シリアの人々に尊厳と自由を〜靴・カバン工房での雇用・産業創出に挑戦!~

寄付先

NPO法人 Stand with Syria Japan

Stand with Syria Japan

支援総額

5,237,352円

/ 4,500,000円

116%
100%
  • 支援総額

    5,237,352円

  • 支援者数

    375人

  • 残り

    終了

  • 開始日

    2024年2月5日

  • 終了日

    2024年4月30日

キャンペーンは終了しました

今回のプロジェクトの要点

1. 昨年大地震に見舞われたシリア北西部は、自由と尊厳を求め、アサド政権からの迫害から逃れた人々が住む地域で、震災復興の最中にも関わらず今も政府軍とロシア軍による殺戮に晒されています。

2. 私たちStand with Syria Japanはシリア北西部に現地スタッフを抱える日本唯一のNPO法人であり、支援活動の中で培った人脈と信頼を用いて、この今世紀最大の人道危機に対して震災支援・人道支援のみではない支援を展開していくべきであると考えています。

3. そこでシリア北西部で靴・カバン工房を立ち上げ、雇用と現地産業を創出しながらシリア北西部の経済的自立に貢献することで、虐殺と迫害を行う独裁政権に対して経済的な力で立ち向かう基盤となることを目指し、新プロジェクト「HIMAWARI」を立ち上げました。

ストーリー


作業中の靴・カバン工房の様子©Stand with Syria Japan

目次

1.はじめに
2.Stand with Syria Japanとは
3.SSJが行ってきたシリア現地支援
4.新プロジェクト「HIMAWARI」
5.資金の使い道
6.リターンについて
7.実施スケジュール

1.はじめに


皆さんは中東のシリアという国で何が起こっているかご存知ですか?

内戦が起きている?イスラム国が支配している?とにかく危険?

様々なイメージがあるかと思いますが、正確にはシリアは現在進行形で「今世紀最大の人道危機が起きている」場所です。

シリアは親の代から二代続くアサド大統領による恐怖政治・独裁政権によって長年支配されてきました。市民生活は秘密警察が常に監視し、人々は政治や自分の意見を自由にいう事は一切許されず、少しでも政権を批判するようなことを言えば秘密警察に捕まり、ひどい拷問を受けました。

しかし2011年、中東地域で独裁体制が次々に倒れた「アラブの春」に影響を受け、人々は勇敢にも路上に繰り出し、自由、平等、人間としての尊厳という、人としての最も基本的な権利の実現とアサド政権の退陣を求めて一切武力に訴えない平和的なデモを始めます。それは瞬く間にシリア全土に拡大し、市民は気持ちを一つに崇高な思いとともに広がったこの運動はシリア革命と呼ばれるようになりました。

しかし、アサド政権は残酷にも市民の平和的なデモに対して全く躊躇なく武力を行使し、力で弾圧していきました。シリアの同盟国であるロシアの力を借り、圧倒的な力で市民が住む都市に無差別爆撃を行い、シリア人権監視団によると2011年3月から現在までの間で60万人以上が死亡したと言われています。

人々の必死の抵抗も虚しく、一時全土に広がったシリア革命は各地で徹底的に弾圧され、自由を求めた人々はシリア北西部へと迫害されました。シリア北西部には現在400万人以上が住んでおり、そのほとんどは自由と人権を求めたがために弾圧の対象となり、政権の支配する地域で暮らすことが出来なくなった国内避難民です。

現在もアサド政権はシリア北西部を包囲し、国境封鎖などによって物資の移動を遮断し、ロシア軍と合同でこの市民に対する空爆を連日行っています。

国際支援が届かないシリア北西部

以下の図はシリアとトルコの国境付近をあらわす地図です。現在緑色の地域がアサド政権に反対する人々が住むシリア北西部の「非政権支配地域」、オレンジの部分が政権支配地域となっています。



Jusoor, "Map of foreign forces' point in Syria-mid 2022"

もう1つ以下のUNOCHA(国連の人道支援専門機関)が公表した図は昨年2023年2月6日に発生した非常に大きな地震の揺れの大きさ(地図のオレンジが濃い部分ほどが揺れが大きい)と、それに対する4月13日までに国際支援が行われた場所(青い丸が行われた場所、大きさはその支援の規模を表す)をプロットしたものです。上記の支配地域と見比べていただくと、非政権支配地域では被害の大きさにも関わらずほとんど国際支援が届いていないことがわかるかと思います。

UNOCHA, "Syrian Arab Republic: Earthquake Response Dashboard,6 Feb - 13 Apr 2023"

地震に対しての国際支援に限らず、シリア北西部には国際支援が届かない状況は続いてきました。アサド政権軍が包囲していることや、アサド政権の同盟国であるロシアが国連安保理で国連によるシリア北西部への支援を意図的に妨害しているためです。この状況は現在に至っても一切改善しておらず、地震の被害から生き延びた必死に生きる400万人以上の国内避難民の命は日々続く空爆に曝され、国際社会からも軽んじられているのが現状です。

2.Stand with Syria Japanとは

写真:Hadi Al Abdullah、SSJホームページより抜粋

Stand with Syria Japan(SSJ)はシリア危機の人道・人権分野を専門とし、シリア北西部に現地スタッフをもつ唯一の日本のNGOとして、設立以来、シリア危機に関するイベント・シンポジウムの開催を通じて、シリア現地で起こっている今世紀最悪の人道危機と言われるシリア危機のリアルを伝え続けてきました。

ヒューマニズム(人道主義=政治的な立場ではなく、人々の命と尊厳を第一におく主義)の観点から、様々な圧力にも屈せず残酷な殺戮行為をまっすぐに伝え続ける姿は、日本のみならず世界の著名なジャーナリスト、アクティビストにも評価され、全世界のシリア人コミュニティ及び市民組織からも信頼を置かれています。

また、SSJはその人道主義の観点を大切にしながら非政権支配地域であるシリア北西部、イドリブ県及びアレッポ県での現地支援にも現地スタッフとの連携を密に取りながら従事してきました。信頼の基に構築される現地シリア人とのネットワーク、そして志半ばで安全のために国外に逃れたシリア人とのネットワークを最大限活かし、常に最も抑圧された人々に対して支援を届けています。

3.SSJが行ってきたシリア現地支援

現在、SSJが行っているシリア北西部現地支援は大きく分けて二つ。一つ目はアレッポ県に位置する公立学校、ヤルムーク校の運営を通した教育支援です。2022年6月に開始された本事業では、現地自治体の財政難により、ほとんどの授業が停止され、廃校になりかけていた学校に対して、教師や用務員の給料、その他学校の運営に必要なすべての教材及び備品を補償することで学校運営を継続させ、シリア北西部の子どもたちが厳しい環境下でも未来に少しでも希望を持てるように教育機会を届けています。本事業により、現在216人の子どもたちに質の高い無償教育を届けることができています。

教育支援の様子©Stand with Syria Japan

二つ目は、2023年2月6日にトルコとシリアで発生した大地震における被災者支援です。SSJは地震発生当日から震災復興のための寄付キャンペーンを立ち上げ、シリア現地スタッフを持つ唯一の日本の団体として総力を上げて緊急人道支援を開始しました。

現地のニーズを速やかに調査し、迅速に食料、毛布、テント、トイレ・シャワー室の建設などの人道支援を行うと共に、トルコ・シリア地震の状況を日々アップデートしながら、なぜ北西部に支援が届かないのかについて日本の複数のメディアにて発信し、テレビ・新聞などの報道機関にも取り上げられました。

大地震緊急支援の様子(食料配布)©Stand with Syria Japan

大地震緊急支援の様子(テント・マットレス配布)©Stand with Syria Japan

約二カ月間、このような短期的な緊急支援を実施してきましたが、現地の人々のニーズに変化が見られるようになりました。徐々にまとまった支援物資などが入ってくるようになったことで、人々の関心は「生き延びること」から「生活に戻ること」になっており、特に大きな被害を受けた家屋への関心が高くなっていました。シリア北西部で活動する大きなNGOなどもこの住居再建・修繕を進めようとしていたため、SSJは大きな支援の枠組みから漏れてしまっているような困窮家庭を調査し、対象家庭の住居の修繕・再建事業を実施し、2024年2月現在で17件の再建事業を完了し、困窮家庭に安心して住むことができる住居を提供することができました。

住居再建事業の様子©Stand with Syria Japan

4.新プロジェクト「HIMAWARI」

©Stand with Syria Japan

ここまでで説明させて頂いた通り、私たちSSJの強みは、シリア北西部の現地での力強いネットワークと現地スタッフを持つことによる事業実施の迅速性と現地のニーズにこたえる適格性です。これらの強みを活かし、最も抑圧されてきたシリア北西部の人々のニーズに応える支援に従事し、現場からの厚い信頼を得てきました。

そんな強みを活かしながら、震災から1年を経過したタイミングで人々の関心も「生活すること」から「今まで以上の生活に戻ること」へと変わっていけるようにという長期的なビジョンを持って「HIMAWARI(ひまわり)」という名の新プロジェクトを開始することにしました。本事業は地震の被害とアサド政権からの迫害を受け続ける「今世紀最大の人道危機」の最中にあるシリア北西部の人々の経済的な自立を促し、大地震と度重なる空爆で疲弊した経済を立て直す、長期的で本質的な震災からの復興と人々の尊厳回復を目指す事業です。

プロジェクト名の「HIMAWARI」は現地スタッフが日本の支援を頂いている方がそばにいてくれる感じがするから日本らしい名前を付けたいとリクエストをもらい、日本側のスタッフの中で協議した結果、向日葵は常に太陽の方向、つまり正しい方向を向き続ける正義を象徴する花であることから「HIMAWARI」と名付けました。シリア北西部の人々に希望の光が届けられるようにという意味も含め、太陽のような花の名前にしています。

作業中の靴・カバン工房の様子 (2024年1月) ©Stand with Syria Japan

「HIMAWARI」では、靴やカバンなどを製造する革製品の作業工房を新たに立ち上げ、近隣店舗にて販売し、持続可能なビジネスを展開しながら人々の雇用を生み出し、産業を創造していくものです。SSJでは昨年の段階で、現地のネットワークを最大限活かして、町工場ほどのスペースを借り、革製品の加工、作成に必要な機材を揃え、現地で職に困っていた職人たちを雇用しました。既に工房では作業が開始されており、近くの店舗には出来上がった製品が並んでいます。

整備中の工房(2023年12月)©Stand with Syria Japan

機材の搬入(2023年12月)©Stand with Syria Japan

作業中の工房の様子(2024年1月)©Stand with Syria Japan

完成品が近隣の店舗で販売されている様子(2024年1月)©Stand with Syria Japan

工房で働いている現地シリア人の職人たちは高い技術を持っているのにも関わらず、支援に依存せざるを得ない封鎖された北西部の状況や、たび重なる空爆や昨年の地震などによって職を失っていたため、安定的な職に長年就くことが出来ませんでした。職人たちの中には家庭を持っている人々も多く、非常に生活は厳しく、辛いものでした。

そんな職人たちが、HIMAWARIプロジェクトには集まってくれており、現段階で14人の職人を雇用予定、今後段階的に拡大していく予定です。これと同時にHIMAWARIプロジェクト専門の店舗なども展開予定で、シリア北西部の方々に雇用と産業だけでなく、日常生活の中で利用できる身近な良いものを届けるのも役割の1つです。(シリア北西部では産業が育っておらず、日用品のほとんどがトルコ製、中国製の売り物にならないものが流入している状況です。)

完成品©Stand with Syria Japan

完成品©Stand with Syria Japan

専用店舗の新設(2024年2月)©Stand with Syria Japan

2011年に自由を求めて立ち上がったシリアの人々は、徹底的に弾圧されただけでなく、今まで大切にしてきた財産、積み上げてきたキャリアのすべてを奪われました。今国内避難民としてシリア北西部に住む人々は、もとから貧しかったわけでも、支援をもらうために生きているわけでも、国際社会からの哀れみを求めているのでもなく、1人1人に尊厳があり、自由と人権という人として当たり前の権利のために闘い続ける人々です。本事業は、そんなシリア北西部に安定的な職と産業を提供し、人間としての尊厳を支えること、そして経済的に自立していくことを目指しています。

作業中の靴・カバン工房の様子 (2024年1月) ©Stand with Syria Japan

こちらは現地マネージャーのスラージュが本事業で働く職人へインタビューをした際の動画です。ぜひご覧ください。
再生はこちら↓


シリア北西部は非政権支配地域として、自由を掲げ、アサド大統領による独裁体制に対する「抵抗」を続ける地域、すなわち崇高なシリア革命を象徴するような地域です。政権軍による市民に対する攻撃や経済的な封鎖は続きますが、そんな中でも人々は獲得した自由に対して誇りをもっています。

HIMAWARIプロジェクトはそんなシリア北西部発のプロジェクトとして、同地域の経済発展に貢献し、平和的な抵抗というシリア革命の火をともし続けることで独裁政権に対して平和的な手段で抵抗し、やがてシリアが解放され、民主的なシリアへと移行するための重要な布石となっていくことを願っています。

こちらは現地マネージャーのスラージュによる本事業の工房の紹介と事業が持つ意義についての解説です。ぜひご覧ください。
再生はこちら↓


5.資金の使い道

本クラウドファンディングで皆様から頂いた資金は、SSJが責任をもってシリア北西部で活動すシリア現地スタッフに送金し、靴・カバン工房の運営費に使用されます。現地の人々に雇用を提供し、彼らの生活を改善するための機会を創出します。現段階では以下のような内訳になっています。

合計目標額:4,500,000円
・店舗の家賃半年分:800,000円
・工房の設備購入費:1,400,000円
・製作のための素材費用:200,000円
・工房スタッフの人件費4か月分(14名分):1,600,000
・クラウドファンディング決済手数料:440,000円
・送金手数料:60,000円

※HIMAWARIは半年間の立ち上げ期間以後は現地での売上による自立型プロジェクトになることを目指しています。
※立ち上げ期間のうち初めの2ヵ月間の工房スタッフ給与はSSJが負担します。
※プロジェクトはAll in方式とさせていただくため、満額集まらなかった場合でもその分を現地にお送りさせていただきますが、300万円以下の場合には事業継続が非常に難しいと予想しています。

6.リターンについて

支援者の皆様全員に、プロジェクトの進捗状況を定期的に報告するレポートをお届けします。
また、ご支援いただいた金額に応じて、現地からのメッセージビデオ、商品のコンセプト/命名権などをリターンとしてお返しさせていただきます。

7.実施スケジュール

2023年12月:シリア北西部現地での工房の設立、必要な備品の搬入
2024年1月:製品の作成開始
2024年2月:継続した製作と本格的にシリア北西部の店舗で販売開始
2024年7月:半年間の立ち上げ期間が終了、現地の売上による自立期間に移行予定
2024年10月:売上による雇用数増加、販路拡大など再投資の計画立案と実行予定

8.最後に

我々SSJはシリアの人々の尊厳回復と雇用創出に情熱を持って取り組んでいます。ご支援いただければ、彼らの未来に希望をもたらすことができます。ぜひ、私たちのプロジェクトにご支援賜れれば幸いです。

NPO法人

Stand with Syria Japan

https://standwithsyriajp.com/

代表:山田一竹

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