とある日の授業「未来の教室」の出来事。
2020/3/10 13:53
代表理事の沼田です。応援いただき、誠にありがとうございます。
今日は、数年前に届けた授業「未来の教室」での出来事について紹介します。
普段、私自身が、いちセンパイとして生徒のみんなと関わることはほとんどありませんが、この日は私自身がセンパイとして関わった時のエピソードです。
---
ひとりの女子生徒が目につきました。
「未来の教室」当日、1歩も2歩も遠慮しながら、彼女は2時間過ごしていました。
最後の「行動宣言」のとき、他の友だちが表現しているのに対して、彼女の手は全く手動きません。
その様子を、遠目から見ていた私は、彼女のもとへ行き、一緒に考えることにしました。
“授業”ですから、時間にはきっちり終わらなければなりません。
進行が全体の終わりを告げ、グループで他の友だちがセンパイとお別れをしている時も、彼女は一つも書くことができませんでした。
体育館には、私と彼女と、待ってくれている友人と、あと数人-。
「今日はここまでにしようか?」と聴くと、言葉を発さずに、頭を横に振ります。
「いま、少しだけ書いてみたいことはどんなことだろう?」と聴くと、鉛筆を持ち、少しずつ、少しずつ書き始めました。
時間をかけて彼女が書いた言葉は
「友達や頼れる人、あいさつや感謝の気持を大切にしたいで」。
最後の「す」を書こうとした時、彼女の手が止まりました。
その時、何かをじっと考えていました。
20秒くらい考えた末に、
「したいで」を消して、改めて書いたのは「します」の言葉。 そうして、涙いっぱいの瞳で、私のことを見つめて、書いた紙を渡してくれました。
「話してくれて、ありがとう」と伝えて、その日が終わりました。
彼女にとって、その時の「未来の教室」が一体どんな経験になったのか、私には自信を持って、その意義を語ることができません。
正直できたことと言えば、「します」に込めた彼女の気持ちと意志を、全力で受け止めようとしたことくらいしかありません。
しかし彼女が「します」に込めた物語の裏側には、きっとそれまでにセンパイや友だちのあたたかな関わりと安心できる対話が、そこにはあったのではないかと思うのです。
そんな一人ひとりに届ける授業「未来の教室」は、これまでの6年間で10,000名にも及びます。 その物語のきっかけを、遠くから、近くから、ともにつくってくださったサポーターやセンパイ、先生方に、いつもいつでも、感謝の気持ちでいっぱいになります。
そんなきっかけを、群馬の10代に届け続けたいと思っています。
このページをご覧いただいたみなさまへ。
あたたかな関わりと豊かな対話で、
そっと背中を後押しする機会を、
群馬のすべての10代に、
ともに届ける仲間になりませんか?
◆「群馬の10代に、しなやかな学びを。」◆
DNAサポーター(継続寄付者)募集ページ
← 活動報告一覧へ戻る