コンペ作品監督も登場 ラインナップ会見詳細リポート(1)
2022/10/7 18:15
第23回東京フィルメックスのラインナップ発表会見が10/4にオンラインで開催されました。現状で開催が決定している10/29(土)~11/5(土)の8日間に東京・有楽町朝日ホールで開催される映画祭の概要を事務局スタッフがご紹介し、コンペティション部門の2作品の監督にもゲストでご参加いただきました。
■世界が注目する新鋭作品が結集
アジアの新鋭監督が競うコンペティション部門では9作品を上映します。カンヌ、ヴェネツィア、釜山など海外の主要映画祭の受賞作をはじめ、フレッシュで力強い作品が集まりました。
日本が製作国となる映画も2作品が登場します。ひとつはヴェネツィア映画祭ベニスデイズ部門でワールドプレミアされた「石門」。中国を拠点に映画製作を続けるホワン・ジー&大塚竜治夫妻の共同監督作品で、望まぬ妊娠をした女子学生を通して中国社会の現実を多層的に描いた意欲作です。もうひとつは、工藤将亮監督の「遠いところ」。沖縄の夜の街で働く若い母親の葛藤をつぶさに追ったパワフルな劇映画で、7月にチェコのカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭コンペティション部門でワールドプレミアされました。
映画祭でしか見られない「R18+」バージョン
会見には、両作の監督もゲスト参加し、映画祭への思いを語って下さいました。
フィルメックス初登場となるホアン・ジー監督は「この作品は、夫と作ってきた3部作の3作目です。日本人と中国人の夫婦がどのようにして映画を作ったかを見ていただき、感想をお聞きできればと思います。私たちの作品の特徴は現実を見つめるところにあるので、厳しい批判でも温かい声でも、観客の皆さんの現実的な反応をぜひ知りたいです」
パートナーの大塚監督は「フィルメックスは、本数は少ないけれど厳選されたアートフィルムが上映される場なので、ぴりっと引き締まるような思いで上映を迎えることになりそうです。コロナ禍を経てみんなの映画の見方が変わってきているのかなと肌で感じていたので、その点でも日本の皆さんがこの映画をどう感じていただけるかを知りたいです」と期待を込めました。
一方、工藤監督は「ツァイ・ミンリャン監督やジャ・ジャンク―監督のファンだったので、フィルメックスはずっとあこがれ、追いかけてきた映画祭でした。今回のラインナップもすごくレベルが高く、それらの映画と一緒に自作を日本初上映できることを誇りに思います」。実は、フィルメックスで上映予定の”映画祭バージョン”は、映倫の規定で「R18+」(18歳未満鑑賞禁止)に指定される内容。劇場公開は「PG12」になる別バージョンを用意する予定だそうです。「映画祭バージョンでの上映は今回が最後になるかも。僕が意図したバージョンが、フィルメックスの観客にどのように届くのか、すごく楽しみです」
コンペティション部門の審査員は、委員長がカンボジアのリティ・パン監督、ほかに香港出身の映画祭プログラマーのキキ・ファンさん、韓国のキム・ヒジョン監督。授賞式は11/5(土)に予定しています。 (つづく)。
(文・深津純子)
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