外国にルーツをもつ子どもたちの中には、日本語や学校生活への不安、家庭の事情などから、地域の活動やさまざまな体験の機会に参加しにくい状況にある子どももいます。トッカビ探検隊では、そんな子どもたちが安心して集まり、仲間と過ごしながら「やってみたい」と思ったことに挑戦できる居場所づくりを続けてきました。
このページでは、子どもたちが実際に取り組んできた活動や、活動の中で少しずつ変化していく子どもたちの姿をご紹介しています。小さな挑戦の積み重ねが、自信や仲間との関係を育てていきます。
子どもたちの「やってみたい」を支えるこの活動を、これからも続けていくために、みなさんのご支援をお願いしています。ぜひ最後までご覧ください。
SNSで活動報告公開中
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ストーリー
【はじめに】
トッカビ探検隊とは
日本社会で生きる外国ルーツの子どもたち。日本で生まれた子、渡日してきた子、日本で生活するようになった経緯は一人ひとり違います。日本語を使う力も、渡日した時期や日本で暮らしてきた時間によって違います。慣れ親しんだ生活が変わることや言葉の不自由さも抱えるなかで、学校生活だけでは自尊心、自分自身への信頼さえも失ってしまいがちになるのは当然のことかもしれません。
わたしたちは、子どもたちがこれからどんな社会で生きていこうと、自尊心を失くことなく、「自分の人生」を主体的に、人との関わりの中で切り開いていく力を身につけてほしいとの思いで、2024年の春、トッカビ探検隊を立ち上げました。
トッカビ探検隊が大切にしていることのひとつは、子どもたちの「やってみたい」や「知りたい」、「行ってみたい」等々、かれらの願いや希望を出発点としていくことです。それらをどうしたら実現できるかということを子どもたち自身が計画をしていく。その営みにおいて、大人たちは子どもたちに伴走しながら、極力、大人の思いに子どもたちを誘導しないことを心掛けながら、その計画を練り上げ、実現していくことです。おとなの目から見れば、ほんの小さなことであっても、子どもたちが「ああでもない、こうでもない」と計画を実現させるために模索し、それらを達成するまでの紆余曲折の一連の体験(探検)は、子どもたちがこれから一歩一歩成長し、自分への信頼とともに「自分の人生」を培っていく上で、小さくとも貴重な糧になっていくと信じています。
子どもたちへ、大人からの提案としての新たな活動を
本活動をスタートしたのは2024年の春です。この2年間では少なからず助成金を得ることもありましたが、資金は不足するなかで、子どもたちと一緒にカンパを募ったりしながら、子どもたちから始まった「小さな計画」をいくつか実現してきました。そして、この活動を通して、今年度はもう一つ新たな活動を加えたいと考えるようになりました。子どもたちの視野をもっと広げてみたいのです。子どもたちの興味の視野が具体的に広がっていくような「人」との出会いの場を創造してみたいのです。
日本の社会の中で「自分らしく」生きている、かつては同じように子どもだった外国にルーツを持つ大人たちとの出会い。「こんな大人もいるんだ」「あんな生き方をしている人がいるんだ」「そんな楽しみがあるんだ」と、子どもたちの成長過程に刺激と希望を与えてくれそうな大人たちとの出会いの場を創り、職業や趣味といったことにこだわることもなく、そういった方々が持つ経験や技術を子どもたちと共有してもらえるようなワークショップを数回、開催してみたいのです。
このようなワークショップの開催を含めたトッカビ探検隊への本年度の活動の資金として、本クラウドファンディングでご支援いただきたいと思っています。
ご支援、ご協力、どうぞ、よろしくお願いいたします。
トッカビ探検隊活動の概要
トッカビ探検隊は次のモデルに示したような現状認識、課題意識のもとで、とりくみを進めています。

このプロジェクトは、外国にルーツを持つ子どもたちが、自らのルーツを大切に思いながら生活できる社会をめざし、子どもたちが、自分の豊かな文化や出自について自己表現できるようになることをめざして実施しています。

これまでの活動
2024年度(積水ハウスマッチングプロフラム 助成金)
■ コリアタウン
「コリアタウンに行きたい!」という声から始まった企画。行き先や交通費、当日の動きまで子どもたち自身が調べ、計画を立てました。大好きな“推し”のグッズを探し、韓国料理を味わい、自分たちで決めて動く一日を実現。調べる・話し合う・やりきる経験が、自信へとつながりました。
■ カピバラに会いに行こう
「カピバラに会いたい」という思いからスタート。行き方や費用、予約方法まで自分たちで調べ、電話にも挑戦しました。当日は雨予報に悩みながらも相談して決行。実際に触れ、観察し、想像との違いに驚く体験に。やってみたいを形にする力が育まれました。
2025年度の活動
■ 水遊び
夏の水遊びも子どもたちが中心となって企画。日程や準備物、参加のあり方まで話し合いを重ねました。「自分たちだけでやりたい」という声と向き合いながら、最終的にはみんなで楽しむ形に。遊びの中で意見を伝え、受け止める経験が、小さな成長を生みました。
■ 八尾国際交流野遊祭カンパ
活動を続けるための資金を自分たちで集めたい――。八尾国際交流野遊祭の舞台で、子どもたちが自ら言葉を考え、カンパを呼びかけました。緊張しながらも思いを伝え、多くの応援を得ることに成功。伝えることで社会とつながる経験は、大きな自信になりました。

■ 防災センター
八尾国際交流野遊祭(地域の国際交流イベント)で集めたカンパを使い、「あべのタスカル」へ。電車代を調べ、電話で予約し、チラシで参加者を募りました。防災体験を通して命を守る行動を学ぶと同時に、自分たちの力で計画を実現する達成感を体験。学びと挑戦が重なった一日でした。
■ かきごおり・チョコレート
かきごおりづくりやチョコレート作りも、子どもたちが話し合いながら準備。材料の買い出しや予算計算、役割分担も自分たちで決めました。ときには意見がぶつかることもありますが、その過程こそが学び。身近な楽しみの中で、協働する力が育っています。

2年間の子どものストーリー
小さな挑戦が自信につながるまで 〜Aさん〜
笑顔はあるけれど、言葉は少なかった
彼女と出会ったのは、彼女が4年生のときでした。水曜日の活動には、低学年のころから参加していました。
最初はこちらから話しかけても、いつもにこにこと笑っているだけで、ほとんど話すことはありませんでした。また、活動の場からふらっといなくなることもありました。
少しずつ距離は近くなっていきましたが、自分から何かを話すようになるまでは時間がかかりました。
5年生になり、探検隊の活動にも参加するようになりました。活動には、2つ年上の姉と、普段からよく一緒に行動している同じ学年のTと参加し始めました。
彼女はいつも集合時間の30分前には来ています。部屋に入ると、ほかの子どもたちと同じようにゲームで遊びます。話を聞くと、家ではゲームができないからだと答えてくれました。
少しずつ、自分の役割を見つけていく
集合時間になると、活動の時間をどう過ごすかをみんなで考えます。最初のころは、この問いに答えることが難しかったようです。ただ、参加を重ねるにつれて、少しずつですが答えられるようになっていきました。
活動でやりたいことや、何をするのかを一緒に考えていきます。意見を言うことは多くありませんでしたが、チラシを作ったりカンパ箱を作ったりと、作業には一生懸命取り組む姿が見られました。
勇気を出してかけた一本の電話
あべのタスカルへ行くための準備をしているときのことです。悪天候の場合を想定し、施設の中でお弁当を食べることができるか問い合わせることになりました。彼女は「何を言えばいいの?」と聞いてきました。
そこで一緒に考えながら、話す内容を整理しました。言葉が決まると、彼女はそれを自分の中に入れるため、少し奥に行って覚えていました。
緊張しながらも、無事に問い合わせの電話をかけることができました。電話のやり取りを聞いていても、しっかり話せていたことがわかりました。
最近では、自分の思っていることを少し言えるようになってきました。これは探検隊での経験だけではないかもしれません。これまで積み重ねてきたさまざまな経験が、彼女の自信につながってきたのかもしれません。
「近寄るな!」から始まった関係 〜Bさん〜
距離の取り方がわからなかった彼
Bと初めて関わったのは、Bが小学4年生のときでした。初対面の際、挨拶を交わす間もなく、「近寄るな!」「〇〇(スタッフの名前)! 勝手に見るな!」と一喝されました。
ですが、その言動とは裏腹に、彼から悪意や敵意のようなものはまったく感じられませんでした。人との距離感をどう測ればいいのか、そのわからなさが乱暴な言動として表れていたのかもしれません。
そんなBがトッカビ探検隊の活動に参加するようになったのは、「パソコンゲームもできるから」という理由もあったようです。活動場所には調べものができるように、数台のノートパソコンがあります。時間を決めてゲームをすることも許容されています。
ゆったりとした時間の中で関わるうちに、少しずつですが、「〇〇さん、これ、どうしたらいいの?」と丁寧な表現で話すようになっていきました。
仲間の中で見えてきたリーダーの力
活動の時間には、集まった子どもたちみんなで話しあいの時間を持つようにしています。「やりたいこと」を計画していく中で、これまで他者と協調して行動する姿勢があまり見られなかったBさんが、話しあいのリーダーシップをとるようになっていきました。
その能力は、もともと彼の中にあったものなのだと思います。その力が発揮されるようになったのは、探検隊の活動の中で、他者との距離の取り方や関わり方を自然と身につけていったからなのかもしれません。
仲間の「やってみたい」を支える力 〜Cさん〜
仲間に合わせながら参加していた頃
Cさんが小学6年生の頃に、探検隊の活動が始まりました。
Cさんはこれまで、自己主張はあまり強い方ではなく、良くも悪くも「誰とでも合わせられる」という印象でした。とはいえ、消極的というわけではありません。
探検隊の活動では、やってみたいことや好きなことを探究していきますが、Cさん自身から強く「これがやりたい」というものが出てくることはあまりありませんでした。友達のやってみたいことを一緒に探究したり、手伝ったりすることが多かったのです。
それでも、特別な用事がない限り休むことはなく、いつも活動に参加していました。
仲間の挑戦を支える姿
仲間の「やってみたいこと」を尊重し、一緒に探究するときには、その中から自分の役割を見つけ出します。そして決して手を抜かず、どの作業にも一生懸命、丁寧に取り組む姿がとても印象的でした。
中学生になり、部活動の影響で探検隊の活動への参加は少なくなりましたが、それでも時間を見つけて活動に顔を出しています。
現在は、小学生の探検隊たちが取り組むプロジェクトに目を配り、「ここはサポートが必要そうだ」と感じた場面に自然と入り込み、プロジェクトを支えてくれています。
自分から動く力へ
Cさんが小学6年生のときに経験した探検隊の活動で、「プロジェクトを進めるために必要なこと」の感覚が身についていったのだと思います。
大人から「やってみる?」と背中を押されなくても、「ここやるわ」と自分から動き、必要なサポートに回ることができます。決して出過ぎることなく、仲間の「やってみたい」を尊重する姿は、今も変わりません。
いまは仲間の挑戦を支える立場にいるCさんですが、いつか自分自身の「やってみたい」を探究するとき、探検隊で身につけたその身のこなしは、ささやかでも大きな一歩を踏み出す力につながるのではないかと感じています。
2026年度、とりくみたいこと
― 子どもたちの世界を広げる、新しい出会いと挑戦 ―
これまでトッカビ探検隊では、子どもたちの「やってみたい」という思いを大切にしながら、子ども主体の活動を進めてきました。
しかし、この一年の活動を振り返る中で、ひとつの課題も見えてきました。
それは、子どもたちの経験や出会いがまだ多くないため、「やってみたいこと」がすぐに言葉として出てこないことがある、ということです。
子どもたちは決して意欲がないわけではありません。
ただ、そのきっかけや刺激が少ないと、世界の広がりをイメージすることが難しいのです。
そこで2026年度は、これまで大切にしてきた子ども主体の活動を基盤にしながら、大人の側からいくつかの提案や出会いの機会を用意することにしました。
さまざまな人と出会い、いろいろな経験をする中で、子どもたちが自分の可能性や将来について考えるきっかけをつくっていきたいと考えています。

自分たちの居場所をつくる 〜シャッターアートプロジェクト
トッカビ探検隊の活動拠点である事務所には、小さなシャッターがあります。
いまはまだ少し地味な外観ですが、ここを子どもたちと一緒にシャッターアートで彩ることを計画しています。
地域で活動するアーティストの方々からアートについて学びながら、子どもたち自身がアイデアを出し、みんなで作品をつくります。
自分たちの手で居場所をつくる経験は、
「ここは自分たちの場所だ」という思いを育てる大切な機会になります。
また、完成したアートは地域の方々にも見てもらえる形となり、トッカビ探検隊の活動を知ってもらうきっかけにもなります。
トッカビの卒業生に出会う 〜未来を考える時間
トッカビの活動は、長い歴史を持っています。
これまでに多くの子どもたちがこの場所を訪れ、やがて大人になり、それぞれの道を歩んでいます。
2026年度は、トッカビに関わっていた卒業生の方々を招き、当時の話や現在の仕事、人生について語ってもらう場をつくりたいと考えています。
子どもたちにとって、少し先を歩いている先輩の話を聞くことは、自分の未来を想像する大きなきっかけになります。
「昔ここに来ていた人が、いまこんなことをしている」
そんな出会いが、子どもたちの将来への視野を広げてくれるはずです。

外国ルーツの大人たちとの出会い 〜スポーツ・音楽・ダンス・アート
トッカビ探検隊には、外国にルーツを持つ子どもたちも多く参加しています。
2026年度は、スポーツや音楽、ダンス、アートなど、さまざまな分野で活躍している外国ルーツの大人たちと出会う機会をつくりたいと考えています。
実際に活躍している人の話を聞いたり、一緒に活動をしたりすることで、
- 自分と同じルーツを持つ人が社会で活躍していることを知る
- 自分のルーツを前向きに捉える
- 将来の可能性を広げる
そんな経験につながることを期待しています。
自分たちの活動を伝える力を育てる 〜動画づくり・新聞づくり
トッカビ探検隊では、これまで多くの活動を積み重ねてきました。
しかし、その経験を「伝える」機会はまだ多くありません。
そこで、専門家の協力を得ながら、
- 動画撮影
- 活動記録づくり
- 新聞づくり
などを学び、子どもたち自身が自分たちの活動を発信できる力を育てたいと考えています。
こうした経験は、イベントでの発表や地域への広報にもつながり、子どもたちが自分たちの活動を誇りをもって語るきっかけになります。
2026年度の活動を実現するために
スタッフで話し合いを重ねる中で、ひとつの共通した思いがありました。
子どもたちの「やりたいこと」を大切にすること。
そして、そのための出会いやきっかけを、大人も一緒につくっていくこと。
子どもたちの世界は、出会いによって大きく広がります。
新しい人と出会い、新しい経験をすることで、子どもたちは自分の可能性に気づいていきます。
今回のクラウドファンディングは、
こうした出会いと経験の機会を子どもたちに届けるために立ち上げました。
みなさまのご支援によって、トッカビ探検隊の子どもたちが、
さまざまな人と出会い、自分の未来を考える時間を持つことができます。
どうか、この取り組みを応援していただければ幸いです。
【おわりに】
あくまでも子どもたちの主体性を大切に、子どもたちとともに歩み、時には背中を押してあげるようなサポートを心掛けながら活動していきます。
そして、ワークショップという形で、外国をルーツに持つ子どもたちと大人たちとの出会いを重ねるなかで、大人たちも子どもたちとの関わりからなにかを学び、子どもたちにとっては、大人の姿に自分を重ねながら、自分自身の未来を創造していく「小さなきっかけ」になることを願って活動していきます。
なにとぞ、あたたかいご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

