私たちインターバンドは1992年の創設以来、30年にわたって紛争の予防・解決を目的に活動してきました。
紛争の解決においては、実際に紛争地・紛争の可能性のある国のさまざまな人々の声に耳を傾け、報道だけではわからない紛争の実態や根本原因を分析することが必要です。
その上で、紛争地域で活動するNGOや多様な関連機関と協力して紛争の解決を目指しています。また、国際社会に早期警報を発することで紛争の予防に取り組んでいきます。
今回、若者たちが世界の平和構築のために行動し、成長する「拠点」として、インターバンドがアップグレードすることを応援していただけるマンスリーサポーターを募集いたします!
【募集概要】
◆主催:NPO法人インターバンド
◆期間:2022年11月21日(月)〜12月28日(水)
◆初回目標人数:50名
◆最終目標人数:100名
◆寄付金の使途:情報発信や活動のための拠点の整備と紛争地域のファクトファインディングとそれを踏まえた初動支援の資等
ストーリー
紛争解決・平和構築のために行動する小集団「バンド」のつながり = インターバンド
世界では毎日、目を覆いたくなるような紛争が起こっています。
ひとたび紛争が起こってしまうと、その国の社会経済、そして人々の心は取り返しのつかないダメージを受けてしまう。起こってしまった紛争を解決するために、紛争の根源(Root Causes)に目を向けなければならないと考えます。
そして私たちは、紛争のような複雑に絡み合った問題を解決するために、まず覚醒した個人が立ち上がらなければならないと考えました。現状を変える意志を持ち、行動する人々の主体的な小集団、それが「バンド」です。
さらに様々な国や地域の紛争、暴力について考え、行動しようとする人々が次々と「バンド」を作りだす。そんな「バンド」たちの繋がりが大きなうねりを起こしていく———
私たちはそのような意味を「インターバンド」という名前に込めています。
そして私たちインターバンドは、紛争を未然に防いだり、紛争後の社会に平和が定着するように、設立から30年にわたり、紛争地域のファクト・ファインディング(実態把握)を行い、アジア諸国の民主化支援活動や除隊兵士の社会復帰、人道支援や平和教育を行ってきました。
紛争地域の知識や経験が豊富なエキスパートたちと、紛争解決のために行動する若者たちのプラットフォームへ
インターバンドには、紛争地域や開発途上国での活動経験や知見を持つエキスパートたちがいます。国連平和維持活動(PKO)や国連機関、開発援助機関、国際NGOなどで、紛争解決や平和構築に取り組んできました。
そして、紛争解決に情熱を持つ学生スタッフたちがいます。若者たちはその行動力や発信力を最大限に発揮しています。そして何より、学生たちの政治的・経済的利害に左右されない「中立性」や、それゆえに様々な階層の人たちと出会い、つなぎ合わせる「つなぎ力」もまた、紛争問題に関わる上で大きな強みです。
このように経験豊富なエキスパートと行動する若者たちが力を合わせていくプラットフォームがインターバンドです。
インターバンドの活動の基礎にあるもの
①紛争地域のファクト・ファインディング(紛争の根本原因と実態の把握)
インターバンドは自ら紛争地域や紛争の影響を受けた国々に足を運び、紛争当事者から一般住民まで幅広くその声を聴き、その紛争の実態把握を行い、紛争の「根本原因(Root Causes)」を探る「ファクト・ファインディング」を活動の基礎としています。
そのうえで、現地で出会ったパートナーたちと解決のプロジェクトを計画したり、日本社会にその紛争問題について発信したり、政府に提言を行ってきました。
実際に現地に足を運び、自ら調査を行うことで、より現地のニーズに沿った次なるアクション、プロジェクトの立案を行うことができるのです。現地でのパートナー団体からは、現地の状況報告や、プロジェクトの進行状況をリアルタイムで受け、現地との連携を図っています。どんな支援が必要なのか、私たちは次にどんなアクションを起こすべきかを考え、プロジェクトの立案をしています。また、現地から届いた情報や、写真はインターバンドのHPや活動報告記事などで紹介し、発信しています。それによって、国際社会へ警鐘を鳴らすことを目指しています。
②ファクト・ファインディングにもとづいた平和への支援
紛争現場の実態把握によって明らかになった紛争地域の抱える問題について、緊急的または中長期的な支援を行ってきました。
以前の取り組み―紛争地域でのファクト・ファインディングを行い、民主主義の定着や、見過ごされる紛争被害者への支援を行ってきました。
●アジア諸国の紛争後の民主化の過程で選挙監視活動を行い、選挙の不正の調査や民主主義の定着を支援。
●カンボジア和平後も内戦下で負傷して障害を負った除隊兵士の社会復帰支援。
●インドネシア・アチェでは2004年のスマトラ津波被害の被災地での被災者支援と独立運動指導者との協議を行う。のちにアチェではアハティサーリ調停による和平合意が成立。
最近の取り組み―クーデター後のミャンマーの国内避難民への支援や、カンボジアの平和の定着のための教育支援を行っています。
●2021年2月のミャンマーのクーデター以後、国軍の攻撃で住むところを追われた人たちが数多くいます。しかし時間の経過とともに国内メディアによる報道が減り、人々の関心が薄れつつあります。それでもいまだに人々は傷つき、苦しい避難生活を送っているのです。
●カンボジアの非常に貧しい地域では、農作業の手伝いなどの理由で学校の授業を受けられない子どもたちが多くいます。貧しい家庭では、教育を受けることよりも、今を生き抜くための稼ぎが必要と考えられており、子どもたちに学校よりも家業を優先させることも少なくありません。私たちは、そういった子どもたちに教育を受ける機会を提供するための補習授業を支援しています。
③紛争地での支援活動の経験を外交政策に繁栄
このような紛争地の実態把握や、それを踏まえて現地パートナーらと行う支援活動を通して得た知見をもとに、私たちは国会議員に働きかけ、国会質疑の中で紛争地の現実を伝えてもらい、日本としても各地の紛争解決のために行動するようにうったえています。
世界の国々では若者たちが自国の政府にうったえ、世界の紛争解決や貧困問題、環境問題などへの行動をうったえています。インターバンドもまた、現場の声を外交政策に届けていきます。
インターバンドの最近のアクション
①「学生始動!ミャンマーの山中で避難生活を送るカレン族を私たちは忘れていない。」―ミャンマーの少数民族への人道支援
2021年2月、ミャンマー国軍によるクーデターののち、空爆被害を受けたミャンマーの少数民族であるカレン族は、山中での避難生活を強いられました。彼らは食料不足、そしてコロナ禍でありながら十分な医療体制が整わない状況下で身の危険に怯えながら、外からの支援に頼って生活していました。
私たちは、カレン族の避難生活を支援するため、同年10月より1ヶ月間のクラウドファンディングを行いました。期間中には、SNSによる広報活動や現地情報の配信、オンライントークイベントを開催し、187名の方から1,249,500円のご支援をいただきました。これらの寄付金は、タイのパートナー団体とミャンマー住民組織の協力を得て、1508世帯の6755人の避難民の方々に、食料品や衣料品、農作業用品を届けることができました。現在、彼らは、支援で送った農機具や灌漑設備を使って、食糧の自給に取り組んでいます。
②「カンボジアで平和教育の教材開発と貧しい子どもの教育支援を!」―中田厚仁さんのカンボジアの平和への思いを受け継いで
国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)でボランティアとして活動していた中田厚仁さんは、1993年4月に、カンボジア・コンポントム州で銃撃を受けてなくなりました。その地に人々が集まって「アツ村」という一つの村ができ、そこに設立された学校は「中田厚仁学校(アツスクール)」と名付けられました。この地域は非常に貧しく、学校に通えなくなる子どもたちのために補習授業が行われています。
私たちは、国連ボランティアとしての研修中、中田さんのルームメイトとして過ごしたインターバンド理事の阪口直人を中心に、補習授業を支援するためのクラウドファンディングを行いました。アツ学校に訪問したことのある、俳優・瀬戸康史さんのご協力もあり、81名の方から、目標金額を大きく上回る1,419,000円のご支援をいただきました。本プロジェクトでは、約50名の生徒たちの補習授業支援のほか、新たな平和教育教材を開発してきました。今後は、この教材をもとに、カンボジアや日本国内での平和教育授業の実施を計画しています。
③ミャンマー問題を考えるオンライン国際学生会議の開催
2021年2月以降、ミャンマー国軍による空爆から逃れるため、国内雛民の数は増え続けています。現在、ミャンマー国内には130万人を超える避難民がいると推定されており、負傷者や死者も出ています。そこで、2022年3月に多様なバックグラウンドを持つ学生にこのような現状を知ってもらうと同時に、多様な価値観を共有しながら議論を行うことを目的とした国際学生会議をオンライン開催いたしました。
これはインターバンドの学生スタッフの発案と企画運営により行われました。
イベントでは、専門家をゲストとしてお迎えし、ミャンマーの経済制裁と雇用という観点からお話しいただきました。それを踏まえ、日本やミャンマー以外にもアジア、アフリカ、ヨーロッパの約20人の学生たちが、グループごとにミャンマー問題に関するプレゼンテーションを行い、様々なテーマで建設的な議論を行いました。
④ミャンマーの平和のための国会議員、駐日大使館への働きかけ
インターバンドは市民社会の一員として、ミャンマーの紛争の早期解決のために、国会議員や外務省への提言書の提出をおこないました。また駐日ノルウェー大使館、チェコ大使館を訪問して提言書の提出や意見交換を行ってきました。
⑤外交・安全保障に関する国会質疑への提案
紛争の平和的解決のためには、国家の外交的な取り組みも重要です。インターバンドは、紛争地での実態把握や現地支援プロジェクトによって得られた「生」の情報をもとに、国会議員に働きかけて、紛争解決のための外交のアイデアや紛争地の人々の声を国会に届けるように取り組んでいます。
現在はクーデター後の人道危機が続くミャンマーについて、クロスボーダー支援(隣接国から支援物資を国境を越えて送る支援)を強化するように働きかけています。
今後も、ほかの地域の紛争問題の解決に貢献できるように、外交防衛の問題に働きかけていきます。
インターバンドから平和構築のプロフェッショナルへ
インターバンドは1992年の創設から30年が経ちました。
この30年間のインターバンドの活動参加経験者には、その後も平和構築に関係する活動の道に進んだ人が数多くいます。インターバンドでの学びと実践の経験、そして刺激をしあう仲間たちとの出会いで、その後のキャリアへとつなげています。
国連機関へ
国連本部政治局
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)スーダン・ダルフール
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)イスラエル
国際移住機関(IOM)駐日事務所
国連東ティモール支援ミッション(UNAMET)
国連シエラレオネ支援ミッション(UNAMSIL) など
中央省庁・政府関係機関
外務省、防衛省、内閣府、国際協力機構(JICA)など
大学等での平和構築研究の道へ
早稲田大学、千葉大学、東洋英和女学院大学、立教大学、東海大学、東京外国語大学、大阪大学、桃山学院大学、岡山大学 など
その他、青年海外協力隊員派遣や、開発コンサルタント会社勤務、平和構築支援NGO立ち上げなど平和構築、国際開発協力のフィールドで活躍する人たちが、インターバンドから世界へと広がっていきました。
マンスリーサポーター募集
エキスパートと若者がタッグを組んで紛争解決のために行動するプラットフォームづくりを実現したい
このようなミャンマー、そしてカンボジアでの活動を経て、紛争地域の知見を持つエキスパートと、紛争地域のために行動をしていこうという若者たちの「化学反応」による紛争解決のアクションがだんだんと形になってきました。
そしてこれから、その他の国にも散らばる仲間たちが紛争の影響を受けた地域でファクトファインディングを行い、そこで明らかになった課題について緊急な支援を行ったり、その紛争の影響を受けた人たちの状況を、社会や政策に対して迅速に発信するシステムをつくっていきたいと考えています。
そのようなプラットフォームになる活動拠点をつくるために、今回マンスリーサポーターを募集することといたしました。
皆様にサポートいただきながら大きく3つのことを実施していきたいと考えています。
①「バンド」の活動拠点としての本部オフィス機能の整備
現在、インターバンドでは、国際的な活動経験を持つ理事と、国内外にいる約15名の学生スタッフが中心となって、主にオンラインで活動しています。活動していく上での拠点となる東京の本部オフィスの環境を整備することで、これからも拡大していく「バンド」のメンバーたちが活動しやすい環境を整えたいと考えております。
具体的には①ミーティング・スペースやコワーキング・スペース拡充、②インターネット環境の整備、③情報発信のためのスタジオ整備、④地方や海外のメンバーが一時的に滞在できる宿泊スペースの整備を考えています。
これまでの活動や、調査してきた情報を生かし、新たなイベントの企画・開催や、社会に向けた啓発活動を活性化するため、拠点となる本部オフィスの環境整備を行います。
日本国内や世界各国にいる「バンド」の仲間たちもオンラインによってリアルタイムで情報共有を行えるようにします。
志ある人たちが行き交い、刺激を与えあう場を構築していきたいと思います。
②新たな挑戦:ファクトファインダーの拡充と諸同期の迅速な支援
インターバンドには、海外に留学中の学生インターンが多数在籍しており、現在もオンラインでミーティングや情報交換をしています。
この枠組みを拡充して、インターバンドは海外在住の仲間たちにファクトファインディングのトレーニングを行い、世界各地に散らばる「ファクトファインダー」が紛争の実態把握を行います。
これにより、インターバンドは世界で起きている問題をよりタイムリーに調査し、事態に迅速に対応ができるようにしていきます。また、当該地域とのコネクションを築き、新たなバンドを形成することができます。これからも世界各地の若者たちにこの活動に参画してもらいたいと思っています。
③社会や政策への発信
紛争地の現状やその問題に関連する諸外国、諸機関の動きを知ることは、紛争解決・平和構築にとって、とても重要な意味を持ちます。紛争地でおこる問題を解決をするためには、私たちの直接的な活動だけでなく、多くの人々が関心・問題意識を持つことや、「紛争の現場」の実情を外交政策につなげていくことが大切だと考えます。
私たちは、これまでSNSやYouTubeなどで活動報告や現地の現状を発信してきました。今後、より多くの人々に関心を持っていただくため、情報発信のシステムを整備して情報発信をしていきたいと考えています。
あわせて、国会議員を通じた外交政策への働きかけも強化していきたいと思います。
これからの活動ビジョン
世界中で起こる事態に対し、早急に効果的なアクションを起こせるようにしていきたいと考えています。また、海外に在学中の学生インターンを現地調査に派遣し、新たなバンドの構築を目指し、これからも活動して参ります。
代表メッセージ
■活動への想いと今回のキャンペーンに向けてのメッセージ
インターンバンドの活動の単位「バンド」には、多くの若者たちが集い、活動をしています。そのような中、わたしは若者たち―特に大学生―には、紛争解決・平和構築というフェーズにおいて、ある種の「優位性」があると思うようになりました。
それは「中立性」と「つなぎ力」です。
政治的、経済的利害にからめとられていない若者たちは、様々な利害が錯綜する状況下でも比較的中立的な存在とみなされうる立場で、行動や発言の自由度は高いといえます。
そしてそれゆえに、紛争によって避難生活を送っている人々から、一国の政治家まで、様々な階層の人たちとコンタクトを得やすいという存在でもあります。そしてそのような人々を結び付ける「触媒」のような役割を担えると、わたしは考えています。
それは紛争解決・平和構築という利害の思惑が錯綜する中で、とても「有利」な存在だと考えます。
若者はとかく無知、無力、無関心などといわれることもあります。
インターバンドの門をたたく若者たちもとくべつな人というわけでもありません。漠然と「平和構築」というものに興味をもってインターンスタッフに応募する学生もいます。
しかしわたしは学生インターンたちに対して、自分の「任務」と「責任」を持たせています。そうすることで、若者が能力を開花させていくのを目の当たりにし、平和構築への志を強めていくのを見てきました。
だから若者たちが「無知で、無力で、無関心」と思われがちなのだとしたら、それは大人たちが、先達が、若者の意思と能力と志を引き出せないせいなのだと思います。
江戸時代末期の日本で、若者たちが師とともに学びと実践と志をはぐくむ拠点である「松下村塾」という私塾がありました。そこからそののちの日本を築いていく人々が巣立っていきました。それから160年以上を経た今、インターバンドもまた、経験豊富な先達と、平和構築への情熱を持つ若者たちが、ともに考え、行動を起こす「学びと実践の場」になっています。
今回のマンスリーサポートで実現したい「拠点整備」は、「バンド」の若者たちが紛争解決・平和構築のために行動し、成長していくための「ステージ」をつくることです。そして紛争地域や開発途上国での活動や知見が豊富なエキスパートとともに、「学びと実践」、「知と現場」によって平和を創るプラットフォームとしてのインターバンドへと発展していきたいと思います。
ご寄付をいただいた皆様へ
毎月500円からの月額寄付で継続的に活動を支えてくださる「マンスリーサポーター」を募集します。
サポーターの皆様へは、活動の様子を随時報告していきますので、ぜひ楽しみにしていてください。価格別に特典や招待などもご用意しております。
何卒応援のほどよろしくお願いいたします。