ストーリー
ミャンマー代表・柴田です。私の大好きな国・ミャンマー・チン州に学校を建てるためのバースデードネーションも、佳境を迎えてきました。25日のクリスマスには、私の誕生日を迎えます。改めて、私がミャンマー人のために仕事をさせていただく想いについて、皆さんにお伝えできたらと思います。
私が国際協力の道を最初に目指したのは、中学生の時に観たアフリカの飢餓番組がきっかけでした。お腹を空かせて苦しむ子どもたち。その番組を観て、「食糧生産というのは何と大事なことなんだろう。いつかは農業に関わる国際協力活動がしたい」と思いました。そして、大学の進路として選んだのが農学部。1年の会社勤め後に就職したNGOから派遣された国が、ミャンマーでした。文字通り24時間、ミャンマー人たちと寝食をともにしながら農作業にいそしむ日々。ミャンマー人の夫との結婚、出産を経て、また今は地球市民の会スタッフとしてミャンマーに関わり続ける背景にあるのは、やはりミャンマー人の優しさであり、「地域を良くしたい」という多くの人の思いに共感するからだと思います。
国際協力の仕事をする上で、一回り下の世代に意気込みを聞くと、「〇〇をやってあげたい」という、ともすると上から目線のような回答に多く出合います。実際、私自身もそうでした。先進国が途上国に支援するという形がいわゆる国際協力なのだと。
しかし、実際フィールドで仕事をしてみて出会ったのは、尊敬できるミャンマーの方々でした。自分の地域を発展させようと私財をなげうち奮闘する人々でした。ある地域では、村から遠く高校に通えない子どもたちのために地域でお金を集めて寮を建てました。ある村では、貧しくて緊急時に病院に行けない人のために、自分の車を救急車として提供する人もいました。資産を持つ人だけではありません。村の開発を担う「村落開発委員会」や、学校の運営に関する「学校教育委員会」など地域の発展のためにボランティアで委員会役員を引き受け、時には少ない収入の中から学校へ基金を出し、お金を持たない人は労働力として加勢する。そのような尊敬できるたくさんの人たちと一緒に汗を流すことで、自分はどうしてこの仕事をしているのか、自分はどうやって生きていくのかという問いを、もう一度自分に問いかけるきっかけとなりました。
「みんながお腹いっぱい食べられる環境をつくれる人を育てたい」。新事業地・チン州でともに働く予定のチン州出身、ウーザベッタンさんは、求める農村リーダー像をそう語りました。ひえやあわなどを中心とした農業が続くチン州の農村部では、栄養失調の子も多いと聞きます。今まで活動してきたシャン州では聞かれなかったほどの現状を、視察では目の当たりにしました。そのような状況で、教育にお金を回すことを期待はできません。私の誕生日祝いの代わりに、ぜひご支援をお願いできたらと考えています。
お腹を空かせた子どもたちを見て、志した国際協力の道。私達の活動も今、転換期を迎えています。これまでミャンマー各地域で行った活動は“点”でしたが、持続的な活動が重なれば“面”になり、活動の広がりになると信じています。そして大切なのは、活動が地域に根付くこと。自分の地域の問題として、地元の人が積極的に取り組めること。「もう日本人は帰ってもいいよ。自分たちでできるから」。そう言われる日を目指して、これからも活動を続けていこうと思います。
(地球市民の会は、国税庁から認定された認定NPO法人です。皆さまからいただいたご寄付は税額控除の対象となります。詳しくはhttp://terrapeople.or.jp/main/73.html)