【インターン第一号に聞く!🎤小田嶋祐希さん(元岩手大学)インタビュー💁♂️】
2023/6/27 07:04
これまで、4人の学生インターンをお迎えした大阪自然史センター。
インターン生第一号の小田嶋祐希(おだしま・ゆうき)さんに、当時のお話をお聞きしました。
小田嶋さんは岩手大学大学院を卒業後、鉄の街として有名な釜石市に移住。図書館の書庫や、博物館の収蔵庫に使われる什器を製作する会社で設計の仕事をされながら、週末は岩手や宮城の博物館に通う日々だそうです。
西澤:こんにちは。ご無沙汰してます。今日は岩手からですよね。
小田嶋:はい、今日は岩手から来ました。
西澤:インターンに来られたのはいつでしたっけ?
小田嶋:インターンに来たのは、えーっと、2014年ですね。
西澤:もう9年前!早いですね。3回生の時でしたっけ。
小田嶋:・・そう、大学の3年生※の時でした。
(※関西では大学○回生と言いますが、関東では○年生なんですよね。小田嶋さん、ちょっと考え込んで回答しています)
▲高槻市のあくあぴあ芥川で、展示の準備を手伝う小田嶋さん(2014年)
西澤:私たちも学生インターンを受けいれたのは初めてでした。なぜ大阪自然史センターに決められたのですか?
小田嶋:センターにインターンに来る前は、2012年から、西澤さんや自然史センターのやっていた「東北遠征団」※に、岩手側のメンバーとして一緒に活動していました。その中で、もっと自然史センターのことを知りたいなと思ってインターンに参加しました。
(※東日本大震災で被災した東北沿岸部の博物館を教育普及活動で支援する、西日本の博物館関係者の集まり)
▲子どもワークショップの作り方講座で受付をする(2014年)
西澤:一番印象的だった活動はなんでしたか?
小田嶋:一番印象的だったインターンは、ミュージアムショップの接客の経験です。
西澤:おー、ショップですか。どんなところが?
小田嶋:ショップで売ってるグッズは自分が好きなものもたくさんあるし、お客さんと話をする中で、そのグッズのことでいろいろ話が盛り上がったりしました。「グッズを通して自然の魅力を伝えていく」という生の体験ができたのは、すごく新鮮でした。
西澤:ありがとうございます!まだ2014年というと、世の中でそんなにミュージアムグッズが取り上げられてもいない頃かなと思うんですが、その頃からそんな風に感じていただいて嬉しいです。
▲ミュージアムショップで缶バッジを作る(2014年)
西澤:今、小田嶋さんは何をされているんですか?
小田嶋:住んでいるのは同じ岩手です。沿岸に移り住んで、博物館とか図書館とかの倉庫に入れるスチールのラックを作る工場で、設計の仕事をしています。
西澤:教育普及の方でなくて、什器を作る方に行かれたんですね!
小田嶋:はい、什器を作る方面で博物館と関わる仕事をしています。
西澤:今でも岩手で関わっている博物館はありますか?
小田嶋:県内だと、山田町にある鯨と海の科学館にお手伝いに行っています。
▲再建された鯨と海の科学館(岩手県下閉伊郡山田町)。二階まで津波が来たことが記されている
▲念願の再開時には、小田嶋さんたちと共同でお祝いイベントを実施(2017年8月6日)
西澤:(私たちの)ワークショップでも行ったところですね。
小田嶋:はい。他にも、南三陸町でも定期的にワークショップやったりもしていますし、月一回、奥州市牛の博物館でやっている、動物の標本を作る「練習会」という会に参加し、日々動物の標本を増やしています。
西澤:活動されていますね!大阪でやっていたことを、東北のいろんなところを飛び回りながら続けていらっしゃるという感じですね。
小田嶋:そうですね。インターンでの経験を、今でもいろんなところで発揮できているなと思います。
西澤:これから、インターン生を定期的に自然史センターでも受け入れていきたいなと思っているんですけれども、こういうところを学んだらいいよ、というようなポイントはありますか?
小田嶋:自然史センターはワークショップなどいろいろな活動が魅力的なんですけれども、その魅力的な活動を生み出す「根っこ」というか、どんな会話とか、材料をもとに作っていくのかという、そのプロセスをいっぱい学んでほしいと思います。
西澤:ありがとうございます!では今日も博物館、楽しんでください。
▲大阪に来て一番衝撃だった食べ物「紅生姜の天ぷら」。滞在中に何度か買って食べたとか😀
インタビューを終えて
小田嶋さんとの出会いは、2012年12月の陸前高田市でした。小田嶋さんは岩手県立博物館で、陸前高田市立博物館の被災標本のクリーニング作業に関わっており、その中で学芸員さんから、陸前高田で行われる私たちの出張子どもワークショップの活動を紹介され、学生スタッフとして参加してくれたのです。大学1年生の時でした。
岩手大学で野生動物の骨格標本作りなどに取り組む「自然史探偵団」というサークルを立ち上げられていた小田嶋さんは、以前から書籍などを通して大阪市立自然史博物館の活動に興味を持っており、震災をきっかけにその縁がつながることになります。
2012年以降、小田嶋さんは現地側の学生の取りまとめ役となって、東北での活動時の強力なパートナーとなってくれました。学内の助成金を獲得し、兵庫県立人と自然の博物館の三橋弘宗学芸員を招いてプラスティネーション標本作成講座を開催、独自の子どもワークショッププログラム「海藻ランタン」「海藻ハーバリウム」なども開発し、盛岡市の子ども科学館、大船渡市立博物館、山田町でも実施し大活躍でした。
▲開発した海藻のワークショップを実施する(2015年1月18日,大船渡市立博物館)
自然史センターの活動は、様々な人材との出会いによって支えられていますが、もし岩手県で小田嶋さんたちと出会えなかったら、東北での活動はここまで続いていなかったでしょう。感謝してもしきれません。
インターンシップ終了後には「認定NPO法人大阪自然史センターの運営理念とその実践」として、インターンの目的と成果を学内で報告されています。インターンシップの動機は、自然史センターの活動が魅力的で全国的に珍しく、なぜこのような活動を生み出せるのか疑問を持っており、インターンシップを通してセンターの内部を体験することでこの疑問を解決したかったこと。インターン経験後に得られた答えとして、1つは自然史センターの人脈と施設のネットワークが活動を支えていること、もう1つは「自由とその保障」があること、を挙げています。
東北の活動を通して、そしてインターンを通して、自然史センターの「魅力的な活動の根っこ」を吸収し、岩手に持ち帰られた小田嶋さん。
また近い将来、きっと何か一緒に活動ができることでしょう。
これからもお元気でご活躍ください。ありがとうございました! (西澤)
■インタビューに登場した博物館(どこもおすすめです)
岩手県立博物館 https://www2.pref.iwate.jp/~hp0910/
陸前高田市立博物館 https://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/soshiki/kanrika/hakubutsukan/index.html
鯨と海の科学館 https://yamada-kujirakan.jp/
南三陸ネイチャーセンター 友の会 https://m-inuwashi.jp/
奥州市牛の博物館 https://www.city.oshu.iwate.jp/htm/ushi/
あくあぴあ芥川 https://www.city.takatsuki.osaka.jp/soshiki/66/4906.html
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