私たちの取り組む課題
当団体では東日本大震災の被災地・宮城県石巻市において、下記の取り組みを行なっています。
【1】石巻復興きずな新聞の発行>>A4判4頁、季刊、各回4,500部発行
市内で活動する団体や専門家と協働し、医療・健康、まちづくり等の記事を掲載した「石巻復興きずな新聞」を発行しています。
私たちは「メディアの使命は『世の中を変える』こと、すなわち『(読者の)行動を変える』こと」だと考え、これまでも具体的なアクションに結びつくような情報発信を心掛けてきました。
住民の自立や社会参画を促すような紙面づくりに取り組んでいます。
【2】石巻復興きずな新聞の配布>>復興公営住宅全70団地の全4000戸に配布
復興公営住宅の住民の方々の中には、震災当時の話や今も胸にある悲しみや辛さ、将来に対する不安な気持ちを「誰かに聴いて欲しい。受け止めて欲しい」という方も少なくありません。
しかし、「大変なのは自分だけではないから」「被災状況が皆違うから、言ってもどうせ分かってもらえない」等の理由で、ご家族や知人友人、ご近所さんにはなかなか話せない、共有できないという方もいます。
これまで新聞配布の活動を通し、そんな住民の方々の声に耳を傾けてきました。「ボランティアさんだからこそ、心のうちを気兼ねなく話せる」という言葉を掛けていただいたことも何度もありました。
新聞配布に参加した過去のボランティアの中には、住民さんと文通をしたり、一緒に撮った写真を送ってあげたりする方もいます。
そして、それをとても喜び、宝物のように思ってくださっている住民の方々も多くいらっしゃいます。
「震災があったからこそ、ボランティアさんとも出会えた。そういう意味では震災に感謝している」。
そんな言葉を聞く度に、ボランティアと住民の方々との間に生まれた「きずな」が心の支えになっているのだと実感します。新聞配布を通した訪問・傾聴・見守り活動に取り組んでいます。
なぜこの課題に取り組むか
私たちは「最後のひとりが仮設住宅を出るまで」を目標に2016年に団体を立ち上げ、皆様からご支援をいただきながら、活動を続けて参りました。
そして2020年1月、とうとう最後のお一人が仮設住宅を退去され、当初の目標を達成することができました。
決して順風満帆とは言えない4年間。何度も挫けそうになりましたが、その度に皆様に応援していただいたことを思い出し、困難も乗り越えることができました。あらためて、ご支援に感謝申し上げます。
一方、仮設住宅が解消された今、復興公営住宅にも課題が山積しています。「平成30年度復興公営住宅健康調査(石巻市)」「平成30年度災害公営住宅入居者健康調査(宮城県)」によると、石巻市の復興住宅では「独居世帯」率は47.9%(市全体:11.0 %)、「65歳以上」率は42.8%(同32.4%)と、独居世帯の割合と高齢化率がかなり高いことが分かります。また、約2割が「体調が悪い」「眠れない」「相談相手がいない」、約6割が「行事への参加なし」と回答しており、復興住宅内で孤立したり、心身の健康を害したりしている方が少なくないことが伺えます。
実際、私たちが新聞配りをしていても、「鉄の扉に遮られて、世界でたった一人きりになったように感じる」「こんなに寂しい思いをするくらいなら、仮設にいたときの方がまだ良かった」「復興住宅に移ってきてから、集会所が開いているのを一度も見ていない」「エレベーターホールでしか顔を合わせないので、一年経っても名前も知らない人ばかり」といった声をよく耳にします。一年半前には、復興住宅に転居した住民の方が仮設住宅の集会所で自殺する事件が起こりました。この事件は復興住宅で暮らす方々にとって決して他人事ではなく、「自分ももしかしたら…」という思いを抱えている方は少なくないと感じます。
このような課題の中には、私たちがきずな新聞の発行・配布を通じて解決できる課題もあると考え、仮設住宅が解消された2020年4月以降も、活動を継続していくことを決めました。
寄付金の使い道
いただいた寄付金は、石巻復興きずな新聞の発行・配布や、復興公営住宅でのコミュニティ形成の事業のために、大切に使わせていただきます。
具体的には下記の費用に充てさせていただきます。
・新聞の用紙購入代
・新聞の印刷代
・新聞配布に使用するレンタカー、ガソリン代
・復興住宅でのサロン活動で使用する茶菓代
・ホームページ等の維持管理費用(ドメイン、サーバー代)
・活動に参加するボランティアの新型コロナ検査費用
これまで活動費の大半を助成金・補助金でまかなってきましたが、2020年4月以降は助成金を受けずに、寄付・会費だけで活動していくことを決めました。
皆様からのご支援が頼りです。