私たちの取り組む課題
聴覚障害者のコミュニケーション
聴覚障害者は音声での会話が難しく、手話や身振り、筆談、口話など視覚を使ったコミュニケーションが必要。その方法も一人ひとり聴覚の程度や育った環境によって異なります。
手話を言語とする聴覚障害者にとっては、日常生活のあらゆる場面で手話による言語保障が必要です。高齢者施設においてもスタッフ等と手話で意思疎通ができる環境が必要不可欠です。そのような環境ができてないと、意思疎通ができず、閉じこもりがちになり病気の発見が遅れたり、認知症のリスクも高まります。日常のコミュニケーションを手話で行えることが、健康に生活する上で非常に重要です。
暮らしやすい環境を求めて
北海道内にある聴覚障害者向けの高齢者生活支援施設は上川郡新得町にある1カ所のみで、札幌市内には聴覚障害者を支援するための専門的な知識やコミュニケーション技術を要する生活支援施設がありません。そのため住み慣れた地域を離れ転居する例や、聴覚障害者が一般の高齢者施設に入所する例も少なくない現状です。家庭での介護においては聴覚障害者そのものの正しい知識があるとは限らず、本人が自己決定できる環境であるかどうかも懸念されます。
聴覚障害者にとって、一般の高齢者施設では常駐のスタッフとのコミュニケーション不足が懸念される他、聴覚障害者は外見からその障害がわからず、何に困っているかが周囲に伝わりにくいため、支援の要否が理解されにくいという特質があります。また、手話による日常的なコミュニケーションが健康に生活する上で非常に重要であることを受け、聴覚障害者当事者団体が「住まい」提供の事業を展開することにより、当事者同士や理解ある聞こえる人とともに支え合える環境作りが求められます。
なぜこの課題に取り組むか
だれ一人取り残さない社会へ
そのような課題を踏まえ、当事者たちの「一日でも早く聴覚障害者向けの高齢者生活支援施設の設立を実現してほしい」という声を行政に対して要望してきたが、なかなか進展がみられないまま時間が過ぎるだけでした。
そこで当協会は聴覚障害者のための介護支援事業をしようと2014年6月に「デイサービスほほえみ白石」をオープンしました。
一方で有志たちの施設設立に向けた寄付の取組みにより、2017年4月には「サービス付き高齢者向け住宅ほほえみの郷および小規模多機能型居宅介護ほほえみ手稲」をオープンすることができました。そして、手話ができるスタッフたちが常駐して、入居者または利用者と円滑なコミュニケーションを図ることができています。
寄付金の使い道
きこえない・きこえにくい人たちの暮らしを支え、手話で自由にコミュニケーションできる施設の安定した運営・活動資金として使わさせていただきます。