こんにちは。NPO法人 青少年の自立を支える奈良の会です。
私たちは2013年4月に奈良で初めての自立援助ホーム「あらんの家」を開設しました。現在は「あらんの家(男子ホーム)」に加え「ミモザの家(女子ホーム)」の2つの事業を柱に、様々な理由で家庭に居場所がなくなった青少年(原則15歳~20歳)の自立を支援する活動に取り組んでいます。
前回までのクラウドファンディングでは、私たち法人の11年目のプロジェクトとして始まった、ホームを巣立った子どもたちが「ただいま」と帰って来られる「新しい居場所」を作るためのサポートをお願いしました。様々な形で支援してくださった皆さま、本当にありがとうございました。
皆様からの支援のおかげで、居場所は「とらいあんぐる」と名付けられ、2023年11月からオープンしており、退居した子どもたちも少しずつですが遊びに来てくれています。ホームを巣立った子どもたちは毎日の生活を忙しく過ごしています。彼女・彼らがほっと一息つけること、同じ経験をしたもの同士が交流できること、生活に役立つ情報提供・相談支援や助言を受けることができること、仕事を失ったら再就職先探しを手伝ってもらえること、いろんな困りごとを聴いてもらえること、性暴力や若年出産等の女の子固有の課題解決にいっしょに取り組んでもらえること、そして、「誰からのために役立ちたい」といったボランティアにチャレンジできる場にしたいと願っています。
また、こうして退居者支援を充実させられるのは、日々の入居者支援があってこそです。
今回のクラウドファンディングでは前回までとは異なり、開設12年目を迎える「あらんの家」と開設5年目を迎える「ミモザの家」の2つの自立援助ホームに入居している子どもたちの生活環境を整えるための支援を必要としています。
ホームの生活環境を整えることは、自立援助ホームの「入居者に安心感、安全感、満足感につながる環境を保証すること、入居者に丁寧に当たり前の生活を保証すること、そして、入居者の主体性を尊重する」(こども家庭庁自立援助ホーム運営指針より)ために重要なことです。
皆さまの気持ちが集まって様々な形で応援していただくことで子どもたちに提供できる支援の幅が広がります。ご協力どうぞよろしくお願いいたします。
ストーリー
【今回の目的】
これまで3回にわたるクラウドファンディングにご協力いただきありがとうございました!
皆様のおかげで、退居者のための居場所「とらいあんぐる」をオープンすることができました!
前回までのクラウドファンディングでは、私たち法人の11年目のプロジェクトとして、ホームを巣立った子どもたちが「ただいま」と帰って来られる「新しい居場所」を作るためのサポートをお願いしました。様々な形で支援してくださった皆さま、本当にありがとうございました。
皆様からの支援のおかげで、居場所は「とらいあんぐる」と名付けられ、2023年11月から週2回のペースでオープンしており、退居した子どもたちも少しずつですが遊びに来てくれています。
https://note.com/naranokai/m/m744ee1550ef8
こうして退居者支援を充実させられるのは、入居者支援があってこそです。
“今回のクラウドファンディングでは、あらんの家&ミモザの家の子どもたちに、あたりまえの生活を保障することを目指します”
今回のクラウドファンディングでは前回までとは異なり、開設12年目を迎えた「あらんの家」と開設5年目を迎えた「ミモザの家」の2つの自立援助ホームに入居している子どもたちの生活環境を整えるための支援を必要としています。
ホームの生活環境を整えることは、自立援助ホームの「入居者に安心感、安全感、満足感につながる環境を保証すること、入居者に丁寧に当たり前の生活を保証すること、そして、入居者の主体性を尊重する」(こども家庭庁自立援助ホーム運営指針より)ために重要なことです。
具体的な寄付の使い道として…
① ダイニングのテーブルと椅子の買い替え、フローリングの修理
② 子どもたちが過ごす2階のリビングのエアコンを設置
③ エアコンのクリーニング
④ 多目的室で子どもたちの楽器
⑤ クリスマス会などの材料費(物価高騰のため)
⑥ 防災用品の購入(発電機など)
⑦ 庭の剪定費用
⑧ オーブンレンジ
⑨ ソファとヨギボー
⑩ 物価高騰のためお米の購入
などを考えております。
皆さまの気持ちが集まって様々な形で応援していただくことで子どもたちに提供できる支援の幅が広がります。ご協力どうぞよろしくお願いいたします。
【背景】
■増える入居相談
2023年度は、入居相談が合計64件(2022年度47件)となりました。新型コロナが2023年5月に5類になった後、とくに女子の入居相談が増え、昨年度比約2倍に増加しています。
相談内容は、身体的虐待、ネグレクト(養育放棄)、性被害、児童労働、高校に通学させてもらえない、家出、いじめ、非行、薬物中毒、少年犯罪による補導委託先依頼、施設内暴力、妊娠・中絶など若年出産にかかわること、18歳で婚外子出産、DVによる家出、保護者の精神疾患、保護者との関係不全、保護者との不和、保護者の行方不明等、多岐にわたっています。
これらすべての相談が、入居につながったわけではありませんが、他の機関につなげたり、直接住み込み就労先につなげたりするなどできる限りの応答をしています。
■子どもたちの特徴
入居している子どもたちの中には、軽度知的障害、発達障害などの障害特性をもっていたり、身体的虐待やネグレクト・心理的虐待、経済的虐待、性的虐待を受けてきたなどの特徴があります。虐待などの影響からうつ病、境界性パーソナル障害、自死念慮、自傷行為、てんかん、高次脳機能障害などの課題を抱えている子どもたちもいます。また私たちはこの11年間、少年犯罪、ギャンブル依存などの依存問題、愛着障害、迫害体験によるPTSDなどのケースにも対応してきました。さらにLGBTQなどセクシャルマイノリティであることから生きづらさを抱えている子どもたちもいます。子どもたちへの性教育・性感染症対策・マネープランのほか、パートナーを見つけるためLGBTの出会いの場を設けているNGOとも連携したこともあります。
■子どもたちに、あたりまえの生活を保障する
虐待環境の中で子どもたちは、悲しい、つらいなどのマイナスの感情を受け止めてもらえませんでした。「感情を捨ててきた。だれも信じない。他人と関わりたくない。自分の気持ちを隠してきた。別キャラを演じてきた。親の役割をしてきた。何もかもどうでもよくなる。すぐあきらめる。たまに爆発する。空想の世界に浸っていた」などとホームに来てから、家で過ごしていた頃のことを語ってくれます。
自立援助ホームでのあたりまえの生活を通して、子どもたちの語りは少しずつ変化していきます。「ここでは夕食を作ってくれる。食卓が静か。みんなでテレビ見て笑うんや。おとなって働き者ですやん。朝お弁当を作ってくれる。おかえりと言ってくれる。ありがとうと返してくれる。泣いたり、否定的なことをいったりしても怒らない、切れない、殴らない。ホッとした。嬉しい。守ってくれる。こんなおとなもいるねんな。将来のこと考えてもいいかも。」などと語ってくれることもあります。
一方、数か月すると反動的な行動もあらわれます。”○○さんよりたくさん欲しい。嫌われたら追い出されるかも。過剰にまじめにアルバイトしないと不安。ホっとしすぎて別人になって刺激的な生活をしてしまう”などなど。また、逆に、”ひきこもる、幽霊みたいになる。虐待環境・暴力で動いてきたから、抜けがらみたいに何もしない、やる気が起こらない、3度しっかり食べるから太る、自分が一番不幸だと思われて同情されたい”などの行動もおこります。そうしたプラスの気持ちとマイナスの気持ちの「ゆらぎ」は、ホームの生活を続ける中で少しずつ小さくなっていくようです。
”今回、クラウドファンディングでお願いすることは、あたりまえの生活を保障するための様々な備品の購入です。 自立援助ホームは、入居者にとって大切にされることを実感できる生活環境でなければなりません。私たちは丁寧であたりまえの生活の営みを大切にしていきます”
【私たちの取り組み】
私たちは、虐待や貧困、非行など様々な事情により、家庭にいられなくなった子どもたちに寄り添ってきました。子どもたちが自分自身を確立するために、必要な安定した衣食住を提供し、子どもたちが自らの力で社会の中で生きていけるように支えていきたい、と考え、2013年5月1日奈良県で初めての自立援助ホームを開設しました。開設を準備し始めた当時、奈良県には、児童養護施設等を退所した子どもたちの居場所が近畿で唯一ありませんでした。公的な支援が届かない子どもたちをどうにか助けたい、という思いを強くもつ仲間が集まって、2010年8月任意団体をつくり活動を始めました。県内の児童養護施設の聞き取り調査や各地の自立援助ホームの見学を重ね、2012年に「あらんの家」を運営するNPO法人「青少年の自立を支える奈良の会」(友廣信逸 前理事長)の認証を奈良県から受けました。
特に主力となったのは「奈良つきあかりの会」という奈良県内の「非行」と向き合う親の自助グループの女性たちです。奈良県は保守的な風土で、非行の子どもをもつ親、兄弟は、地域から「あの子の親」「あの子の兄弟」と白い目で見られることがあり、地域活動から疎遠になることがありました。どの家庭も、子どものあり方を何とかしようと焦り、子どもを責め立て、家庭環境や親子関係がますます悪化していくという悪循環を抱えていたようです。そういった背景の「非行」の子どもを持つ親たちが定期的に集まり、学習会を開いて現状の子どもへの対応について反省したり、子育てを振り返ったりしてきました。彼女たちは、今はこのような状況ではあるが、未来は明るいという希望をもって子どもと接することで、親子関係がよい方向に変化することがあると信じて取り組んでいました。
あらんの家の設立は、児童相談所関係者、児童自立支援施設のスタッフ、家庭裁判所調査官、弁護士、大学教員とともに、こうした当事者である保護者の願いがエネルギーとなって実現できました。
現在、皆様のサポートのおかげで、あらんの家(男子ホーム)に加え、2020年5月にミモザの家(女子ホーム)、2023年11月には退居者の為の居場所「とらいあんぐる」をオープンしています。
あらんの家とミモザの家では今まで、男女あわせて83名の子どもたちをお預かりしてきました。(2024年8月現在 男子ホーム57名、女子ホーム26名)大阪・兵庫・京都など近隣の子どもたちも多く受け入れてきました。すでに74名の子どもたちが社会に巣立っています。入居中は就労・就学・生活支援を行い、退居が間近になるとステップハウス(借り上げアパート3戸)を活用して一人暮らしの体験ができる場を提供しています。
退居後は、各ホームや「とらいあんぐる」へのおかえり活動、来所時やLineなどによる相談活動、誕生日祝いや生活の様子伺い・行政窓口への同行等のアウトリーチ活動、食料品や日用品等の物資支援をするおせっかいBOX提供活動を行っています。今年度は再就職支援(リスタート支援)の件数が増えました。私たちのアフターケアは退居者が25歳の誕生日を迎えるまで支援しています。アフターケアの件数は2023年度なんと2093件にもなりました。
2022年度、私たち自立援助ホームがある奈良市は、中核市としては全国で4番目に児童相談所を設置しました。奈良市が「子どもやさしいまちづくり条例」を制定して子どもの権利条約の理念を実現する自治体になることを約束しましたが、基礎自治体として児童相談所を設置することはその約束の具体的取り組みのひとつだと喜びたいと思います。社会的養護の子どもの権利擁護に取組もうとされている奈良市の理念に私たちも賛同して事業に取り組みたいと願っています。
私たち自立援助ホームあらんの家とミモザの家は、開設当初は奈良県内の児童養護施設からの措置変更の受け入れがほとんどでしたが、現在は入居ルートが激変しています。(自立援助ホームの全国共通した状況です)①家庭から直接受け入れるケースが激増しています。②児童養護施設を円満に退所していないケースを受け入れています。③18歳から20歳未満からの入居受入が増えています。④大阪府や兵庫県など奈良県外の受け入れが増えています。また、オーバードーズ・自死企図(今年度3件)や中絶(同1件)若年出産(同2件)など10代後半の女性の課題が増えています。特別養子縁組につなぐケースもあります。さらに大学に進学するものが3名もいて様々な給付制度の活用など卒業までの長期的な支援も必要となっています。
【入居者支援と理事長挨拶】
こんにちは!「NPO法人 青少年の自立を支える奈良の会」の理事長の浜田進士と申します。
私たちのページを訪れて下さりありがとうございます。
今回のクラウドファンディングでは、あらんの家&ミモザの家の子どもたちに、あたりまえの生活を保障することを目指すためにサポートをお願いしています。自立援助ホームは、入居者にとって大切にされることを実感できる生活環境でなければなりません。
私は、入居支援について、以下のことを大切しています。
①大切にされる経験の保障
あらんの家・ミモザの家の入居者は、自分で選ぶことができなかった厳しい養育環境をやっとの思いでくぐり抜けてきているため、必然的に否定的な行為を表出してしまうことが頻繁におこります。たとえば、急に大声をあげる、赤ちゃんのように過剰に甘える、過剰な要求行動(なかには他害行為)、私物を共有スペースに大量におきっぱなしにするなど。これは、大切にされ、ありのままを受け入れてもらった経験が乏しいためであることが理解できます。大切にされる経験が保障されなければ、他者への信頼感を獲得し、成長していくことは困難になります。したがって、自立援助ホームでは、「しつけ」や「指導」を優先するのではなく、入居者の自尊心が育まれる受容的、支持的関わりを中心とした支援を行うことが大切となります。(参考:こども家庭庁自立援助ホーム運営指針より)
②真剣に向き合う姿勢
これまで述べてきたように、自立援助ホームでは入居者の様々な表出行動が生じることがよくあります。自傷や他害を問わず、危険な行為に及ぶ場合があります。そういった場合の対応としては、受容的、支持的な関わりだけではなく、対話を中心とした入居者への真剣な向き合いが求められます。軋轢を覚悟の上で相手のことを想いながらの厳しさを伴って向き合うことが重要となるわけです。丁寧な生活の営みの中で、時にはスタッフと入居者との真剣なぶつかり合いが心の糸に触れ、信頼関係を築くことになります。入居者と真剣に向き合うことを基本に支援していくことが自立援助ホームの理念の一つです。(こども家庭庁「自立援助ホーム運営指針」より)
③継続する支援
自立援助ホームでの目標は、基本的生活習慣や金銭管理、生活技術の獲得以上に、入居者がスタッフとの信頼関係を築き、困った時に相談できるようになることが重要となります。入居者は退居後に、実社会の中で自活しながら様々な失敗を経験し、自分で乗り越えることで地域社会において定着できるようになります。したがって、入居中と同じ位、退居後の相談支援が入居者にとって大切であることを常に意識して、入居者が求め続けている間は、支援を継続する必要があると私たちは考えています。(こども家庭庁「自立援助ホーム運営指針」より)
④主体性の尊重
入居者の多くは、虐待環境での生活や長期の施設生活を強いられてきており、自分で考えて行動するという自己選択の機会が保障されてこなかった事実があります。
「そんなこと言うたって、わたし、考えられへんもん」
「考えられない」ということ彼女の言葉を私たちはどう理解するか問われています。生育歴のなかで「だれかが決めて、のっかかることしかできなかった」子どもたち、自分のことばで生きることができなかった子どもたち、リストカットなど様々な形で訴えているのに聴きとってもらったことがない子どもたち、彼女彼らは、いつも自分の外側にあることばを注視することばかり求められて過ごしてきました。
実社会で生きていくためには、自分で判断して行動しなければならない場面が数多くあり、とりわけ困難な場面を乗り越える力が必要となります。しかし、自分の意思や考えを表出すること自体が認められなかった入居者や、逆にスタッフの行き届いた指導により失敗を保障されてこなかった入居者は、自己評価が低い場合もあり、困難な場面になると回避的な行動に走りやすい傾向がある。このため、自立援助ホームは、できるだけ入居者の意向を尊重した支援を大切にしようとつとめています。まずは自分の傷をいやす「セルフケア」をしたあとに、自分で選ぶという「セルフコントロール」ができていくのではないでしょうか。
入居や退居にあたっては、入居者の主体性に基づき契約により行われるのもそのためです。入居者の主体性を尊重し、自己選択、自己責任の機会を保障し、困難を乗り越える力が獲得されるように支援していくことが大切だと私たちは考えています。
子どもが安心して生活できる環境づくりのため、ひいては、安心して社会に参加できる社会を実現するために邁進します。ご協力をお待ちしております。