実際の保護猫活動「途絶える生命もある」
2021/1/5 16:46
年も明け早々4日午後2時、保護猫依頼があり、こちねこに子猫が収容されました。
大きさ的には3ヶ月ほどの年齢。
見た目はかなり酷い風邪をひいているようで、涙と鼻水が常に出ている状態。鼻も擦り剥けてかわいそうなくらいでした。
水状の便からは大量の瓜実条虫も見えます。
身体を持ってみると異常に軽いのが、低い体温とともに手に伝わって来ます。
フラフラとして、自力で立つのも辛そうで、今にも生命の火が消えそうなほどでした。
急いで新規保護猫専用個室を暖め、ケージに入れ、手から体温が伝わるように暖め続けました。
本当は懐に入れて暖めてあげたいところでしたが、検査も済んでいない状態なのでどんな病気を持っているかわかりません。
他の保護猫もいるので、それが限度です。
しばらくし、安心したのか身体が暖まってきたのか、子猫は起き上がりました。
脱水症状も見られておりましたので水を与えると、少しですが飲みました。
「状態は最悪だけど、これなら何とか耐えてくれるか」そう思い、また願いました。
ホッカイロを底に仕込んだベットに寝かせてあげ、病院が開く夕方まで様子を見ながら待つ事にしました
御存知の通り施設のある場所はお寺で、私は住職でありますのでずっとそばにいる訳にはいきません。
合間でちょくちょく様子を見ながら夕方を待ちました。
午後5時にお経の予約の方が来られる予定でしたので、それが終われば病院に行ける。その時までの辛抱だぞと子猫に語りかけながら。
最後に生きている姿を見たのは午後4時でした。
子猫を収容している部屋に行くと、身体の向きは変わっていたものの寝ている様子でしたので、そのままにしました。
部屋は十分に暖かく、寝ている場所もホッカイロを仕込んだ場所の真上です。
しかし、予約のお経の終わった午後5時過ぎ、部屋に行くと既に息はありませんでした。
本当に辛く、またSNSで声をかけて下さった方や、マンスリー支援者の方々にも申し訳ないと思いました。
それと同時に、この様な子猫たちが生まれないように発信していかないと、不幸な子猫たちが生まれ続けるのだとあらためて心の中に浮かんできました。
私たちが何故保護猫活動やTNR(猫を保護し、去勢・避妊手術を施しもとに戻す)活動をしているのか。
それは今回の子猫のような不幸な存在を無くするためです。
野良猫は基本的に、人前に姿を現しません。餌付けをされている猫や、今回の様に死にそうな猫の一部だけが人前に姿を現すのです。
今回の子猫の場合、後からお話を聞いたのですが、餌やりをしている人はいる。ただ、餌のみを与えて後は自由にさせている。最近餌を食べないようで心配をしていたとのこと
この餌やりの方にとっては餌を食べないのも自由なのだと考えていることでしょう。
自由といえば聞こえはいいですが、この場合餌を与えて繋ぎ止め、他の自由を奪っているのと同じです。
猫はそこで餌を貰えないと解ると別の場所に移動します。餌を貰える場所、もしくは自分で捕れる場所へ。
人間が、ただ可愛いから、かわいそうだからという理由で、無責任な形で繋ぎ止めてはいけないのです。
新しい場所を探す間に止まってしまう生命もあるでしょう。
新しい場所で、色んな形で幸せになる生命もあるでしょう。
それらは自然の中で生きていくもの達にとっては当たり前の事なのです。
個々の猫たち、動物たちに対して私たちに出来ることは、そう多くはありません。
・保護をして直接飼う。
・病気や繁殖を防ぐために、人間と共生するために去勢・避妊手術をして戻す。
・人間が動物たちに歩み寄れるように意識を改善していくよう啓蒙する。
大きく言えばそれくらいなものです。
餌をあげるだけの行為が飢えから守っていると勘違いをしてはいけません。
面倒を見きれないなら何もしない方が猫たち。動物たちとって幸せなのだと思って下さい。
どうしても何かをしてあげたい!
そう思うのなら、早めに私たちのような団体や、行政にお願いしてください。
お願い
私たち『一般社団法人こちねこ』はまだ開設されたばかりで収容限度頭数も多くはありません。
たくさんの方に支えられながら現在に至りますが、これからも力を尽くして頑張って参ります。
皆様のお力を集めて大きな力になれます様、どうぞご協力、ご支援を賜れば幸いと存じます。
一般社団法人こちねこ代表 草切榮隆 拝
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