大切な人が1型糖尿病を発症したとき、「この病気は治るよ」と言ってあげたい
2019/12/1 09:33
私は、8歳の誕生日を迎えた翌日に1型糖尿病の発症を宣告されました。
家族はもちろん友人や知人にも同じ病気の人がいない中なんとも言えない不安に襲われ、この病気のことを必死に涙をこらえながら説明してくれた母の姿は今も忘れられません。
即入院して、自分の指からの採血、飲み薬ではなく注射器によるインスリンの注入を嫌々ながら覚えました。それを毎日何回も行い、さらに治ることはなく一生であることを心の奥底では受け入れられないまま退院した自分を待ち受けていたのは、この病気に対する偏見でした。
「食生活が悪い」「贅沢している」「しつけが悪い」「呪われている」
そんな謂れもない非難に私や家族は疲弊していました。
そんな自分が「1型糖尿病であってもいろんなことに挑戦できる」をモットーに現在活動できるようになったのは、恩師や友人の支えにより病気のことをカミングアウトできるようになったのがきっかけでした。
その後、エアロビック競技というスポーツで日本代表になるという夢の1つを実現することができてから、「私は1型糖尿病は治らなくてもいい」とさえ思うようになっていました。
そんなときに理事長から「患者の意見を組織に加えてほしい」と声をかけられ、2010年から日本IDDMネットワークの理事として活動するようになりました。
それまで以上に多くの患者・家族に出会う機会に恵まれ、発症した当時の私のように病気を受け入れられない方、偏見に苦しむ方、そして、治りたいと切望する方にもたくさん出会いました。
さらに結婚し、子どもができ、自分にとって大切な人が増えたとき、ふと思ったのです。
大切な人が1型糖尿病になったとき、かける言葉は「自分は毎日注射して頑張っているからあなたも頑張りなよ」でいいのかなと…
自分は治らなくてもいい。
でも、家族や友人など大切な人が1型糖尿病になったとき「この病気は治るよ」と言ってあげられる病気にしたい。
それが今の私の願いです。
この願いは、私1人や日本IDDMネットワークの力だけでは実現できません。
ぜひ継続的な支援により、1型糖尿病の根絶に向けた研究を支援する「マンスリーサポーター」へのご支援ならびにご協力で実現への力添えをお願い致します。
日本IDDMネットワーク 副理事長 大村詠一
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