インド・タミル・ナードゥ州で8年以上続いてきた4つの「青空教室」が、資金不足により閉鎖の危機にあります。私たちが守らなくてはならないのは、100人の子供たちの今と未来、そして生徒を支える女性教師たちの誇りです。
1つの教室(生徒約27名)を1年間運営するために必要な費用は、約25万円。4校すべてを継続させるためには、合計で約100万円が必要です。
※本プロジェクトはNPO法人結び手がインド現地にて協業しているNGO団体へのサポートとなります。
ストーリー
1. 「青空教室」とは:数字では説明できない心の豊かさを育む場所
この教室は、インドのNGO INSARDによって2017年に開校されました。以来8年間、この場所は村の子供たちが集まる「心のよりどころ」であり続けてきました。支援の対象は、カースト制度のもと、歴史的に厳しい差別にさらされてきたダリト(旧不可触民)層の子供たちです。彼らの親は、その日暮らしの日雇い労働に従事しており、貯金もほとんどできない過酷な経済状況にあります。
① 農村の現実
青空教室は、タミル・ナードゥ州第二の都市マドゥライから車で3時間ほど離れた貧困農村、アラガムパッティ村にあります。この村は最寄りの町から13kmも離れた孤立した場所に位置しており、ここの子供たちには、日本では想像もつかない困難が日常として立ちはだかっています。
- 「強制結婚」と、失われる若い命 村には古い宗教的・社会的な伝統が根強く残っており、コミュニティ内での結婚を強いられることが少なくありません。その重圧に耐えかね、若者が自ら命を絶つというあまりに悲しい悲劇が、この村では長年後を絶ちません。
- インフラの欠如が生んだ、痛ましい事故 水道などの基本インフラがないため、村人たちは今も池で入浴や洗濯をしています。昨年、一人の生徒が家族の生活用水を汲んでいる最中に、その池に転落して亡くなるという痛ましい事故が起きました。
② 青空教室の概要
私たちは、以下のような体制で村の子供たちに教育の場を提供しています。
- 毎週月〜金曜日、17時〜19時の2時間運営
- 103人の生徒(男子40名、女子63名)を支援
- 公立学校の生徒を対象とする
- ダリト階級(旧不可触民)出身者を対象とする
- 貧困家庭出身者を対象とする
- 教師には、同村の貧困家庭出身の女性(大卒以上)を指名する
学習キットの配布: 親がペンや通学バッグなどの学用品を自由に買い与えられない家庭が多いため、私たちは学習キットをすべて無料で配布しています。 (内容:バッグ、ペン、ノート、筆箱、鉛筆、定規、消しゴム、鉛筆削り、サンダル)
少女たちへのナプキン配布と衛生教育: 農村では衛生環境が整っていないだけでなく、少女の権利が軽視されがちです。そのため、少女たちは生理期間を不衛生に過ごすこととなり、感染症を患う場合があります。そこで私たちは、女子生徒を対象にナプキン(12枚入り)の無料配布と衛生教育を行い、女の子たちが自分の体を大切に思える感性を育んでいます。

シャーミラさん(14歳・仮名)の声:
「ナプキンを買うお金がないので、初経の日から古い布をナプキンとして使ってきました。最初の2日間は出血量が多いのでいつも苦しく、時には血で汚れた布を洗ってそのまま使うこともありました。青空教室が無料のナプキンをくれる今は、とても幸せです。月経期を以前よりずっと快適に過ごせています。」
安心できる居場所に: ここは単なる「塾」ではありません。家事の手伝いや幼い兄弟の世話、家畜の番など、幼くして「家庭を支える役割」を背負っている彼らが、唯一ありのままの「子供」に戻れる遊び場であり、青春の場なのです
スゥエータさん(13歳・仮名)の声:
「私の家族は5人家族です。父は建築作業員、母は紡績工場で働いています。私には弟と妹が一人ずついます。両親は朝早く仕事に出かけ、夜遅くに帰ってくるので、いつも私が料理や掃除、弟や妹の世話をしたりしなければなりません。でも、月曜日から金曜日までは、学校が終わった後に青空教室に通って勉強しています。私は地位の高い優秀な女性警察官になりたいので、一生懸命勉強しています。」
③ 青空教室が目指すもの
なぜ、公立学校に通うだけでは未来が開けないのか?
インドでは2010年に義務教育が始まり、無償で教育を提供する公立学校の整備が進みました。タミル・ナードゥ州では貧困地域の子供たちも学校に通えるようになり、就学率自体は飛躍的に向上しましたが、実際にはインドの教育体系には依然として深刻な格差が潜んでいます。
1.名ばかりの「無償教育」と質の崩壊
公立学校は確かに無償ですが、その実態は「教育の場」として機能していないことが多々あります。
- 実体のない教育: 教師が学校に来ない、あるいは来ても教員室に籠もったままで授業が行われないという、教育の形骸化が存在します。
- 監査の欠如: 建物はあっても教育の質をチェックする機能が働いておらず、子供たちの教育は主に自習やスキルの低いサポート教師に任されることが多いです。
- 隠れたコスト: 制服代や試験代、さらに不当な追加費用の請求が絶えず、最貧困層であるダリトの家庭にとっては「無償」とは程遠い負担がのしかかっています。
2.公立と私立、残酷なまでの教育格差
裕福な子供たちは、高額な授業料を払って質の高い私立学校に通います。そこでは最新の設備と熱心な教師による教育が行われ、将来の安定した収入が約束されています。一方で、お金のない貧困層の子供たちは、質の悪い公立学校に行くしか選択肢がありません。スタートラインは同じ「義務教育」でも、卒業する頃には埋めようのない格差が確定してしまいます。
3.「公式テスト」という見えない壁
公立学校の教師は、生徒を9年生まで学力に関わらず一律に進級させる傾向があります。しかし10年生の最後には、私立校の生徒と共に「州政府統一の公式テスト」を受けなければなりません。このテストに合格できなければ中学校へ進むことができないため、これが彼らの運命を分ける境界線となります。
- 14歳でのドロップアウト: 十分な教育を受けられないまま10年生を迎えた子供たちにとって、このテストは大きな壁です。一度不合格になれば、経済的に余裕のない親は、一年後の再受験を諦めさせます。貧困家庭において、テストの不合格は「教育の終わり」を意味するのです。
- 学びから労働へ: テストに落ちた子供たちは学校を去り、家事や家の手伝い、あるいは労働に従事することになります。
「青空教室」が果たす役割
このような構造を内側から壊すのが、私たちの青空教室です。公立学校が放置している「基礎学力」を補い、10年生の公式テストに合格させること。それこそが、子供たちが教育を通して自分の人生を歩み始めるための第一歩なのです。
また、インドには汚職や詐欺が多く存在し、特に貧困層は識字力の欠如を理由に犠牲者にされやすい現状があります。公式テストを突破できるほどの識字力があれば、将来、不当な契約や役所での汚職、詐欺から自分の身を守ることができます。つまり青空教室は、搾取から身を守るための「リテラシー」を子供たちに提供することも目指しています。
青空教室が生んだ成果
過去8年間で、青空教室に通った200人以上が公式テストに合格し、高校や大学へと進学しました。教育こそが、生まれた場所で一生が決まってしまう「運命」を書き換える唯一の手段なのです。
2. 代表スタンレーの挑戦:失敗を恐れず、自立を模索し続けた日々
「なぜ今、資金が尽きているのか」という問いに対し、私たちは透明性を持ってお答えします。
INSARD代表のスタンレーは、決して受動的に寄付を待っていたわけではありません。 この8年間、3名のイギリス人ドナーの方々がこの活動を献身的に支えてくださいました。しかし、ドナーの方々が亡くなられたり、ご高齢になられたため、2026年からの支援縮小を余儀なくされました。これが私たちが直面している厳しい現実です。
スタンレーは、外部からの寄付に頼らず自立することを目指し、女性の自立支援ビジネスの立ち上げや日本人向けのスタディツアーの開催など、必死に青空教室を存続させる道を模索し、試行錯誤を続けてまいりました。しかしながら、ビジネスが軌道に乗るスピードよりも、長年の支援が途絶えるスピードの方が遥かに早かったのです。
「私たち大人の失敗を、何も悪くない子供たちに背負わせたくない。」
「私たちの準備不足という理由だけで、彼らの未来の扉を今ここで閉ざしてしまうことは、どうしてもあってはならないことだ。」
この強い思いから、今回クラウドファンディングを立ち上げることを決意しました。
【スタンレーの想い】
私自身の経験から、教育こそが貧困を根絶するための最も強力な道具であると固く信じています。教育は子供の行動、話し方、考え方にポジティブな変化をもたらし、子供たちが自信と尊厳を持って成長するのを助けます。また、知識は人々がより賢く責任ある選択をする力を与えるため、社会における犯罪や虐待を減らすことにも繋がります。
人々はしばしば「誰か他の人が責任を負うだろう」「誰にでもできることだ」と考えがちですが、結局のところ、実際に一歩前に踏み出す人はなかなかいません。私たちが活動している地域には、長年、子供たちの教育を支援する場がありませんでした。もし私たちが主体的に動かなければ、他の誰も動かないのだと気づいたのです。
私たちが提供している支援は、将来実を結ぶ「種」を植えるようなものです。それは子供たちの人生を形作り、希望を与えています。このサポートがなければ、彼らの多くは学習面で成長する機会を得ることはできなかったでしょう。
3. 教師たちの声:自分たちの教育を、次の世代へ繋ぐ
教室で教鞭を執るのは、同村出身の大卒以上の女性たちです。彼女たちもまた、貧困農村の中で育ち、格差の中で必死に学位を手にしました。今回は4人の先生たちへのインタビュー内容をご紹介します。
Q1. なぜ青空教室の教師を続けているのですか?
- ラムヤ先生:「私自身、村で生まれ育ち、教育を受けるために多くの苦労を重ねてきました。その経験から、自分の村の子供たちにはもっと良い環境で教育を受けてほしいと願っており、この活動に献身しています。」
- マティ先生:「給料が家族の支えになっており、夫の収入だけに完全に依存しなくて済むようになるからです。」
- S. アニータ先生:「私はいつも教師になることを夢見ていました。しかし、家族の経済や夫の健康上の事情により、学位を持っていても正規の教職に就くことができませんでした。青空教室で教える機会を得たとき、本当に幸せで満たされた気持ちになりました。だから今後も続けていきたいと思っています。」
Q2. 青空教室は、生徒や村にどのような変化を与えましたか?
- S. アニータ先生:「性被害防止教育プログラムが、多くの子供たちを守る助けとなりました。また、私の子供時代は両親が忙しく、心を開いて話せる相手が誰もいませんでしたが、今、教室の子供たちは自分の考えや問題を私に気軽に共有してくれます。親たちにも子供ともっと一緒に時間を過ごすよう促しており、それが家族関係にポジティブな変化をもたらしていると思います。」
- A. アニータ先生:「子供たちがより自信を持ち、堂々と話せるようになったと感じます。教育への関心が高まり、自ら学習に責任を持つようになっています。たとえ私が宿題を出すのを忘れても、生徒の方から宿題をお願いされることもよくあります。」
- マティ先生:「文字の書き方や基礎学習が大幅に上達しました。以前は中学生でも『A』のような簡単な文字を書くのに苦労していましたが、今では読み書きが格段に上手くなっています。」
Q3. 生徒たちが青空教室を失ったらどうなるでしょうか?
- マティ先生:「ここは単に勉強するだけの場所ではありません。多くの親は朝7時に家を出て夜7時まで戻りません。青空教室で過ごす2時間は、子供たちに安全とケアを与える場所なのです。教室がなくなれば、子供たちは夕方の安全な環境を失ってしまいます。」
Q4. あなたが青空教室を失ったらどうなるでしょうか?
- S. アニータ先生:「夫は懸命に働いて、今も家族の借金を返しています。なので、現在は私自身の給料で家計をやりくりしています。(青空教室での仕事が無くなれば、)生活に大きな影響を及ぼします。」
- A. アニータ先生:「子供たちを教えることは私の人生の重要な一部となっているため、非常に悲しく感じます。」
- マティ先生:「毎日午後4時半を過ぎると、私の心は子供たちのことでいっぱいになります。もし教室が止まってしまったら、私の人生の目的意識や日常生活に大きな影響を及ぼすと思います。」
Q5. あなたにとって、青空教室は個人的にどのような意味を持ちますか?
- マティ先生:「青空教室は私の人生を丸ごと変えました。ここでの給料のおかげで仕立屋の訓練費用を払い、自分のミシンを購入することができました。現在は近所の人たちの服を縫うことで副収入も得ています。」
- ラムヤ先生:「子供たちに奉仕し、導くことを通じて、人生の真の意味と目的を気づかせてくれた場所です。」
- S. アニータ先生:「家族や村の中で、敬意と認められる立場を与えてくれました。」
- A. アニータ先生:「私が過去に受けた教育に意味を与えてくれる場所です。自分の学位を、村の子供たちへの奉仕と教育のために使うことができるからです。」
インタビューの中で、
ラムヤ先生は「たとえ資金が止まったとしても、無料で教え続けたい。彼らは村の未来だから。」
A. アニータ先生も「教えることは私にとっての天職であり使命。資金が止まっても教え続けたい。」
と言っていました。
貧困農村に住む彼女たち自身の生活にも決して余裕はないはずです。それでもこのように言ってくれる教師たちの暮らしと誇りを守りたいと強く感じます。先生たちを守るためにも、青空教室を閉校させてはいけません。
4. 施しではなく、共に歩む「仲間」として
最後にお伝えしたい、最も大切なことがあります。このプロジェクトは、豊かな私たちが貧しくて可哀想な彼らを「救ってあげる」という、上から目線の慈善事業ではありません。
確かに青空教室に通う子供たちにはお金がありません。しかし彼らは、驚くほど豊かな精神性と「他者と分け合い、助け合う力」を持っています。 青空教室を訪問した日、子供たちは突然私に一本のオレンジジュースを差し出してくれました。驚いたことに、彼らはみんなで協力してお小遣いを出し合い、初めて会った私のためにジュースを買って待っていてくれたのです。
心の豊かさにおいて、どちらが上でどちらが下かなど、誰にも決められません。私はこの素敵で優しい子供たちと共に、世界をより良い場所にしていきたいと心から感じています。
このクラウドファンディングに参加するということは、「より良い世界を作りたい」という同じ志を持つ仲間として、彼らと手を取り合うことだと考えています。 6月が来れば、教室がなくなり、子供たちはまた自分自身の時間をすべて家族の手伝いや世話に捧げる日常に戻ってしまうかもしれません。
100人の子供たちの、あの学びへの熱意を、ここで消してはいけないのです。 皆様、どうかこの「仲間」たちの未来を繋ぐために、お力を貸していただけないでしょうか。共に世界を良くしていくパートナーとして、皆様のご参画を心よりお待ちしております。
皆様へ:ご支援の使い道とお願い
皆様からいただくご支援は、全額を青空教室の運営のために直接届けさせていただきます。
ご支援は何円からでも、ありがたくお受けしております。皆様の温かいお気持ちが、一つひとつ積み重なることで、子供たちの未来を支える大きな力となります。
例えば、皆様のご支援で以下のようなアクションが可能になります。

金額の多少にかかわらず、皆様の想いは等しく子供たちの希望へと繋がります。
どうか、ご希望の額で、彼らの未来を共に作るパートナーになっていただけないでしょうか。温かいご支援を、心よりお願い申し上げます。
費用内訳



