『日本の性教育の現状』 「コンドームつけなくていいよ」と言ってしまう人に必要なのは 性知識 じゃない。vol.2
2021/7/22 23:01
日本の現状
予期しない妊娠
2018年度には年間16万件程度、平均1日438人もの中絶が行われました。
一方で日本の学習指導要領には、現状「受精に至る過程は取り扱わない」と明記されており、義務教育内で予期せぬ妊娠を防ぐための具体的な避妊法を知る機会はほとんど皆無です。
例えば、国内で行われている避妊法の82%を「コンドーム」が占めていますが、コンドームの一般的な使用方法での避妊失敗率は2〜16%程度で、ピル(0.3%)、IUS・IUD(0.6%)などと比較したときに大きく上回ります。(参考) また同調査では、コンドームの次に行われている避妊法として、射精する直前に男性きを膣から出し射精する、いわゆる「膣外射精」がありましたが、射精をする前に精子が漏れ出ることがあるため膣外射精で避妊することはできません。
性犯罪後の対処
強姦・強制わいせつの被害を受けて警察に届け出る女性はわずか18.5%というデータがあります(平成24年 法務総合研究所「第4回犯罪被害実態(暗数)調査」より)。
例えば、性被害にあったときは各都道府県にあるワンストップ支援センターや警察の性被害相談窓口#8103に連絡したらその人にあった対処方法を知ることができます。警察への相談後、産婦人科を受診した場合、その費用は公費負担になります。しかし、そのような相談先や相談先でどんなことを聞かれるのか知らないと適切な対処ができず傷を1人で抱え込んでしまうことになりかねません。
また、2.5人に1人の女子と10人に1人の男子が18歳までに1度以上、ちかんや裸の写真の撮影なども含む何らかの性被害を受けているという調査もある一方、報告件数は依然少なく、ほとんどの子どもたちは被害後に適切な対処が行われていないことが予想される。(日本性科学情報センター 子どもと家族の心と健康 調査報告書)
先生たちが性知識を学ぶ機会が整備されていない
弊社(一般社団法人ソウレッジ)では、「現在の若者が直面している性の課題」を知り、自分が過去に持っていた「性に関する悩み」を共有するボードゲームのワークショップを開催しています。
そのワークショップには多くの教育関係者が参加されていますが、そのうちの9割以上の方が「自分自身が性知識を得る場がないまま大人になり、子どもの時に聞いた根拠が曖昧な情報を信じていたことに気づいた」と感想を共有してくださいます。
↑性の課題を知るボードゲーム「ブレイクすごろく」
それくらい、子供に関わる大人も「根拠のある性知識や情報」を知る機会がないということです。
大人さえそんな状況で、ましてや子供たちが「自分の人生を自分で選択して、自分の身をまもる行動をとれる」と考えるのは難しいでしょう。しかし、日本では、多くの性被害や中絶の経験をした子どもたち(または当時子どもだった人たち)が「自己責任」として傷を自分だけで抱え込んだり「自己責任」を周囲から強いられ、さらなる傷つきをもたらされたりなどの状況にいます。
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