作家 岸田奈美さんからの応援メッセージ
2021/11/4 14:30
一年前は、家族との思い出や、強烈だった過去を、エッセイとして伝えることが多かったです。「いい言葉は、いい場所にいる、いい人のもとへ連れていってくれる」と信じていたら、本当にたくさんの方々に読んでもらって、繋がることができました。エッセイには、いま目の前に見えている、新しくも愛しい人々の営みを綴ることが増えました。書くことを飛び越え、ラジオやテレビといった、わたしにとってはまったく新しい方法と言葉で、伝えていくことも。伝え方が違えば、巡り合う人も違うのがおもしろいですね。でも、どこにいても、「もうあかんわ」とくじけそうなことを、ゲラゲラと笑って過ごしています。
どうしてダウン症の弟を、愛しているんだろう。歩けない母を、愛しているんだろう。家族ほど近くて厄介な存在はないのに。そんなことを考え、たどたどしく、ふさわしい言葉を見つけ続けた毎日です。きっとわたしのように悩んでいるご家族も多いのではないかと思います。わたしがたどり着いた、家族だから愛したのではなく、愛したのが家族だったという物語を、ぜひ共有させていただけましたら嬉しく思います。みなさんの物語も、楽しみにしています。
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