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2017年の秋、わたしは文芸誌「早稲田文学」の外部責任編集者として携わり、「女性号」を刊行しました。82名の書き手は全員が女性。文学史に名を残す、樋口一葉、ヴァージニア・ウルフといった作家から、90年代生まれの気鋭の現代作家までの作品を収録、または再録し、詩歌、俳句、小説、エッセイ、論考、写真やイラスト、座談会など、盛り盛りの全556ページ。古今東西、過去現在、あるいは未来に向かって、厚みのある内容になりました。

情報が公開されるや否や大変な反響をいただき、品切れが続出。刊行直後に重版もされました。「こんな一冊を待っていた」「これが普通になればいい」など98%は「女性号」の意義を認め、受け入れてくれる感想でしたが、ほんの少し──きちんと読んだうえでの批評や批判ではなく、「攻撃的」「女性がいっぱい集まっていて怖い」「82人すべてが女性だけなんておかしい」なんていう男性からの条件反射的な素朴な声もありました。それはそのまま、彼らがふだん、主に言論の現場で無意識に実践し享受している「通常の状況」が、本来はいかに異様であるのか、ということを端的に示しているのですが、彼らはこのような機会を得てもなお、その非対称性に気づかない。批評性のある書き手たちの素晴らしい作品ばかりで編まれた「女性号」を責任編集者として誇りに思うとともに、さらに様々を考えるきっかけを頂戴したと思っております。

 さて、「女性号」刊行の直後に、わたしはWAN主催のイベント『こうして戦争は始まる──孫世代は出会う「銃後の女たち」』(https://wan.or.jp/article/show/7456)に参加、登壇しました。これは「ミニコミに学ぶ」というシリーズの一環で、現在、WANでも閲覧可能な『銃後史ノート』(戦後編)の中の9つの論文を中心に、日本がどのように戦争に突き進んだのか、そのとき女性たちは何をどのように考えていたのか、それらの「銃後」とは何だったのかを振り返って、今日の様々な世代の観点からディスカッションをするという内容でした。

ものすごい衝撃を受けました。わたしはフェミニズムを学問的に学んだことはありませんし、あくまで自己実現の範囲内で物を書いている人間ですが、女性であること、痛みについて、なぜ人は生きているだけでこんなに苦しいのか──それらについて執念を持って仕事に臨み、時間を重ねてきた自負が少なからずあり、その延長に「女性号」の実現もあったのだと思います。けれど、登壇するに当たって「銃後史ノート」の論文を読み、わたしは何も知らなかったのだと愕然としたのです。

具体的な内容には、たとえば取り上げられている事件や当時の風潮については知らないことも、知っていることもありました。しかし何よりも、わたしはかつて女性たちがこのような強度と熱意と、それこそ執念を持って、こんな活動をしていたことを知らなかったのです。しかも手弁当で、一度きりの特集というのではなく、長きに渡って継続して。   圧倒されました。「女性号」の<責任編集者としての手応え>を、ほんのりとでも感じていた自分を恥じました。けれど、「銃後史ノート」の書き手でもある登壇者の加納実紀代さん、むらき数子さんの発表、また女性と兵役の現在性について語られる佐藤文香さんの講義に集中するにつれ、その感情はすぐに感謝や尊敬や興奮の入り交じった「うおー!」と叫びだしたいような力になって、わたしをさらに鼓舞しました。登壇者たち、参加者たちのまなざし、会場の熱気に、わたしは「女性の歴史」を見ました。そしてそれは同時に、ここには来ることのない女性、言葉をもたない女性、表現する術をもたずに今もどこかで苦しんでいる女性を思わせるものでした。

 言葉は大切です。すべての人がよりよく生きるために、本当に大切です。人生が辛いとき、苦しいとき、それを取り除くためには色んな方法がありますが、最後は考えるしかありません。考えるには言葉が必要です。言葉は、書物からやってきます。そして信頼する人たちの表現や、語りからやってきます。人々がその切実な体験を通して誰かに伝えようとする言葉を受け取り、自分の問題について語るときに、自分の言葉として使えるようになること。インターネット、とりわけSNSは玉石混交、不毛な点も多いけれど、希望の側面も持ちあわせています。昔なら出会えなかった、自分と似た苦しみを持っている人たちを知ることができる。人間は金輪際ひとりだけれど、だからこそひとりじゃないと時折、思うことができる。自分の意見を言ってみたい。もっと考えを深めたい。この違和感、なんなんだろう? 今日こんないいことがあった。少しずつ変わってきてる、でも何が? 子どもとの関係。老後の不安。生きているあいだはいろんなことがあります。そんな日々の、そのときどきの変化やつまづき、愉しみに、どなたにでも開かれている場が「WAN」なのだと思います。

ここに来れば、誰かが何かを話している。いろんな動画が見られる。文章が読める、論文が読める。トピックスから気になるテーマを選んで、好きなときに好きなだけ。参加できるイベントだってたくさんあります。今年10周年を迎える「WAN」は、運営のみなさんの熱意で成り立っています。そしてこれから先もずっと「WAN」があるためには、多くのみなさんの寄付が必要です。わたしは「銃後の女たち」イベントのあとに、即座に終身会員(*下記参照)になりました。子育てと仕事に追われてふらふらの毎日ですが、少しでも「WAN」にかかわっていることが自分自身の励みになるし、嬉しいし、書き手としては、いつか朗読会や読書会などができたらいいなあと夢想しています。

ぜひ、「WAN」を遠くの、近くの、ご友人に知らせてください。広めてください。どうぞ寄付をしてください。10年後も20年後も──過去、現在、未来の女性たちがアクセスし、交流する場としての「WAN」が生き生きと大きく開かれていることを強く願っています。

 

 

                              川上未映子

 

 

(参照)WANは終身会員制度も設けております。会費・特典はサイトからご確認頂ければ幸いです。 

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