「知らなかった」で傷つくひとをゼロに
渡航先で私がみてきた性教育の共通点は「日常にあること」でした。しかし、日本で「性教育」という言葉を聞いたとき、子どもが授業を受けたり本を読んだりするなどの「勉強」を想像される方がまだ多いと思います。しかし、私が考える性教育の定義は「行動を変えるためのすべての環境整備」です。
子どもたちが悩みをもったときに相談できる先を知っていること、相談できることや、相談先の大人が適切な対応をできる状態でいることも環境整備に含まれます。
その全ての環境整備をめざして、子どもの周囲にいる大人たちの感情や過去により添いながら、それでも子どもたちを守るために前に進むサポートをする教材をソウレッジで制作しつづけています。
購入してくださった方からは、「性教育が大切とは頭で理解していても、恥ずかしい気持ちがずっとあった。でもソウレッジの性教育教材があれば、その気持ちを無理に押し殺さないでも、たのしく気楽にはじめることができる。背中をおしてくれる商品でした。」という反響もいただいています。
プライベートゾーンを動物たちと一緒に学ぶ「プラベ」
長い時間をかけて関わりを変えなければ、効果は見込めない
「1回の性教育講演」で子どもたちの行動の変化を促すことは、無理といいきっていいほど難しいです。
「社会全体で性知識を届け、悩みがあるときの相談先を整備したり、社会でみずからの権利尊重される経験をし、そこから相手を尊重する方法を知る」などのたくさんの要素が組み合わさった時にやっと行動の変化を促すことができます。
しかし、学校の校則や家庭内のルールに納得できず、説明を求めても「決まりだから」しか回答をもらえず、どうしてその決まりがあるのかの説明をしないかったり、組織に属すのであれば規則にも同意したものとみなすような学校はいまだにあります。
つまり同意のない校則・ルールがアタリマエとされている状態です。そのような環境では「社会の中で自らの気持ちを確認され、権利を尊重される経験」とは真逆の経験を積み重ねていきます。
同意していない規則に従わなかったら叱られたり退学を暗に強要される状態で、「困ったことがあったら身近な大人に相談しよう」「イヤなことをイヤと言っても大丈夫」「イヤと言われたらその相手の気持ちを尊重しよう」という講義受けたとしても、普段から権力を持つ側から子どもへ同意のない規則の強要が行われているのであれば、話に矛盾が生じます。
世界の包括的性教育の指針となる国際セクシュアリティ教育ガイダンスには、効果的な授業をつくるためには「一貫したメッセージ」が重要だと記載されています。
つまり、日常的の中で性教育を行い続けずに本当の意味での教育(行動変容)はできません。
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