こどもに法的支援を届けたい①
2025/1/14 19:55

もっと早くに、こどもと親が法的支援につながっていたらと思うことがあります。
例えば、Aさんのケースです(プライバシー保護のため一部事案を修正しています。)
Aさん(小学3年生男子)は、もともと父親と母親との3人暮らしでした。父親は焼鳥屋を経営、母親は専業主婦でたまに父親の焼鳥屋を手伝っていました。
父親の焼鳥屋は、近所でも評判のお店でしたが、コロナ禍で酒類提供が禁止されると、ぱったり客足が遠のきました。父親は、この頃から、自宅での飲酒量が増え、イライラして「こういう時こそお前が稼がないと。役立たず。」などと母親に暴言を吐いたり、物に当たったりすることが増えていきました。母親は、父親からの心無い言葉に傷つき、いつも泣いていました。その姿をAさんも間近で見ていました。
「離婚してください。Aと出ていきます。」
「勝手にすればいい。その代わり、俺はお前たちの面倒はいっさい見ない。」
こうして、Aさんと母親の2人暮らしが始まりました。母親はパートを掛け持ちして働きました。それでも、もともとコロナ禍の時にした借金の返済もあり、手元にお金がほとんど残りませんでした。先の見えない生活の不安とイライラから、Aさんを怒鳴ったり、手を上げてしまうことも増えていきました。
「お母さんに叩かれる。お家にご飯が全然ない。」いつも同じ服を着て、髪の毛もボサボサのAさんは、泣きながら学校の担任に言いました。担任は、スクールソーシャルワーカーとも相談し、母親に連絡を取ろうとしましたが、連絡がつきません。学校が児童相談所に虐待の疑いがあると連絡し、Aさんは児童福祉法に基づいて一時保護されることになりました。
Aさんのお母さんのように生きづらさを抱えている方を対象に、法テラスでは、現在、ひとり親家庭等のためのワンストップ相談会を実施しています。
https://www.houterasu.or.jp/soshiki/97/hitorioyaonestop2024.html
もし、Aさんの母親が、法テラスのワンストップ相談会に来ていたら、どのような支援につながっていたでしょうか。
母親は、父親に対して養育費の請求をすることができました。
離婚に伴う財産分与を請求することもできました。
借金については、自己破産をすることで債務の免責を受けることができました。
収入の状況によっては、生活保護を申請することもできたでしょう。
法的支援で、困難を抱えた子どもと親の生活を支えることができます。
いただいたご寄付は、ひとり親を対象とした相談会のほか、困難を抱えたこどもと親に法的支援を届けるための活動等にも使わせていただきます。
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