解散の危機と成長
2025/6/19 22:18

・解散の危機
順調に活動を広げていたようにみえていたユアセルでしたが、収支はほとんどアカ、アカ、アカ。さらに物価高騰の影響で円山のお店の暖房費や賃料が値上がりし、拠点を変えなければなりませんでした。
代表の高橋は、一時解散を考えたと言います。それでも彼女の行動力はすごい。まず、知り合いで西区選出の市議会議員だった方に現状を伝えました。すると西区にあるスナックのママを紹介してくれました。また、NPOが経営している高齢者住居に併設されているプレハブを貸してもらえることになりました。
こうして西区発寒が現在のフリースクールと子ども食堂の活動拠点になっています。西区の方々の優しさに心惹かれ、高橋も西区に引っ越しました。最初の活動はプレハブの掃除と改築から・・・。4月に壁塗り体験イベントを実施して、プレハブはだいぶフリースクールらしくなりました。
・地域食堂
西区発寒に移転し、できるようになったことの1つに地域食堂があります。ユアセルでは企業さんからの助成を受け、11月から毎月第3木曜日に開催しています。
地域食堂はすでに多くの団体が開催しており、またユアセルは新参者でもあるので参加者数は伸び悩んでいますが、ボランティアスタッフの学生が多く参加してくれているのが特徴です。今後はより地域の方々と若者が交流し、西区発寒地区に根付いていけばよいなと思っています。
また、大人の居場所・サードプレイスとして以前行ったユアセルbarも同じ場所で参加できないか画策中です。孤立を減らす取り組みとして、これからも続けていく予定です。
・生活支援
活動の柱の1つに「生活支援」があります。少し説明をすると、介護保険制度では対応できなかったり、ちょっとした困りごとに応じるもので、西区発寒地区では1時間2,500円で承っています。正直便利屋さんに任せた方が安いのかもしれませんが、ユアセルは作業中のコミュニケーションを大切にしています。誰にも頼ることのできない方がユアセルと繋がり、そこからコミュニケーションが生まれ「実はこんなことも困っていて」と新たなニーズを発掘できるという強みがあります。また、若者と利用者が関わることで、若者の持つエネルギーによって利用者が笑顔で活き活きとしてくるような気がしています。
生活支援実施件数は300件を超えました。団体の収入としても大きな割合を占めていますが、恒常的に依頼が来るわけではないので、実質的には不安定です。社会福祉協議会や地域包括支援センターと連携はしていますが、さらに周知活動を行い、依頼を増やしていきたいと思っています。
・ファンドレイジング
ファンドレイジングとは「資金調達」のこと。ユアセルの運営資金を稼ぐために、わたしがこの担当をすることになりました。
就労支援員だった時代、利用者獲得のために営業をしたことはありますが、非営利団体のファンドレイジングはそうしたことだけでなく、助成金申請などもあります。これが本当に煩雑で大変。でも勉強になります。
今後収入が見込まれるのは、ユアセルの活動の柱の一つである「イベント事業」です。ユアセルbarのほか、研修会を開催したり、様々な催しを企画したりすることで資金を稼ぎます。非営利団体は自団体の運営資金を稼ぐこと自体は認められているため、どんなイベントがよいか、日々試行錯誤しています。
また、皆さんがイメージしている通り寄付金も収益としています。多くの団体が会員制度を取っているため、ユアセルもそれにならい、会員制度、寄付金窓口を設置しました。一緒に活動したい方、活動はできないけれども寄付をしてくださる方、もしよければ寄付をお願いいたします。
・これからのこと
ユアセルは小さい団体ながら、そして紆余曲折ありながらも活動を継続しています。今年度(2025年度)になり、運営メンバーも増えました。
とにかく今は、活動を大きくするために奔走しています。ファンドレイジングもそうですが、サポーターは団体を応援するというよりも、そこで頑張っている顔見知りの個人を応援してくれます。高橋やわたしのみならず、ユアセルメンバーの多くが地域に顔を広めていくことが大事だろうと考えています。
そして、皆でまだ見ぬ景色を見たいと思っています。まだまだ抽象的ですが、地域全体がごちゃまぜに関わり合い、障害、国籍、LGBTQ+、その他属性に関係なくいろいろな人たちが助け合う関係性であること。それは現代でも実現不可能ではないと思っています。札幌市西区発寒から、全道へ!「自分らしく居られる場所」を広げていきたいです。
一般社団法人ユアセル運営 斎藤 彰太
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