ストーリー
こんにちは、特定非営利活動法人Waffleの田中沙弥果です。
8月13日、34歳の誕生日を迎えるこの節目に、みなさんと一緒に、女子やノンバイナリーの学生たちが性別の「枠」を超えて可能性を広げられる未来を創りたいと思います。
女子として生まれた日から
女子として生まれた私。父から「女の子は大学に行かなくてもいい」と言われたことを、今でも誕生日を迎えるたびに思い出します。子どもの頃の私は、大学に行く理由もわからず、高卒で働くつもりでした。でも、母がこう言ってくれたんです。「今の時代、女子も大学に行って、自分の可能性を広げるのよ」。その言葉が、私の考え方を180度変えました。
母の後押しで大学に進み、そこで出会った知識や経験が、2019年にWaffleを立ち上げる土台になりました。あの時、母が「女子だから」と私の可能性を閉ざさなかったから、今の私がいます。誕生日を迎えるたびに、あの言葉と、女子として生まれても制限されない未来への願いが、私を突き動かします。
親になって強くなった願い
去年、第一子を出産して気づいたことがあります。生後数ヶ月の我が子にさえ、世の中は「男の子ならこう、女の子ならこう」と枠をはめようとしている。おもちゃの色や将来への期待に潜む偏見に、親として衝撃を受けました。私の子も、すべての子どもも、性別で可能性を制限されることなく、自分の「好き」を自由に追いかけてほしい。その思いが、Waffleを続ける原動力です。
Waffleの原点:抑圧への怒りと可能性の解放
Waffleは、女子やノンバイナリーの可能性を抑圧する社会への怒りから生まれました。「理工系は体力が必要だから女子には無理」「プログラミングは難しいから女子には向かない」——そんな大人の無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)が、どれだけ多くの夢を閉ざしてきたでしょうか。
ある地方のワークショップで、女子生徒が「プログラミングを学びたいけど、近くに機会がない」と話してくれたとき、彼女の可能性を「できない」にしたくないと強く思いました。それがWaffleの原点です。今、Waffleで出会った仲間と共にアプリを開発したり、AIの大学院に進んだり、インターンとして挑戦を続ける学生たちの姿には、Waffleが目指す『可能性の解放(Unlock the potential)』が色濃く表れています。中高生・大学生の未来が広がり、喜びに溢れる瞬間に立ち会えていることを誇りに思います。
Waffleのミッションとこれまでの歩み
(先日のWaffle創立5周年記念イベントの集合写真)
女性のエンパワーメントと社会構造の変革に取り組むNPO法人。中高生を対象とした無料のWebサイト制作コース「Waffle Camp」や、国際的なアプリ開発コンテスト「Technovation Girls」への日本国内出場支援、企業と連携した各種イベントの開催、大学生・大学院生向けのプログラミング学習コミュニティ「Waffle College」など、多様な教育プログラムを展開している。さらに、「経済財政運営と改革の基本方針(通称:骨太の方針)」をはじめとする政策への提言を通じて、社会構造の是正にも積極的に取り組んでいる。2020年第4回ジャパンSDGsアワード「SDGsパートナーシップ賞」受賞。主な著書に『わたし×IT=最強説』(リトルモア刊)がある。
2019年に創業以来、47都道府県、約6000人の学生に機会を提供してまいりました。
▼地方へのアウトリーチをすることで、機会格差の解消に取り組むWaffle Camp紹介動画
▼SDGsの課題をモバイルアプリで解決するTechnovation Girls日本公式ピッチイベントの様子
これまで寄せられた女子中高生・卒業生の声
「小さい頃から家のコンピューターを触るのが好きで、自然と「技術」や「タイピング」に興味を持つようになりました。でも、高校進学のときに高専や工業高校を選ぶという発想は私にはありませんでした。どこか「男子校っぽい」と感じてしまっていたからです。
高校では英語に惹かれて国際系のコースを選んだものの、実は情報系にも進学したかったという気持ちがありました。でも、一度入学したらコース変更ができない制度で、進路の幅は狭まってしまいました(推薦入試で入ったためでもあります)。
文系出身の私が進めるコンピュータサイエンス(CS)学部を調べて、名古屋大学のデータサイエンス学部があることは知っていましたが、「データ」より「コード」がやりたい!というモヤモヤはずっとありました(笑)。
テレビで見るロボコンのような技術系の課外活動にも憧れはあったけど、「あれって男子の世界でしょ?」というイメージがあり、女子が参加できるものだとは思っていませんでした。東京や大阪には無料でコーディングを教えてくれる塾があることも知っていましたが、岡山から通うのは現実的ではなく、「東京に住んでいたらな〜」と本気で思っていた時期もありました。
そんな中で出会ったのが「テクノベーションガールズ」でした。最初の応募では落選してしまいましたが、2度目の挑戦で参加できることに!ブロックベースではあったけれど、コーディングが本当に楽しくて、「毎日これやりたい!」と心から思ったことを覚えています。中には本格的なコードを書いている子たちもいて、毎日が刺激的で、しんどさも含めて楽しかったです。
そして、寧々さんとの出会い。YouTubeで海外大学でCSを学ぶ話を聞いて、「そんな選択肢もあるんだ!」と世界が一気に広がりました。今私はスペインでCSを学んでいます。高2の冬にWaffleと出会っていなければ、こんな未来は絶対にありませんでした。
毎日が本当に楽しいです。自分の手で何かを作ったり、機械学習の試行錯誤を重ねたりする時間が最高で、グループプロジェクトの大変さも含めて充実しています。
地方の文系出身のいち高校生だった私の選択肢を広げてくださって、本当にありがとうございました!将来は、N番部屋のようなネット上で立場の弱い女性や子どもたちを、技術の力で守れるようなことがしたいです。これからのWaffleの活動も、ずっと応援しています!」
(大学生)
「とにかく楽しかったです!!こんな世界もあるんだなぁと視野が広がりました!工学部の中でも機械の学部は特に女の子がいないので、不安は大きかったのですが、すごく背中を押してもらえました!これからもプログラミング続けていきたいです。いろんな言語が使えて、たくさんのことができる様に、自分のやりたいことが叶えられる様に勉強のモチベーションも上がりました!」(高校3年生)
「ロールモデルの方々からの話を聞いて、今までハードルが高かったITの世界に少しだけ足を踏み入れることができて、自分にとっては大きな変化でした。将来は遠隔コミュニティデバイスをつくりたい。」(高校2年生)
「先週木曜日、ある生徒の推薦入試の面接練習をしていたのですが、志望動機にWaffle Campのことが出てきました。
根掘り葉掘り聞いていたら、その彼女は何となく理系に進んだものの特にやりたいこともなく、行きたい大学もなかったと。でもたまたま教室でチラシを見て申し込んでキャンプに参加してみたらすごく面白かった。もらった本(『わたしxIT=最強説』)も何度も読んで、✖️ITで何でもできるというところから、医療とITを組み合わせてフェムテックをやりたいという目標が見つかったんだそうです。
大学生になったら、メンターさんにも勧められたからWaffle collegeに参加したい!と言っていました。
Waffle Campが進路を決めるきっかけになったり、進路の後押しをしたりしていることを目の当たりにして、涙が出るほど嬉しかったです。 」(地方の高校の先生より)
なぜ「サポーター」を集める?
近年、AIの急速な進展により、産業構造は劇的に変化しています。今後5年間で事務職、秘書職、窓口業務、郵便業務、レジ業務などの職種が大きく減少すると予測されており、その主な要因はデジタル化と自動化の加速と言われています(*3)。これらの職種は、日本において性別役割分業や固定観念により女性が多く従事してきたため、AIによる雇用の変容は特に女性に大きな影響を与えます。
さらに、日本は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で、理工系に進学する女性の割合が最も低い国であり(*4)、AIリテラシーやSTEM分野に関する教育や学習の機会が、男性に比べて限られている傾向があります。このデジタル格差により、女性が新しい技術に対応しにくい状況が生まれ、将来のキャリア形成における機会の不平等が拡大するリスクがあります。
こうした時代の変化に対応し、ジェンダーによる機会の不平等を解消するため、Waffleは全てのプログラムにAIのカリキュラムを導入し、「使う人」から「創る人」「設計する人」の教育を提供してまいりたいと考えています。
そしてNPO法人Waffleは、今、「認定NPO法人」になることを目指しています。
認定NPOになると、寄付者が税控除を受けられるようになり、より多くの人に持続的に応援してもらえる土台を築くことができます。これは、Waffleが長期的かつ安定的に、女子とノンバイナリーの学生たちの未来を支える教育活動を広げていくために不可欠な一歩です。
認定NPOになるためには、年間100人の方にご寄付をいただく必要があります。
ぜひWaffleの想いに共感していただけたら、マンスリーサポーターとして寄付で応援してください。
1人ひとりの小さな力が、未来を変える大きな一歩になります。
寄付金の使いみち
Waffle の活動費に使わせていただきます。
より多くの学生に機会を提供していくためにご支援どうぞ宜しくお願いいたします。
サポートしていただく皆さまの存在は、今後私たちが「IT分野のジェンダーギャップ をうめる」活動を継続する上で非常に重要な役割を果たす、サポーターであり仲間になります。
一緒に日本のジェンダーギャップ 解消を目指しましょう。
特定非営利活動法人Waffle
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(*3)世界経済フォーラム「The Future of Jobs Report 2025」( https://www.weforum.org/publications/the-future-of-jobs-report-2025/ )
(*4)OECD「The Pursuit of Gender Equality: An Uphill Battle」(http://www.compareyourcountry.org/gender-equality/en/0//default/)