コロナ禍で全国に渡った「地方創生臨時交付金」が、無駄遣いの温床になっていました。自治体は活性化の処方箋を持たないまま、税金を浪費しています。さらに取材を進めると、2014年以来の地方創生が政権の維持や、大企業の利権獲得に利用されている構図が見えてきました。この間、東京への一極集中と地方の衰退は続いています。費やした交付金の原資は私たちの血税です。この責任は、一体誰がとるのでしょうか。シリーズを通して、地方創生の虚構を暴きます。
ストーリー
■ 約6万5000事業をチェック
Tansaは、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」で計画された約6万5000事業をデータベース化。その内容を精査したところ、コロナに乗じた無駄遣いが全国で横行していたことがわかりました。交付金の特徴は、使い道が自由なことです。各自治体は、自分たちで使い道の計画を立てます。政策の指揮をとる内閣府は、この自由度を大々的にアピールしました。その言葉通り、国は使い道を検証しないまま補正予算や閣議決定で合計8回予算を積み増しています。合計額はコロナ関連予算でもっとも多い15兆1760億円に上りました。
しかし蓋を開けてみると、交付金の使い道は着ぐるみづくりや現金ばらまき、婚活支援や五輪聖火リレーなど、「なんでもあり」の様相を呈していました。Tansaはデータベースを使い、納税者の視点で無駄遣いワースト100事業を選び、報じています。
初回記事:https://tansajp.org/investigativejournal/8697/
■ 地方創生の虚構を暴きます
地方創生は2014年に安倍政権下で「まち・ひと・しごと創生法」が成立し、スタートしました。目的は人口減少を食い止め、地方を活性化することです。ところがこの間、東京への一極集中と地方の衰退は続いています。
取材を進めると、地方創生が政権の維持や、大企業の利権獲得に利用されている構図が見えてきました。多額の税金をつぎ込んだ責任は、一体誰がとるのでしょうか。シリーズでの連載を通して、地方創生という名のもとに行われてきた虚構を暴いていきます。
■みなさんに代わって取材します
昨年夏から着手している今回のシリーズの原点は、「納税者の視点に立つ」ことでした。なぜなら地方創生に使われる多額の交付金の原資は、私たちの血税だからです。
地方創生臨時交付金をとり仕切る内閣府は、1億円の予算を使い、大手シンクタンクに自治体の事業の検証を依頼しています。しかしまだ検証結果は出ていません。
Tansaのリポーターはみなさんに代わって各地の現場を歩き、膨大なデータを集めて緻密な取材を積み重ねていきます。
本テーマに関心を持ち、応援してくださる市民の方からのサポートにより、取材を継続することができます。どうかご支援のほどよろしくお願いいたします。
■ Tansaについて
Tansaは探査報道に特化したジャーナリズム組織です。「探査報道」とは、暴露しなければ永遠に伏せられる事実を、独自取材で掘り起こし報じることです。これまでは「調査報道」と呼ばれてきましたが、単なる調査ではなく、より深く取材するという意味を込め探査報道という言葉を使っています。英語では「捜査」の意味合いがある「investigation」という言葉を用い「investigative report」と言っています。
暴露するのは、政府や企業、犯罪集団組織などが隠蔽する不正です。テーマは、大きな力に虐げられている人々のために、何を変えたらいいかという視点で選びます。犠牲や被害の原因となる権力の不正を終わらせ、新たな被害の発生を防ぐため、着手したら事態が変わるまで報道を続けていきます。
Tansaでは、あらゆる権力から独立した立場を守るために、企業からの広告料を受け付けていません。また、経済状況に関わらず誰でも探査報道にアクセスできる社会をめざし、読者から購読料もとっていません。
Tansaの主な収入源は、①個人からの寄付、②財団などからの助成金、③探査報道ジャーナリスト養成学校「Tansa School」の受講料です。しかし、それぞれまだ脆弱です。