これにより、高齢の女性たちは重労働から解放され、より負担の少ない自宅での「糸紡ぎ」に専念できるようになります。さらに、機械で不純物をしっかりと取り除いた清潔な糸を使うことで製品の品質が劇的に向上し、日本のような厳しい基準を持つ市場でも評価される、安定した収入源へと進化させることができます。

2. 都市部への「視察・技術研修」による、持続的な収入へ
現状の課題:
ラダックの遠隔地に住む女性たちは、ウール製品の「原材料(糸など)」を作る重要な役割を担っていますが、都市部(レー)で高い価格で売られている「完成品」の品質やデザインの基準を知る機会がありません。そのため、せっかくの技術があっても、都市部のビジネスに比べて得られる収入が少なくなってしまっています。
視察・技術研修の内容:
2つの村の若い女性たち(計30名)が、都市部(レー)市内に滞在し、高品質な手工芸品を扱う店舗や工房、デザイナーのオフィスを視察します。
自分たちが作ったものと市場で評価されている製品を見比べ、原材料から優れた完成品を作るまでのプロセスを現地の専門家から学びます。視察と並行して、地元の経験豊富な起業家からビジネスの成功事例やノウハウを学ぶ宿泊型のワークショップも開催します。
さらに、現地の女性支援団体(Women Alliance of Ladakh)のリーダーから技術研修を受け、モチベーションを高めるセッションも予定されています。
期待される効果:
- 市場で求められる品質とデザインの基準を肌で感じることで、女性たち自身が「どんな製品を作れば売れるのか」を理解し、技術を向上させることができます。
- 視察に参加した女性たちが村に戻った後、学んだことを村の他の女性たちに共有するワークショップ(Mothers-to-Mothers)を開催し、村全体に知識と技術が広がります。これにより、都市部に出稼ぎに行かなくても、村にいながら安定した収入を得られる持続可能な仕組みが生まれます。

支援によってつながる、ラダックの未来
このプロジェクトは、単なる一時的な寄付ではありません。未来への投資です。
教育支援は、都市部との学力格差をなくし、子どもたちの将来の選択肢を広げ、貧困の連鎖を断ち切る確かな力になります。
また、女性たちの「手しごと」が安定した収入源として確立すれば、軍事施設での不安定な一時的雇用に振り回されたり、都市部へ流出して弱い立場の非正規雇用者になったりする既存の構造から解放されます。
自分の手で暮らしを守る力を取り戻すことは、個人の自立と尊厳の回復であり、地域の再生と伝統文化の継承にもつながるのです。
◆ ご寄付の目標金額と使い道:
目標金額は503万円となります。
子どもたちの学びと女性たちの仕事を支えるために、すべて現地で直接使われる資金の内訳をご説明します。
皆様からの温かいご支援は、ラダックの子どもたちと女性たちの人生に、直接的で、そして大きな変化をもたらす力となります。
※寄付金額としては、5,000円/10,000円/30,000円/50,000円/100,000円/300,000円を設定しております。
子どもたちへの「冬季授業」
- ¥1,000 : 子ども2人分の文房具セットの購入費
- ¥5,000 : 子どもたちが学ぶためのホワイトボードの購入費
- ¥10,000 : 子どもたちが学ぶための教科書20冊分
- ¥30,000 : 教師1人の1カ月分の給与
- ¥50,000 : 30人の子どもたちが学校に行くための交通費
- ¥100,000 : 暖房システムを一つの学校に作る金額
女性たちの「手しごと支援」
- ¥1,000 : 2人分の訓練中の昼食費
- ¥5,000 : 3日間の職業訓練の場所のレンタル代
- ¥10,000 : 4人分の訓練用の素材の購入費
- ¥30,000 : 1人分のスタッフの給与
- ¥50,000 : スタッフのプロジェクト全期間の生活費
- ¥100,000 : 全ての女性たちが職業訓練所に通うための交通費
※寄付金額ごとに記載している項目は、あくまでも現地の物価水準を鑑みた目安であり、記載項目の購入に充当する意味ではございません。
プロジェクトを完遂するには、目標金額が必要になります。
今年の活動に必要な費用は、合計「5,034,937円」です。
いただいたご支援はすべて現地で直接使われる資金となります。
<内訳>
- 冬季授業の教員雇用費(14名分):2,506,400円
- 手しごと支援・プロジェクト実装費:1,477,906円
- その他人件費:317,684円
- モニタリング・評価費:132,240円
- その他雑費:45,000円
→プロジェクトに必要な金額合計 4,479,230円
- 前年クラウドファンディングからの繰越金 -53,420円
→プロジェクトに必要な金額ー前年繰越 4,425,810円
- プラットフォーム手数料:609,127円(11%+税)
本クラウドファンディングで必要な資金(上記+手数料) 5,034,937円
これらの支援は、単に物質的な援助に留まるものではありません。子どもたちにとっては、未来への希望と可能性を広げる扉を開き、女性たちにとっては、失いかけていた自信と尊厳を取り戻し、自らの手で人生を切り拓くための一歩となります。皆様の一つひとつのご支援が、ラダックの地に確かな変化を生み出します。
ご支援にあたってのご案内
月次寄付(継続寄付)について
Syncableで受け付けているご支援は、本クラウドファンディング期間中の単発寄付のみであり、月次寄付(継続寄付)は受け付けておりません。
月次寄付いただける方は、五常財団のWebサイトからお願いいたします。
目標金額が未達の場合、目標金額を超えた場合の扱いについて
本プロジェクトは目標金額の達成・未達成に関わらず実施いたします。
いただいたご寄付は、原則として本プロジェクトのための活動資金として使用いたします。集まった金額が目標金額を上回った場合のみ、超過額を財団が今後実施する別プロジェクトに使用させていただく場合があります。
領収書について
ご支援いただいた方には、Syncableの領収書自動発行機能により、PDF形式の領収書(寄附金受領証明書)を発行いたします。
支援完了後にSyncableから送付されるメール、またはSyncableのマイページよりダウンロードしてください。
なお、五常財団は一般財団法人です。法人によるご寄付は一定の限度額まで損金に算入できますが、個人の方によるご寄付は寄附金控除の対象となりません。あらかじめご了承ください。
◆ 一緒に未来を育てる「仲間」になってください
ラダックは、地理的・経済的・制度的に支援が届きにくい「三重の困難」を抱える地域です。だからこそ、皆さまのお力添えがそのまま、子どもたちの希望になり、女性たちの誇りになります。
昨年、私たちの想像を超えるご支援をお寄せいただいた皆さま、そして、新たに関心を持ってくださった皆さま。私たちは皆さまに、単なる「支援者」としてではなく、ラダックの未来をともに創り、育てる「仲間」になっていただきたいと願っています。
遠く離れたヒマラヤの厳しい冬の中で、自らの力で未来を切り拓こうとする彼ら彼女らの歩みを、今年も一緒に支えていただけないでしょうか。 どうか、温かいご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。
ラダックの子どもたちからのお手紙
30,000円
ラダックの子どもたちからのお手紙と活動報告をお送りします。(冬季授業が開始した後になりますので、2027年年明け以降になる可能性があります。気長にお待ちください)
・冬季授業に教師1人の1カ月の派遣費用に相当します。
・職業訓練スタッフ1人の派遣費用に相当します。
(限定10名)ラダック女性の手仕事ギフト付き
40,000円
※ラダック女性たちが作った一点ものを、特別サポーターへの感謝としてお届けします。(手編みの靴下、帽子など)
何が届くかはお楽しみにしてくださいませ。
・冬季授業に教師1人の1カ月の派遣費用に相当します。
・職業訓練スタッフ1人の派遣費用に相当します。

Podcast公開収録参加
50,000円
サンクスメールと活動報告の送付に加えて、五常財団が運営するPodcast「What's Next?」の公開収録にご参加・ご視聴いただけます。だいたい月に1回程度、都内某所にて収録を行っておりますのでご案内いたします。
・30人の子どもたちが学校に行くための交通費に相当します。
・職業訓練スタッフのプロジェクト全期間の生活費に相当します。


