LGTBQと女性のためのリソースセンターとして活動しているQueer & Women's Resource Centerでは、LGBTQフレンドリーな社会の実現を目指して、LGBTQの主に若者が相談しやすい場所としての「LINE相談事業」と、LGBTQの人々がアクセスしやすい社会での暮らしを支えるための様々な施設や公共サービスの見える化事業を行っています。
今回のマンスリーファンディングでは、たくさんの方が利用しているLINE相談事業の継続と、LGBTQの人々が利用しやすい施設や公共サービスなどの社会資源をさらに増やし、相談できる場として繋げていくための活動を支えてくださるサポーターを募集します。
ストーリー
団体のビジョン
だれもがセクシュアリティを自由に表現できる社会の実現
活動内容
LGBTQと女性のためのリソースセンターとして、2003年4月より活動してきました。フェミニズムの視点を重視しながら、 多様な性のあり方が当たり前に尊重される社会の実現を目指して活動しています。
何種類かのお茶会のような交流イベントをしています。
誰でも参加できる、「QWRCデー/ナイト」
話すのが得意ではない人でも気軽に参加できて、ボードゲームをしながら交流できる「QWRCのボードゲームな夜」
LGBTかそうかもと思っているユース(23歳くらいまで)の人限定の「カラフル」
LGBTなど多様な性を生きる人々で、メンタル面に悩みのある人のための「メンヘル!」
子育てする(したい)セクシュアルマイノリティや、そんな人を応援したい人のための「こどもとおとなのお茶会」
相談事業もしています。
関西の近隣自治体の「委託を受けている電話相談」は、月間23.5時間の相談を受け、LGBTQの当事者の悩みに寄り添っています。
専門知識の豊富な臨床心理士が運営するカウンセリングルームの「にじのそら相談室」
啓発事業としては、依頼を受けて学校や行政、企業など、さまざまな場所に講師を派遣しています。
「LGBTに関する相談スキルアップ講座」など、不定期にイベントも開催しています。
LGBTQの人々を取り巻く社会環境
LGBTQの人の多くの人は自分がLGBTQであるかもしれないと気づいたときに、身近に当事者がいません。家族も理解がないかもしれず、いきなり家族にカミングアウトすることは大きなリスクを伴います。
例えば、テレビにオネェといわれるようなタレントが出ていて、親が「きもちわるい」と発言する。
例えば、仲がいい男子二人が遊んでいるのをみて、同級生や先生が「ホモかよ」と発言する。結構良くある光景です。
それを聞いたときに、当事者はどう思うでしょうか?
そんな社会で生きてきた人が、
自分が「そうかも」と思ったときに、自分のことを肯定できるでしょうか?
若者が恋愛などに悩んだとき、一般に友だちや家族、学校の先生に相談します。また若者相談の窓口、スクールカウンセラーなどを利用することもあるでしょう。
人が就労したいと望んだとき、一般にハローワークなどを利用します。その他の求人サイトやエージェントを利用するかもしれません。新卒であれば、大学などのキャリアセンターなどを利用するでしょう。障害のある人だと、仕事につくための訓練を受ける施設を利用したいかもしれません。
高齢になって、介護などの社会福祉のサービスを利用するときは、役所に行くでしょう。
こうした、その人の生活を助ける社会にあるもの全てを社会資源といいます。
その人がLGBTQの当事者だったとき、それらの社会資源を利用することはできるでしょうか?
同性を好きになるのはヘンなこと、服装は性別で分かれているもの、そう思っている若者は自分のことを認めることができません。学校の先生など相談した結果、アウティングされて学校に行けなくなったと悩む人もいます。
就職活動で自分はトランスジェンダーであると伝えたところ、窓口の人に「この仕事は女性/男性の仕事だから受けるのはやめた方がいいよ」「LGBTQであることは隠した方がいいよ」と親切心でアドバイスされた、という話もよく聞きます。
障害者の就労に向けた訓練をする施設で、「オカマみたいだ」などの、LGBTQに差別的な発言を聞いた人も少なくありません。
高齢になって、介護が必要になったとき、「トランスジェンダーで戸籍の性別を変えていない自分は、だれに介護されるのだろう」と悩む人もいます。「自分はレズビアンなんだけど、介護をする人に知らせなくていいのだろうか」。
今は介護の世界は同性介護が原則です。
もし、そのときに、その窓口の人がLGBTQに理解があるとわかっていたら、相談できることも多いと思いませんか?
行政からの委託で、電話相談もしていますが、若者は電話をかけづらいのが現状です。
一緒に住んでいてカミングアウトしていない家族がいると、中々電話ができません。
悩み事があって、電話相談があることを知っても、電話の内容が聞かれるかも知れないリスクがあるので、家からかけることは困難です。かといって、外で電話をしていると、近所の人や、知り合いに話を聞かれるリスクがあります。
その課題は全世代共通の課題ですが、特に若者やこどもだと顕著になります。
実際に、電話相談にかけてくる人の年代は30~40代が多く、10~20代の相談は少ないです。
課題解決のためにQWRCが行っている活動
若者たちが使いやすいコミュニケーションのツールとして、QWRCでは「LINE」を利用した「LINE相談事業」をはじめました。
LINEのチャットでの相談だと、声に出す必要がないので、周りの人に聞かれるリスクがなくなります。
また、LINEのチャットは若者に身近なので、気軽に相談が来ることが予想されます。
LINE相談を開始するにあたり、助成金をいただいています。少し赤字ではありますが、今年いっぱいはLINE相談を月一回で継続することが可能です。
LGBTQをターゲットにして開設しているLINE相談はまだ少ないです。ほとんどが時間も限られていてずっとやっているわけではありません。
QWRCのLINE相談を開始すると告知したところ、すでに多くの反響がありました。そこで、今後も月一回、継続してやっていきたいと思っています。
また、相談をしてきてくれた人に紹介する先を開拓する事業も始めました。電話相談やLINE相談などで、相談していただいた方に紹介できる安全な資源はまだ少ないです。
例えば就労支援や、若者の居場所、高齢者支援など、使える社会資源が増えればその分、助かる人も増えるのではと思っています。その相談先を見える化する活動をしています。
活動の課題
LGBTQの若者の相談窓口として活動しているLINE相談ですが、来年には助成金がなくなってしまいます。そうなると継続が困難になり、LINE相談があれば悩みを打ち明けることのできる人が、相談する先がひとつ減ってしまいます。
実際にかかるお金としては、まず、相談員や相談コーディネーターの人件費がかかります。
安全に相談をうける環境として、事務所の部屋を維持する必要があります。家賃、光熱費や、インターネットを利用するのに通信費もかかります。
また、事業を継続するのには、事務作業も発生し、そこにも経費がかかります。
また、生活に密接に関わる施設や公共サービスの窓口などの社会資源の見える化を行っていますが、それらの開拓した資源のリストは更新していかないと使えるものにはなりません。そのための活動にかかるコストを担保できるような資金の維持も課題となっています。
マンスリーファンディング後の目標
電話相談を利用するのが難しい人など、少しでもたくさんの人の悩みに寄り添って行きたいと思っているため、LINE相談を継続的に実施していきたいと思っています。
LINE相談が継続的に実施でき、悩みをチャットで相談できるようになると、カミングアウトしていない人と暮らしている人や、家族がそうかもしれないと悩んでいる人など、既存の電話相談を利用できなかった人たちの悩みを相談できる先がひとつ増えます。
また、色々なところで活動するLGBTQについての相談に対応する、相談員が紹介できる選択肢が増えます。
今も相談員が各々のもつ紹介先を紹介していますが、例えばその地域でそのカテゴリの紹介先はひとつしかないかもしれません。しかし、その相談先を開拓する事業での見える化がすすむと、紹介先が増えます。相談した方の選択肢も増えます。
結果としては大きな変化を生むことになります。
こうした社会資源の開拓は、直接的なLGBTQの方へのアプローチではありませんが、多くの人の生きていく選択肢を増やすことにもつながると思っています。
代表メッセージ
私はQWRCができて1年後に運営に関わりだしたので、現在17年が経ちました。
私が自分以外のLGBTQに初めて会ったのは21年前でした。その頃は多くのLGBTQの若者がそうであるように、私も孤独で閉塞感のある毎日を過ごしていました。そしてコミュニティに参加し、やっと自分のことを話しても良い場所を得ました。
色々なコミュニティに足を運ぶようになったある日、QWRCに行ったところ、ある人が「活動家は鬱になる!」と言い切っていました。
その言葉を聞いたときに、私が足を運ぶコミュニティの全部が、たまたまあるわけじゃなくて、あり続ける努力をしてきた人たちがいたからこそであり、そういうコミュニティを金銭的にも労働力としても支える人が、とても脆い足場から発言したり誰かの支えになっていることに思い至りました。
私はその時「活動家を支えたい!」と思いました。それがQWRCの運営に関わりだしたきっかけです。
さて、QWRCが目指すものはセクシュアリティを自由に表現していける社会です。セクシュアリティを表現することによって、行政のサービスであったり、医療・福祉の現場、学校・職場・地域でも何の不利益も被らない、「当たり前」が手に入る社会です。
そこでQWRCでは4種類の活動をしています。
一つ目、交流会です。
私が関わりだした当初からQWRCデーとQWRCナイトというお茶会がありました。最近のQWRCデーで、10年ぐらい前に来たことがあって、まだやってるのか調べたらやってたから来ましたという方がありました。懐かしい人が来れるのも長くやってる賜物だなぁと思いました。
他には英会話をする「QWEEN」もありましたが現在は休止中です。
現在行っているものでは、概ね23歳以下のLGBTQやそうかもと思っている人向けに「カラフル」や、多様な性を生きていてメンタルに悩みがある人向けに「メンヘル!」、ひたすらボードゲームを楽しむ「ボードゲームな夜」、子育てをしていたり・したいなと思っていたり・こどもと関わりたい人に向けた「こどもとおとなのお茶会」があります。
参加するかどうするかとても迷ったのですが、今日こそはと思って来ましたという方もおられます。ドアを開けるのはとても勇気がいることでしょうと私たちも分かっているので、開けてしまえば楽しかったと思ってもらえるよう努力しています。
二つ目、相談事業です。
LGBTQ当事者やその家族、当事者の周囲にいる人などの、セクシュアリティをきっかけに生じたお悩みに寄り添い、向き合ってきました。
長らく実施してきた電話相談は終了しこの度LINE相談をはじめました。
ただし電話相談は自治体からの委託を稼働させています。
にじのそら相談室というカウンセリングルームも持っています。
事情が合えば役所などへの同行もしています。
LGBTQの自殺のリスクの高さや、メンタルヘルス及び身体の不調は色々な調査で報告されています。この相談事業がそんな方たちへの助けになっています。
また、近くにLGBTQのコミュニティがあるのかどうか分からなかったり、他のLGBTQ当事者に会いたいけど中々叶わない、という方たちにも情報提供をすることが出来ています。
三つ目、啓発です。
講演会の講師を派遣したり、啓発冊子・書籍を作成したり、緊急時連絡先カードの発行をしたり、講座を開催したりしています。
緊急時連絡先カードは2006年から配布を始めました。
LGBTと医療・福祉改訂版という冊子はクラウドファンディングで資金を集め、2万人の医療福祉従事者へ届けることが出来ました。
四つ目、他の団体のサポートです。
事務所を持たない団体のためにスペースを貸したりしています。
他団体が作成した資料も収集しています。
これらの活動をスタッフのやる気と手弁当などで支えてきましたが中々難しい状況です。
そこで今回マンスリーサポーターになって頂ける方を募ります。
皆様のご支援を賜りますようどうぞよろしくお願い申し上げます。
寄付金の使途
・LINE相談事業運営費
・LGBTQの人々の暮らしを支えるための様々な施設や公共サービスなどの社会資源の見える化事業運営費
・団体管理費(家賃、水道光熱費、通信費、シンカブル手数料、コピー機リース料)
2021年の12月までは、LINE相談事業とLGBTQの人々の暮らしを支えるための様々な施設や公共サービスなどの社会資源の見える化事業に助成金をいただいているため、団体管理費にも使用させていただきます。
来年度以降は、LINE相談事業とLGBTQの人々の暮らしを支えるための様々な施設や公共サービスなどの社会資源の見える化事業の運営費中心に使用させていただきます。