ストーリー
こんにちわ。加藤徹生です。略して、”かとてつ”と呼ばれています。
私は心臓の手術を二度経験している身体障害者ですが、多くの皆様に支えられながら、財団の経営者を続けさせて頂いています。にもかかわらず、財団を立ち上げるという挑戦は、多くの先輩方にマジか!?やめとけ、といろんなアドバイスを頂いたのですが、たしかに、それを上回る魅力がありました。
自分自身にとっての魅力が何かというと、その過程で、自分の弱さが明らかになるほど、前に進めているような感覚があったからでしょうか。
財団をつくるには300万円の資金が必要なのですが、もちろん、それだけの資金を僕個人で出すのは不可能でした。そして、クラウドファンディングを通じて、多くの方々から資金を募り、やっとのことで立ち上げた財団です。
本当の苦しさは立ち上げた後に訪れます。財団設立時に試算した採算のラインは40億円くらいの資産をお預かりする財団になること。僕が学んできたあらゆる経営の方法を駆使して、成長のスピードを上げ、コストを下げ、あらゆる方々に力を借り、時に怒られ、時に見放され、ようやく最低限の仕組みができたと思った時に私は二度目の心臓の手術で半年ほど休養を取らざるを得ない状況になりました。
財団というのは、他人の資産をお預かりして進んでいく仕事です。すでにお預かりしていて数千万の資金があり、資金を投じて頂いた方々の思いや顔がどうしても離れず、もう一度、経営に復帰し、財団を軌道に戻すという決意をしたのがちょうど2年前の今頃でした。
ちょうど、その頃から、自分の力だけでは変えられないものがあるのだということや、自分の障害を受け止め、積極的に支援を求めるコミュニケーションを試すようになりました。あたり前のように聞こえるのですが、弱みをさらし、支援をこちらから求めなければ、良い支援に出会うことは難しいのです。支援者は万能ではないし、良い支援者ほど忙殺されているのです。
迷路に迷い込んでしまったような感覚でしたが、ここでも、様々な支援の中で出会った友人たちには救われました。そもそも、病名がつくということはラッキーな状況なんだということを教えて頂いたり、複雑な症状に対して、気軽に見立てを相談できる友人には本当に救われました。
こういった幸運が折り重なった結果として、多くの方々と立ち上げた一般財団法人リープ共創基金は日本の新しい財団の一角をなす存在として、様々な相談や資金の管理の機会を頂くようになりました。
財団が存在する意味というのもやっている中で随分と実感が湧いてきました。財団というのは交通システムで言えば、交差点や信号機のような調整機能を持っており、健康な資金の流れをつくるには、良い財団が必要なのです。
新しい社会をつくるには財団が必要だ、財団は民主主義の母体の一つなのだということは外国の友人や財団の経営に携わった諸先輩方から聞いていた意味が随分わかってきました。
そして、素晴らしい団体に最適なタイミングで資金を提供するだけではなく、シンプルに効果を測定し、エビデンスを積み重ねていくだけで、社会の仕組みまでが変わってしまうのだということがわかり、広域的な社会的インパクトを再現できるようなところまできました。
よりよい社会や平等な社会を望んでいない人はいません。ただし、その実現に至る利害や合意を積み重ねていくことが難しいだけなのです。だから、財団のようなオルタナティブが結果を見せ、エビデンスを積み重ねれば、新しい社会への道筋をつくっていくことは難しいことではありません。もちろん、社会を変えるには、時間がかかります。だからこそ、そこに時間をかけていくのだということ自体を選択して行くことがもしかしたら、民主主義という考え方の土台にあるものなのかもしれません。
さて、私は自分自身が立ち上げた財団にあえてバースデードネーションをしてみたいと思ったのは、私自身の変容の節目と財団の変容の節目が重なったからです。私や財団の変容、さらには、社会の変容を後押ししたいと思って頂ける皆様は金額の多寡にかかわらず、ご気軽に支援をお願いできれば幸いです。
投じて頂く資金は生まれ変わった財団のデザインの更新のための費用に使わせて頂きます。これまでデザインセンスの乏しい私が雑に選んできてしまったロゴ、カラー、ヴィジュアルアイデンティティの一新を目指します。