気仙沼の中高生の挑戦を応援する「じもとまるまるゼミ」
まもなく大震災から10年という2020年、今こそこれからのWithコロナ時代を担う若者たちの「わくわく」する力を育みたい。
そこで私たちは、自ら問いを立て、アクションを起こす=新しい学びを広める中高生向けのゼミを開講します!
復興10年目の再出発にあたり、この想いを形にする仲間まるクルー(マンスリーサポーター)を50人募集します。どうぞご協力よろしくお願いいたします。
■内容:毎月定額寄付(1,000円~/月)
■申込期間:8月1日(土)~8月30日(日)
■目標:50名
ストーリー
3.11で出会った「豊かさのヒント」
まるオフィスの代表理事、加藤拓馬です。
東日本大震災をきっかけに、2011年4月気仙沼の唐桑半島にボランティアとして飛び込みんだ私はこの小さな半島に愛着が湧き、そのまま移住を決意します。22歳のときでした。
そこで目の当たりにしたのは「自分ゴトとしての復興」でした。大都市に近いベッドタウンとは違い、はたらく場所とくらす場所がほぼ同一の気仙沼では、まちの大人たちが震災からの復興をまさに自分ゴトとして捉え、汗をかいていました。
おカネじゃない豊かさって何だろう?平成の最初に生まれ不景気の社会しか知らず、悶々としていた私はハッとします。はたらく=くらす=生きることへのオーナーシップ(自分ゴト)にこそ、本当の社会の豊かさのヒントがあるかもしれない、と。
一方で、子どもの数が激しく減っているのもまた事実でした。このままだと半世紀も経てば、この三陸沿岸の「ヒント」が消滅してしまうんじゃないか、そんな不安が募っていきます。
漁師とはじめた教育プログラム
一方、そんな不安を感じていたのは私だけではありませんでした。
「このままだと漁師がいなくなる」
漁師まちとして生計を立ててきた半島のベテラン漁師がつぶやきました。
そこで、2016年中高生向けの漁師体験ゼミをはじめます。
「くらしがい・はたらきがい」をテーマに、大津波を乗り越えてきた漁師たちが子どもたちに語りかけます。
当初の目的は「漁師の卵を育てること」でしたが、将来のUターンや就漁を強制するのも大人のエゴでしかありません。これは地域づくり×教育の永遠のジレンマでもあります。
被災地でもある地元の漁師の背中を魅せながら、ひとりひとりの「夢を広げていく」お手伝いをしたい。子どもたちの顔と名前が一致するようになり、だんだんそう思うようになりました。
Uターンを強制しなくても、地域ぐるみでその子の背中を押してあげることができれば、きっとその子はこの地元とポジティブに関わり続け、それが必ずいつかまちの活力につながる、と信じてみることにしました。
こうして「地元からわくわくする人生を」という新しいスローガンを掲げ、教育事業が再出発しました。これが「じもとまるまるゼミ」です。
10年目でボランティアからの卒業、そしてコロナ禍
唐桑半島からはじまったじもとまるまるゼミは数年かけて気仙沼全域の中高生にアプローチできるようになりました。
地元の体験活動(漁師体験など)を続けながら、公立学校の授業のサポートをすることも増えました。
そこで知り合った中高生ひとりひとりの挑戦を個別に応援するという取り組みもはじめました。2017年度からは市役所と一緒に高校生の発表会(マイプロジェクトアワード)を開催し続けています。
そして、震災10年の節目に向けて、思い切って復興支援助成金からの卒業を決意した2020年春。新型コロナウィルスが流行ります。
学校はすべて休校、直接中高生とも会えなくなり、私たちは休校開始2日後からオンラインで高校生と対話する企画に切り替えます。「#学びを止めるな」が合言葉でした。
結果3ヶ月の休校期間中、計20回のオンラインワークショップを開いた私たちは次なる学びのヒントをつかみます。
気仙沼から全国に広げていける学びの機会です。
オンライン寺子屋タイプの新しいゼミを
感染流行第2波に向けて、経済活動はもちろん、子どもたちの教育現場にも不安が絶えません。また学びが止まってしまうんじゃないか…
先が見えない社会に求められる「学び」のあり方にも注目が集まっています。ころころと変わる社会に合わせて、スピード感をもって学びも変えていければいいのですが、公教育はそうはいきません。
(なぜなら変わらない価値を伝える大切な使命も持っているからです。気軽に実験できる場でもないのです。)
Withコロナの対応も、次世代向けの学びも全て公教育に任せるのは無理がある、ということです。時代の変わり目ですから。
事実、学校現場は日々の業務に加え、毎日の感染予防、消毒作業…、GIGAスクール(ICT化)への対応にパンク寸前です。(それでもめいっぱい改革を進めているのが現在の状況です)
そこで私たちは、地域の大人たちをまきこんだ寺子屋(まちの私塾)式の学びの環境をオンラインで用意することにしました。
ポイントは2つです。
週に1回、オンラインを主に集まれるゼミをつくる。コロナが何度来ても止まらないようにする。
新しい時代に向けて、ひとりひとりが自ら問いを立て、地域でプロジェクトを起こすサポートを行う、個別型&実践型のゼミにする。
誰でもオンライン環境さえあれば参加できるよう無償にします。
もともと“いなか”では都市部と比べて、少子化や過疎化によって「出会い」や「実践」の機会格差が課題でした。
一方で、気仙沼には10年の復興期の中でゼロもしくはマイナスから事業やくらしを建て直した「異人」=チェンジメーカーがたくさんいます。
その元被災地ならではのリソース(人的資源)を活用しつつ、オンラインの強みを使って他地域との掛け合わせも実現させながら、この課題を解消していきます。
中高生がさまざまな大人と出会って、実践できる環境がここにあります。Withコロナ時代を生きぬいていくために、大切な学びを得られるゼミになります。
そのために、どうかみなさんのお力を貸してください。一緒に想いを形にする仲間になってください。
人と地域を両方育てる学びがある
自ら問いを発見し、他者と対話し、プロジェクトにしていく力は、不確実性の高いこれからの時代には欠かせない力だと言われています。
実際に授業で取り組んだ中学生の声です。
また、学校外でプロジェクトに取り組んだ高校生にも聞いてみたところ「主体的に行動する力」や「地元が好きという気持ち」が確実に育っていることが分かりました。
中高生の学びに協力してくれた地域の住民にもヒアリングしたところ「自身の地域への愛着」や「仕事や生業の価値の再認識」が大きく高まっていることも分かりました。
これは気仙沼だけではなく、日本全国の中高生、もしくは各地域にとって大切な取り組みになります。この取り組みは気仙沼で完結させません。オンラインで中高生の取り組みを他のローカルともつなぎ、拡散していきたいと考えています。
気候変動が進み、毎年のように天災によって様々な地域が甚大な被害を受けています。まちごと水没する様子を私たちはニュースを通してよく目にするようになってきました。緊急支援、復旧作業がまず第一ですが、実はそのあとにやってくる過疎への疲労感が大きなガンになります。
(唐桑半島 2011年6月末 筆者撮影:4ヶ月近く経ってもこの惨状でした。9年半経った今も防潮堤の工事は続きます)
気仙沼はこの10年、復興人材への投資を行ってきました。同じかそれ以上に大切なのは、その大人たちの背中を子どもたちに魅せていくという仕組みです。そしてその取り組みはまだまだ道半ばです。
気仙沼から日本の学びをアップデートする
ウィルスが蔓延しようと、再び震災が来ようと、彼らが学びを止めることなく、未来志向な「ホンモノの力」を育てていくことは可能です。
そのためには、公教育と並行して、自分たちの手で創っていく学びの環境が欠かせません。
私たちは、気仙沼のこの取り組みから日本全体の学びをアップデートしていくことを目指します。
代表理事 加藤 拓馬
寄付金の使い道ほか
「探究ゼミ」「未来ゼミ」など週1回のゼミの運営費用として活用させていただきます。
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