こどもに法的支援を届けたい③
2025/1/21 13:13

もっと早くに、こどもと親が法的支援につながっていたらと思うことがあります。
例えば、Cさんのケースです(プライバシー保護のため一部事案を修正しています。)
Cさん(中学3年生女子)は、学校にいる時間が苦痛でした。
1年前の夏、SNSに匿名で「Cは浮気の常習犯。要注意。」という根も葉もない書き込みがされました。犯人はわかりませんが、おそらく人気者のサッカー部キャプテンと親しく話していることに嫉妬した学校の誰かだと思われました。これをきっかけに、学校の仲の良かったグループから避けられるようになりました。
家にいる時間はもっと苦痛でした。
2年前に母親が職場で不倫したのをきっかけに、父親と母親の関係が急速に悪化しました。父親はいつも飲酒をすると暴れだし、「俺は不倫したお前のことを許さない」などと言って、母親を叩きました。Cさんが母親を守ろうと間に入ると、「そいつの味方をするならお前も同罪だ」などと言って、Cさんのことも叩きました。母親とCさんには、いつも身体のどこかにあざがありました。
どこにも居場所がない。全然違うところに行って、新しい自分になりたい。
Cさんは、最低限の荷物をまとめ、家を出ました。着いたのは、東京の歌舞伎町でした。
複合施設の下の広場に立っていると、すぐに知らない大人の男が声をかけてきました。
話をしていたら、自分が一人ではないような、ここに居ていいんだという気持ちになっていきました。
「泊まるところないなら、部屋あるよ。そこでゆっくり話そう。」
男とCさんは、歌舞伎町の街に消えていきました。
Cさんのように生きづらさを抱えている方を対象に、法テラスでは、DVや児童虐待の被害者が利用できる「犯罪被害者支援ダイヤル」を開設しています。
0120-079714(なくことないよ) 受付時間:平日9時〜21時、土曜9時〜17時
https://www.houterasu.or.jp/lp/higaishashien1/
もし、Cさんや母親が、法テラスの犯罪被害者支援ダイヤルに電話をし、法的支援につながっていたら、どのような支援につながっていたでしょうか。
Cさんは、法律に基づいて、SNSに誹謗中傷の書き込みを行った相手の氏名と住所を特定し、損害賠償請求や名誉回復のための措置を求めることができました。
Cさんの母親は、DVを行う父親と別居した上で、裁判所による接近禁止命令により安全を確保することができました。Cさんの母親は自ら不貞行為を行った有責配偶者ですが、このようなDV事案では離婚が認められることもあります。弁護士を代理人として離婚調停や離婚裁判を行うとともに、離婚成立までの母子の生活費(婚姻費用)の分担や、離婚後の養育費の分担を求めることもできたでしょう。
法的支援で、困難を抱えた子どもと親の生活を支えることができます。
いただいたご寄付は、困難を抱えたこどもと親に法的支援を届けるための活動等に使わせていただきます。
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