オープニングは獄中のパナヒ監督の最新作 ラインナップ会見詳細リポート(2)
2022/10/8 11:25
昨日に続き、ラインナップ会見詳細リポート(2)をお届けします。
特別招待作品は例年よりやや少ない4作品を上映します。
オープニングを飾るのは、イランの名匠ジャファル・パナヒ監督のヴェネツィア国際映画祭審査員特別賞受賞作「ノー・ベアーズ」。パナヒ監督は今年7月、拘束された映画監督仲間の様子を案じて検察局を訪れた際に逮捕され、今も拘留状態に置かれています。一日も早い解放を祈りつつ、厳しい活動規制では縛ることができないイマジネーションあふれる本作をぜひスクリーンでご覧いただければと思います。
クロージング作品は、審査委員長のリティ・パン監督のベルリン映画祭銀熊賞受賞作「すべては大丈夫」。ほかに、中国のワン・シャオシュアイ監督がコロナ禍のタイ・チェンマイで撮影した「ホテル」、ベルリン映画祭で最優秀助演賞を受賞したカミラ・アンディニ監督の「ナナ」を上映します。
ツァイ・ミンリャン3作品をうち2作品を35mmフィルム上映
昨年から始まった日本映画部門「メイド・イン・ジャパン」では2作品をワールドプレミア上映します。高橋泉監督の「彼女はなぜ、猿を逃がしたか」は、映像制作ユニット「群青いろ」の最新作。太田達成監督の「石がある」は、「ブンデスリーガ」でぴあフィルムフェステバル アワード 2017に 入選した監督の第2作。いずれも独特の語り口と意表を突く展開で観客を未知の映画体験に誘う必見作です。
また、台湾の巨匠ツァイ・ミンリャン監督の長編監督デビュー30周年記念特集を台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター、東京国際映画祭との共催で開催します。フィルメックスの上映作は「ヴィザージュ」(2008年)、「ふたつの時、ふたりの時間」(2001年)、「西瓜」(2005年)の3作品。「ふたつの時、ふたりの時間」と「西瓜」は35 mmフィルムによる上映で、いずれもツァイ監督や俳優のリー・カンションさんとのQ&Aを予定しています。
上映と並行して、アジア映画の次世代を担う人材育成プロジェクト「タレンツ・トーキョー」も、10/31から6日間にわたって3年ぶりの対面形式で開催。初年度の修了生でもある「イロイロ ぬくもりの記憶」のアンソニー・チェン監督らが講師を務めます。恒例企画となったNPO法人「独立映画鍋」との共催シンポジウムでも「映画の人材育成プログラム」をテーマに討論する予定です。(つづく)。
(文・深津純子)
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